終身保険のメリット・デメリットまとめ

終身保険のメリット・デメリットまとめ

終身保険(共済)は万が一の際に家族などにお金を残せる死亡保険(共済)で、保障は一生涯続きます。死亡保険(共済)への加入を考える際、終身保険(共済)をイメージする人は多いかもしれませんが、その特徴をよく知ったうえで検討することが大切です。死亡保険(共済)の種類は終身保険(共済)だけではないので、ほかのタイプの保険と比較したうえで加入することをおすすめします。

ここでは終身保険(共済)のメリットとデメリットをわかりやすく解説します。また、ほかのタイプの死亡保険(共済)についても特徴を比較できるよう紹介するので、保険商品を選ぶ際の参考にしてみてください。

本内容は、令和4年10月の制度等にもとづき、記載しています。


終身保険の特徴と活用方法

終身保険(共済)は、亡くなったときや病気やケガなどで重度の障害を負ったときに保険金が受け取れるタイプの保険で、死亡保険(共済)の一種です。保障期間は亡くなるまで続くという特徴があります。また終身保険(共済)は、途中で解約すると解約返戻金がもらえる点も特徴です。解約返戻金とは、保険を解約した際に戻ってくるお金のことです。

終身保険(共済)の主な活用方法は、残された家族への保障です。被保険者(保険の対象となる人)が亡くなった際は指定された人が死亡保険金を受け取れるため、万が一の際にまとまったお金を残せます。また解約しても一定のお金が戻ってくるため、ある程度の貯蓄効果も期待できます。

終身保険(共済)の詳しい特徴は後述する「メリット」「デメリット」でも解説しているので、こちらもチェックしてみてください。

終身保険に加入するメリット

終身保険(共済)には主に以下のようなメリットがあります。加入を検討する際の参考にしてみてください。

保障が一生涯つづく

終身保険(共済)の最大のメリットは保障が「一生涯」つづくことです。人生100年時代といわれる昨今。日本人の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳(厚生労働省「簡易生命表」(令和3年))となっており、今後さらに延びることが予想されています。 

保障期間が決まっているタイプの死亡保険(共済)と異なり、いつ亡くなっても保険金が受け取れる終身保険(共済)は「長生きリスク」に備えるのに適した保険といえます。

契約期間が決まっている定期保険(生命共済)でも満期後に契約更新できますが、健康状態や更新時の年齢によっては更新できないこともあります。保障が一生涯つづく終身保険(共済)なら基本的にこのような心配はないので安心でしょう。

節税対策として活用できる

終身保険(共済)は契約者(保険料を支払う人)や被保険者(保険の対象となる人)が生きているときと亡くなったとき、どちらも節税対策として活用できるというメリットがあります。

契約者が生きているときは所得(収入-経費)に応じて税金がかかりますが、終身保険(共済)の保険料を所得から差し引ける「生命保険料控除」という制度があり、間接的に所得税や住民税の負担を軽くする効果があります。控除(所得控除)とは、個人の事情に合わせて所得から一定額を差し引ける仕組みのことです。

生命保険料控除で所得から差し引ける金額は以下のとおりです。(※)


年間保険料の支払額 控除額(所得から差し引ける金額)
2万円以下 年間支払保険料の全額
2万円超~4万円以下 年間支払保険料 × 1/2 + 1万円
4万円超~8万円以下 年間支払保険料 × 1/4 + 2万円
8万円超 一律4万円
年間保険料の支払額 控除額(所得から差し引ける金額)
2万円以下 年間支払保険料の全額
2万円超~4万円以下 年間支払保険料 × 1/2 + 1万円
4万円超~8万円以下 年間支払保険料 × 1/4 + 2万円
8万円超 一律4万円

(※)新契約(平成24年1月1日以降の契約)の控除額

終身保険(共済)は契約者=被保険者が亡くなった際の節税対策としても有効です。終身保険(共済)では被保険者(保険の対象となる人)が亡くなった際に死亡保険金が支払われますが、それを受け取る人が相続人(配偶者や子どもなど)であれば、1人あたり500万円まで相続税がかかりません(※)。

死亡保険金の500万円の非課税枠は、ほかの相続財産の非課税枠とは別で設けられています。そのため、終身保険(共済)は相続税の負担を抑える方法として活用されています。

(※)保険料を亡くなった方(被相続人)が負担していた場合に限る

貯蓄になる

終身保険(共済)には一定の貯蓄効果もあります。というのも、解約する際に戻ってくる「解約返戻金」があるため、それまでに支払った保険料が無駄にならないのです。これは「掛け捨てタイプ」と呼ばれる、解約返戻金が出ない死亡保険(共済)にはないメリットです。

ただし契約から短期間で解約すると解約返戻金が出ない、または少額しか戻らないこともあります。この点は「3. 終身保険に加入するデメリット」でも触れているのでチェックしてみましょう。

終身保険に加入するデメリット

終身保険(共済)にはデメリットもあります。後々困らないよう、メリットだけにとらわれず、デメリットも踏まえて加入を検討しましょう。

元本割れのリスクがある

貯蓄目的で終身保険(共済)への加入を考えている場合、元本割れする可能性がある点に注意しましょう。終身保険(共済)の解約返戻金は、契約から解約するまでの期間の長さに応じて戻ってくる金額が増えるのが一般的です。

保険料を支払っている間に解約すると元本割れ(解約返戻金が払い込み保険料の総額を下回る)することが多いので、早期に解約する際は十分検討することをおすすめします。

また解約により元本割れしなかったとしても、契約自体がなくなってしまい、死亡保障がなくなってしまう点も十分理解しておきましょう。

保険料が割高になる可能性

終身保険(共済)は、ほかの死亡保険(共済)と比べて保険料が割高になってしまうことがあります。終身保険(共済)は解約返戻金のない定期保険(生命共済)と異なり、ほとんどのケースで死亡保険金もしくは解約返戻金としてお金が戻ってくるため、その分保険会社の負担が大きくなるからです。

保険料負担が多いと、家計を圧迫する原因になったり、貯蓄や投資にまわすお金が不足したりするデメリットにつながります。「3.3. 一度加入すると見直しが難しい」で紹介するようなデメリットもあるので、加入する際は無理なく払い続けられる保険料かという点も確認したうえで検討しましょう。

一度加入すると見直しが難しい

終身保険(共済)には、一度加入すると見直しや解約がしづらいというデメリットもあります。保障期間(契約期間)が決まっている定期保険(生命共済)と異なり、そもそも終身保険(共済)には満期がありません。そのため、見直しのタイミングが見つけづらいのです。

見直しのタイミングを逃すと、新たな保険に入り直そうとしても年齢が上がっていて保険料が割高になるので、見直しづらくなってしまいます。また加入してすぐに解約すると元本割れすることが多いため、早期の解約もしづらい傾向にあります。

死亡保険(共済)を見直す代表的なケースとして、インフレへの対応があります。一般的な死亡保険(共済)は将来受け取れる保険金額が決まっているものが多く、インフレで物価が上昇すると、保険金の実質的な価値が目減りしてしまうためです。しかし上記の理由から、終身保険(共済)は一度加入すると見直しが難しいという特徴があります。

インフレに対応させるには、一般的な終身保険(共済)ではなく、金利の変動に応じて受け取れる保険金(年金)が増減するタイプの保険を選ぶとよいでしょう。

加入目的を見直して適切な手段を見つける

前述したように終身保険(共済)は死亡保険(共済)の一種であり、ほかのタイプの保険(共済)も選択肢として考えられます。目的によっては終身保険(共済)より適したタイプの保険もあるでしょう。

一生涯の保障が必要なら終身保険(共済)は有効です。しかし、「子どもが独立するまで」「定年するまで」というように一定期間の保障でよいなら定期保険(生命共済)のほうが適しています。また、万が一の備えと貯蓄のどちらにも備えたいなら、亡くなったときには死亡保険金が、満期まで生存していた場合は満期金が受け取れる養老保険(生命共済)を選ぶのも一案です。

以下は死亡した際に保険金が受け取れる「終身保険(共済)」「定期保険(生命共済)」「養老保険(生命共済)」の特徴をまとめたものです。目的に応じて自分に合ったタイプの死亡保険(共済)を選びましょう。

【死亡保険金が受け取れる保険】(※)


保障期間 解約返戻金 満期金 期間終了後の更新 一般的な保険料の目安 活用例
終身保険(共済) 一生涯 あり なし -(満期がない) 割高 ・長生きリスクに備える
・いつ亡くなっても家族にお金を残せるようにする
定期保険(生命共済) 一定期間(自分で選択可能) あり/なし なし 可(健康状態や年齢等による) 割安(解約返戻金がないタイプはさらに割安) ・子どもが独立するまでの死亡保障を準備する
・定年までに万が一のことがあった際に、家族にお金を残せるようにする
養老保険(生命共済) 一定期間(自分で選択可能) あり あり 不可 最も割高(上記保険と比較して) ・万が一に備えつつ、貯蓄もおこなう
保障期間 解約返戻金 満期金 期間終了後の更新 一般的な保険料の目安 活用例
終身保険(共済) 一生涯 あり なし -(満期がない) 割高 ・長生きリスクに備える・いつ亡くなっても家族にお金を残せるようにする
定期保険(生命共済) 一定期間(自分で選択可能) あり/なし なし 可(健康状態や年齢等による) 割安(解約返戻金がないタイプはさらに割安) ・子どもが独立するまでの死亡保障を準備する・定年までに万が一のことがあった際に、家族にお金を残せるようにする
養老保険(生命共済) 一定期間(自分で選択可能) あり あり 不可 最も割高(上記保険と比較して) ・万が一に備えつつ、貯蓄もおこなう

(※)一般的な商品性の解説です。詳しくは加入を検討している保険会社にご確認ください。

また、終身保険(共済)が目的に合ったものでも、保険料負担が気になるという方もいるでしょう。その場合は、保険料の払込方法を見直すのも一案です。

例えば、月払いより年払いのほうが一般的に総額の保険料は抑えられます。まとまった資金があれば、一時払いのほうが総額の保険料はさらに割安です。保険料の負担を減らしたい場合は、このような払込方法も検討してみましょう。

まとめ

終身保険(共済)は亡くなったときや、重度の障害状態になったときに保障が受けられる保険(共済)です。残された家族にお金を残したり、貯蓄目的で活用されたりします。終身保険(共済)には保障が一生涯続く、貯蓄性があるなどのメリットがある反面、保険料が割高などのデメリットもあります。

終身保険(共済)への加入を検討している方は、その仕組みをよく理解したうえで加入する死亡保険(共済)を選ぶことをおすすめします。一定の年齢までの保障でよいなら定期保険(生命共済)、万が一の備えと貯蓄を同時におこないたいなら養老保険(生命共済)という選択肢もあります。メリットとデメリット双方をふまえて、自分の目的にあった死亡保険(共済)に加入しましょう。


参考:
内閣府
https://www.cao.go.jp/index.html
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/index.html
国税庁
https://www.nta.go.jp/

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