老後の国民年金はいくらもらえる?年金の種類やシミュレーションについて

老後の国民年金はいくらもらえる?年金の種類やシミュレーションについて

年金は、老後の暮らしを支える大切な資金源の1つです。仕事をリタイアしたあと、国民年金はいくらもらえるのか、お金にゆとりのある生活を送れるのか心配な方もいるでしょう。


今回は、年金の種類や国民年金の受給額のシミュレーション、年金を増やす方法などについて解説します。将来に備えてきちんと資金計画を立てられるよう、ぜひ最後までご覧ください。


本内容は、令和6年8月の制度等にもとづき、記載しています。 本記事に記載の内容・条件は保険会社によって異なる場合がございます。詳しくは保険・共済各社・各団体へお問い合わせください。


年金の種類

そもそも年金は3階建て構造になっています。

1階部分は全国民に加入義務がある国民年金(基礎年金)で、2階部分は会社員や公務員が加入する厚生年金、3階部分は自分で上乗せして積み立てる私的年金です。


以下ではそれぞれ年金の種類ごとに解説します。

国民年金

公的年金の1つである国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する制度です。加入者の職業などによって、次のように第1号〜第3号に分けられます。


種類 対象者
第1号被保険者 ・自営業者
・農業者
・学生
・無職の方 など
第2号被保険者 ・会社員
・公務員 など
第3号被保険者 第2号被保険者に扶養されている配偶者
※年収が130万円未満で、かつ配偶者の年収の2分の1未満
参考:公的年金制度の種類と加入する制度|日本年金機構

第1号被保険者は自身で保険料の納付が必要で、保険料は全額負担です。一方、第2号被保険者は勤務先が保険料を納付する決まりで、保険料負担は自身と勤務先で半分ずつです。


第3号被保険者は、配偶者の年金制度で保険料を負担しており、自身での納付は必要ありません。


なお、国民年金を受け取れるのは、保険料の納付期間と免除期間などの合計が10年以上ある65歳以上の方です。ただし、60歳からの繰上げ受給もできます。

厚生年金

公的年金の1つである厚生年金は、会社員や公務員が加入する制度です。1階部分にあたる基礎年金に2階部分の厚生年金がプラスされるため、国民年金のみ加入している人と比較して受給額が多くなります。さらに、加入中の収入が多いほど受給額も増えます。


厚生年金を受け取れるのは、国民年金の受給資格があり、厚生年金に加入していた期間がある65歳以上の方です。ただし、国民年金と同様に60歳からの繰上げ受給もできます。

私的年金

私的年金は、公的年金に上乗せする目的で被保険者が任意で加入する制度です。主に確定給付型と確定拠出型の2種類に分けられます。


確定給付型はあらかじめ給付額が決まっており、毎月一定の金額を積み立てることで、無理なく将来へ備えられる制度です。確定給付企業年金や国民年金基金が該当します。


確定拠出型は、毎月支払う掛金によって運用をおこなうため、運用収益に応じて給付額が変動する制度です。企業型確定拠出年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)が該当します。

国民年金の受給額の計算方法

国民年金の受給額は、厚生労働省が毎年発表する年金額(満額)と、保険料納付済月数を用いて次のように計算できます。


国民年金の受給額(年額)=基礎年金額(満額)×保険料納付済月数÷480(※)

(※)480=40年(加入可能年数)×12ヵ月


つまり、実際に保険料を納付可能な480ヵ月のうち、すべての月で保険料を納付していれば、満額をそのまま受給できます。


令和6年度の年金額(満額)は月額68,000円、年額816,000円です。上記の式に当てはめると、令和6年度の受給額は次のようになります。


国民年金の受給額(年額)=816,000円×保険料納付済月数÷480


なお、繰上げ受給・繰下げ受給する場合は、計算方法が異なる点に注意が必要です。

いくらもらえる?受給額のシミュレーション

前述した計算方法をもとに、国民年金の受給額をシミュレーションしてみましょう。

40年間保険料を支払う場合

20〜60歳まで40年間保険料を支払う場合、毎年発表される年金の満額がそのまま適用されます。令和6年度であれば、年金額(満額)の月額68,000円、年額816,000円です。

免除期間がある場合

収入の減少や無職期間など、納付が難しい時期に保険料の免除を利用した場合でも、保険料納付済月数に一定の月数が加算されます。


加算される月数は免除される金額の割合に応じて異なり、くわしくは次のとおりです。


免除の割合 加算される月数
全額免除 免除月数×4/8
4分の3免除 免除月数×5/8
半額免除 免除月数×6/8
4分の1免除 免除月数×7/8
参考:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構

例えば、480ヵ月のうち半額免除を受けた月が12ヵ月あった場合、令和6年度の年金額(満額)の816,000円を用いると、年間の受給額は次のように計算が可能です。


816,000円×(468ヵ月+12ヵ月×6/8)÷480=810,900円


年間の受給額は満額時より5,100円少ない810,900円となります。

繰上げ受給・繰下げ受給をする場合

繰上げ受給と繰下げ受給した場合の年金額の計算方法を見ていきましょう。


繰上げ受給の場合の減額率は、次のとおりです。


減額率=0.4%(※)×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数

(※)昭和37年4月1日以前生まれの方は0.5%


繰上げ受給は60〜64歳の間に開始できます。例えば60歳で繰上げ受給を請求した場合、0.4%×60ヵ月(5年間)=24.0%が本来の受給額から減額され、毎年76.0%しかもらえません。


令和6年度の年金額(満額)の816,000円をもとにすると、受給額は620,160円になります。

また、繰下げ受給の場合の増額率は、次のとおりです。


増額率=0.7%×65歳に達した月から繰下げ請求月の前月までの月数


繰下げ受給は66〜75歳の間に開始可能です。例えば70歳で繰下げ受給を請求した場合、0.7%×60ヵ月(5年間)=42.0%が本来の受給額から増額され、毎年142.0%となります。


令和6年度の年金額(満額)の816,000円をもとにすると、受給額は1,158,720円になります。

年金だけで老後の資金は足りる?

ここまで、年金の種類や受給額の計算方法、シミュレーションをご紹介しました。ここからは、年金だけで老後の資金が足りるのかどうか、データを交えてくわしく見ていきましょう。

年金受給額の平均

厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和4年度の年金受給者の受給額の月額平均は次のとおりです。


  • 国民年金のみ:56,428円
  • 国民年金と厚生年金:144,982円

特に国民年金のみの場合は、金額が十分だと思える方は少ないのではないでしょうか。

老後の生活にかかる金額

公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、老後の生活にかかるお金の考え方について、次のような結果が得られました。


  • 夫婦2人の老後の最低日常生活費:月々の平均23.2万円
  • 夫婦2人のゆとりある老後生活費:月々の平均37.9万円

ゆとりある老後生活費とは、老後のゆとりのために必要な上乗せ額を聞いて、最低日常生活費に足したものです。


国民年金と厚生年金の平均額を踏まえると、国民年金のみでは足りず、厚生年金を受け取れてもまだ不足する可能性があるといえます。

年金を増やす方法

働かずに老後を過ごすと仮定した場合、年金だけで生活費をまかなうのは難しいことがわかりました。年金を増やすため、次の3つの方法を検討してみましょう。

国民年金の繰下げ受給をする

国民年金の受取時期を繰下げることで、月あたりの年金受給額を増やせます。繰下げ受給は、開始を遅らせるほど毎年の受給額が増えて、その受給額が生涯を通じて続くのが特徴です。


繰下げ受給を始める時期は、自分が何歳まで健康に働けるかを想定し、決めるとよいでしょう。

国民年金の追納・任意加入をする

もし保険料の未納や猶予・免除を受けていた期間があっても、過去にさかのぼって保険料を追納することで満額受給を目指せます。追納すると、社会保険料控除によって所得税・住民税が軽減される点もメリットです。


なお、追納の対象は、追納が承認された月から10年以内の保険料に限られるため、期限を確認するようにしましょう。


また、60歳以上65歳未満の方は、国民年金への任意加入によっても受給額を増やせます。任意加入は、60歳を超えてからも国民年金に加入して、保険料を追加で支払い続ける制度です。


保険料の納付済期間が40年未満で現在繰上げ支給を受けておらず、厚生年金保険・共済組合などに加入していないことが条件です。

国民年金基金や付加年金に加入する

国民年金基金は、会社員の厚生年金にあたる部分を上乗せして補える制度です。月ごとの掛金の額などに応じて、プラスで受け取れる年金の額や期間が決まります。


付加年金は、月額保険料に400円を足して納付すると、年金が上乗せされる制度です。付加年金額は「200円×付加保険料納付月数」で毎年もらえるため、基本的には受給開始後の2年間で元が取れます。


自営業やフリーランスなど国民年金のみに加入している方は、国民年金基金や付加年金への加入で受給額を増やせます。ただし、加入できるのは国民年金基金と付加年金のどちらか一方のみである点に注意が必要です。

JA共済の「ライフロード」は老後の資金づくりをしっかりサポート

将来の年金受給額に不安がある場合は、JA共済の予定利率変動型共済「ライフロード」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。「ライフロード」は、老後の生活費不足にしっかり備えられる個人年金共済です。


毎月の共済掛金の支払いを、例えば月々10,000円から積立感覚で準備でき、一度増えた年金額は変わりません。共済金の払い込み完了時には契約時の最低保証年金額に加え、運用によって増えた分もプラスで受け取れます。


条件を満たすと個人年金保険料控除も受けられるため、税金面でもお得になります。プランによっては、18歳から85歳までと幅広い年齢で加入できるのもポイントです。


詳しくは、お近くのJAにご相談いただくか、または、下記のライフロードのバナーからご確認ください。

ライフロードバナー

国民年金のもらえる金額についてのまとめ

今回は年金についてご紹介しました。 年金には国民年金と厚生年金、私的年金の3種類があり、誰もが加入するのは国民年金です。また、国民年金だけの場合は、令和6年度は満額受給でも月額68,000円であるなど、ゆとりのある生活に十分な額とはいえません。


年金を増やすためには、国民年金の繰下げ受給や、追納・任意加入などの手段がありますが、国民年金基金やJA共済ライフロードなどの活用も選択肢の1つです。さまざまな手段を比較して、自分に合った資金計画をしっかりと立てましょう。


参考: 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
https://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/20140710.html

日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html

厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
https://www.mhlw.go.jp/content/001233406.pdf

公益財団法人生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf

自分で準備する将来の年金保障

ご加入いただける年齢:18~85歳

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