自動車保険の等級制度とは?等級の決まり方や上下する条件について
“家と車”に関するねだんのこと
2022.01.21
最近では若年層の自動車離れが話題になっていますが、依然として自動車は多くの方にとって必要不可欠な移動手段でもあります。内閣府がおこなっている消費動向調査によると、乗用車普及率は二人以上世帯で79.4%(令和3年3月末)という結果であり、5世帯中4世帯もの世帯が自動車を保有していることになります。
自動車を保有すると、自動車そのものの費用だけでなく、維持費としてガソリン代や車検代、自動車税などさまざまな費用がかかります。自動車保険の保険料もそのうちの1つです。多くの方が、自動車保険の保険料をできるだけ安く抑えたいと考えるのではないでしょうか。
自動車保険の保険料に大きく関わってくるのが等級制度です。等級制度について知っておくことで、自動車保険料を安く抑えるポイントを理解できます。
この記事を読むと分かること
- 自動車保険の等級の決まり方
- 等級が上がるタイミング
- 等級が下がってしまう事故例
見出し
自動車保険の等級とは
自動車保険は、事故(保険金請求)歴に応じて加入者ごとに等級が決められており、その等級によって適用される割引率もしくは割増率が決まります。 1等級から20等級の20段階があり、はじめて自動車保険を契約すると6等級からスタートします。等級が上がるほど割引率が高くなり、20等級になると適用できる割引が最大となります。一方、1等級から3等級の場合は割引ではなく保険料が割増となり、同じ補償内容だとしても高い保険料を支払わなければならなくなります。
等級の決まり方
自動車保険の等級は、事故による保険金請求の有無により決まります。1年間無事故であれば翌年度の等級が1つ上がり、事故を起こしてしまい保険金を受け取ると等級がダウンする仕組みです。ただし、ノーカウント事故とよばれる等級の上下に影響しない事故の場合は、翌年の等級ダウンはありません。
保険契約期間中に事故を起こしてしまうと、その事故の内容や件数によって翌年度の等級と事故有係数適用期間が決まります。事故有係数適用期間については以下で詳しく解説していきます。
事故有係数と事故有係数適用期間とは
事故有係数とは、事故を起こしたことがある事故有契約者に適用される割増引率を指します。対して、保険金請求をしたことがない事故無契約者に適用される割増引率を無事故係数といいます。つまり、同じ等級であっても、事故有契約者と事故無契約者とでは割増引率は異なるのです。事故有契約者よりも事故無契約者のほうが割引率は高く設定されています。
一度事故を起こしてしまったらそれ以降の契約においてずっと事故有係数が適用されてしまうわけではありません。事故を起こすと、その事故の内容と件数によって事故有係数が適用される期間も決まります。3等級ダウンする事故を起こして保険金を受け取った場合、事故有係数適用期間は事故1件につき3年間となります。1等級ダウンする事故の場合の事故有係数適用期間は事故1件につき1年間です。
例えば、これまで保険金を受け取ったことのない方が3等級下がる事故を1件起こしてしまい、その後3年間一度も事故により保険金を受け取らなかった場合は、3年経過したタイミングで再び事故無係数が適用され始めます。なお、事故有係数適用期間の最長は6年とされています。
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等級はどのタイミングで上がる?
無事故だったり、事故があっても保険金を受け取らなかったりすれば、等級は徐々に上がっていきます。では、いつ等級が上がるのかというと、保険契約の更新のタイミングです。保険契約始期日から満期日までの1年間に無事故あるいは保険金請求がなければ、翌年の契約は1等級上がります。
例えば、5等級だったドライバーが1年間無事故であった場合、翌年の契約では6等級となります。等級が上がるため、次の契約ではこれまでよりも高い割引率が適用され、同じ補償内容だとしても保険料が安くなります。ただし、等級の上限は20等級であるため、すでに20等級であるドライバーは1年間無事故であっても翌年の契約は20等級のままです。
なお、等級が3等級ダウンしてしまう事故もありますが、等級は1等級ずつしか上げられません。残念ながら1年で2等級以上は上げられないということです。
翌年の契約に適用される等級は、現在の契約の満期が近づくと保険会社から届く契約更新の案内書類にて確認することができます。現在の等級であれば、保険証券やインターネット上の保険会社のマイページなどで確認が可能です。
事故で保険を使うと等級が下がる?
事故により保険金を受け取ると、翌年の契約では等級が下がってしまいます。等級の下がり幅は事故の内容や件数によって異なります。なかには、等級がダウンしない事故もありますので、以下でそれぞれのケースを詳しく解説していきます。
ノーカウント事故の例
まずは、等級に影響しないノーカウント事故について説明していきます。どういった事故であれば、保険金を受け取っても等級が下がらないのでしょうか。
自動車保険にはさまざまな特約があり、該当の特約のみを使って保険金が支払われた場合にはノーカウント事故となります。特約とは、主契約の補償内容を充実させるために、任意でつけるオプションのようなものです。
次のような特約のみに該当する事故であれば、ノーカウント事故となります。
- 人身傷害保険
- 搭乗者傷害特約
- ファミリーバイク特約
- 弁護士特約
- 個人賠償特約 など
具体的には以下のような事故例が挙げられます。
- 車同士の事故で怪我をしたが、過失100%の相手が任意保険に入っていないために支払能力がなく自分の保険で保険金を受け取った場合(無保険車傷害保険特約のみ使用)
- 単独事故を起こして、自分の怪我の治療にかかる保険金のみを受け取った場合(人身傷害保険特約のみ使用)
1年間にノーカウント事故のみであれば、翌年の契約では無事故のときと同様に、等級が1つ上がります。例えば、はじめて自動車保険を契約した年にノーカウント事故で保険金を受け取ったとします。はじめての自動車保険契約では6等級が適用されており、また事故有係数適用期間はもちろん0年です。翌年の契約では順当に7等級となり、また事故有係数適用期間も0年のままです。
1等級ダウンする事故の例
等級が1等級ダウンしてしまう事故は、以下の理由による事故が挙げられます。
- 火災・爆発
- 盗難
- 台風・竜巻・洪水・高潮
- 落書き・いたずら
- 窓ガラスの破損
- 飛び石などとの衝突 など
上記の事故1件につき、1等級ダウンすることになります。はじめて自動車保険を契約した年に1等級ダウンに該当する事故で保険金を受け取った場合、翌年の契約は等級が1等級ダウンして5等級になります。また、事故有係数適用期間は1年となります。
3等級ダウンする事故の例
3等級ダウンとなると保険料が大幅にアップしてしまうため、契約者としてはできるだけ3等級ダウンする事故は避けたいものです。しかし、残念ながらほとんどのケースがこの3等級ダウンの事故にあたります。
等級が3等級ダウンしてしまう事故は、以下の理由による事故が挙げられます。
- 電柱・ガードレールなどに衝突したなどの単独事故
- 相手にけがをさせてしまった事故
- 車同士の接触や追突
- あて逃げ など
事故1件につき3等級ダウンするため、仮に1年間で2件の3等級事故を起こして保険金を受け取った場合、翌年は6等級も下がってしまうことになります。単独事故などは比較的起きやすい事故であるため、6等級下がることは稀なケースではありません。
例えば、駐車場でハンドル操作を誤ってブロック塀に自分の車をぶつけてしまい、焦ってハンドルを切り直したら隣に駐車していた車にもぶつけてしまった、というケースでは、2回の事故を起こしていることになります。どちらのケースも3等級ダウン事故に該当するため、翌年の契約では6等級ダウンとなってしまうわけです。
はじめて自動車保険を契約した年に3等級ダウンに該当する事故で保険金を受け取った場合、翌年の契約は等級が6等級から3等級になります。また、事故有係数適用期間は3年になります。
自動車保険の等級に関する豆知識
これまで、自動車保険の等級制度の仕組みについてお伝えしてきました。ここでは、等級制度に関する知っておきたい豆知識を2つご紹介していきます。
-
Q.
等級を引き継ぐことができる
-
Q.
二台目の車にはセカンドカー割引が利用できる
まとめ
自動車保険の等級制度の仕組みや等級が変わる要因、タイミングなどについて紹介してきました。自動車保険の保険料に大きく関わる等級は、できるだけ高く維持しておきたいところです。
あらためて、等級制度について理解しておきたいポイントを以下にまとめました。
- 事故(保険金請求歴)に応じて加入者ごとに等級が決められており、等級ごとに適用される割増引が異なる。
- 1等級から20等級までの20段階で、20等級が最大の割引率を適用できる一方、1等級は最大の割増率が適用される。
- 1年間事故がなければ翌年の契約は等級が1つあがるが、事故を起こして保険金を受取ると事故内容によって1等級もしくは3等級ダウンする。
- 事故で保険金を受け取っても等級には影響しないノーカウント事故もある。
等級が下がると、保険料の割引どころか割増が適用されてしまい、高い保険料を支払わなければならなくなります。他の保険会社に切り替えたとしても、基本的に等級は引き継がれるため、リセットすることはできません。できるだけ等級が下がらないように普段から事故を起こさないように注意することはもちろんですが、保険料があまりに高くなってしまったら、免責金額を上げる、重複した補償の見直しなどにより保険の契約内容を検討するようにしましょう。
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