任意保険とは?自賠責との違い、加入するメリットについて解説
“家と車”に関するねだんのこと
2022.01.21
自動車保険は、任意で加入できる任意保険と法律で加入が義務付けられている強制加入の自賠責保険の2種類があります。
任意という言葉は、自賠責保険の強制加入に対比した名称です。安心して自動車を運転するためには自賠責保険だけではなく任意保険への加入も必要となります。
この記事を読むと分かること
- 任意保険と自賠責保険の違い
- 任意保険の補償範囲
- 任意保険に加入するメリット
任意保険とは
任意保険は、強制加入の自賠責保険と異なり、自分で補償内容を選んで加入する保険です。
任意保険は補償内容を分けると4つの補償と7つの保険があります。
4つの補償 | 7つの保険 | |
---|---|---|
自動車保険 (任意加入) |
相手への補償 | 対人賠償保険 |
相手の物への補償 | 対物賠償保険 | |
自分や搭乗者への補償 | 人身傷害補償保険 | |
搭乗者傷害保険 | ||
自損事故保険 | ||
無保険車傷害保険 | ||
自分の車への補償 | 車両保険 |
任意保険に加入する際は、この4つの補償のうち、自賠責保険で足りないと思うところや不安に思う部分を考え、どこに備えたら安心なのかを考えるとよいでしょう。
自賠責保険との違い
自動車保険は、任意保険と自賠責保険の2つに分かれているため、その違いについてお伝えしていきます。
加入義務の有無
自賠責保険と任意保険では加入義務の違いがあります。
自賠責保険は法律で定められた強制加入の保険であり、もし違反すれば罰則があります。また加入していなければ車検にも通りません。
しかし任意保険は、任意という言葉が示すように加入義務がなく、加入していないからといって罰則があるわけでも運転ができなくなるわけでもありません。
補償範囲
自賠責保険と任意保険は補償範囲についても違いがあります。
その違いというのは、自賠責保険は、4つの補償のうち相手への補償のみが対象ですが、任意保険は4つの補償すべてに対して保険があります。
自賠責保険は、人身事故が起きたときに補償される対人賠償保険です。その補償内容は、傷害で120万円、死亡で3000万円、後遺障害で75万円~4000万円となります。後遺障害は、介護を要する後遺障害の等級が2つ、後遺障害の等級が14あり、該当する後遺障害に応じて金額が上がっていきます。
任意保険は、対人賠償保険だけではなく、自賠責保険ではまかないきれない相手の物への補償や、自分や搭乗者への補償、自分の車への補償といった多くの補償範囲を対象としています。
任意保険の補償内容
任意保険の補償内容として、4つの補償と7つの保険があることをお伝えしました。ここでは4つの補償と7つの保険の内容をご紹介します。
4つの補償
任意保険の4つの補償として、相手への補償、相手の物への補償、自分や搭乗者への補償、自分の車への補償があります。
相手への補償
相手への補償とは、自動車事故によって相手にケガまたは死亡させてしまった場合に対する補償です。
相手の物への補償
相手の物への補償とは、自動車事故によって他人の財物に損害を与えてしまった場合に対する補償です。
自分や搭乗者への補償
自分や搭乗者への補償とは、契約している車の事故によって自分や搭乗者にケガまたは死亡させてしまった場合に対する補償です。
自分の車への補償
自分の車への補償とは、自動車事故によって車が損傷してしまった場合に対する補償です。
7つの保険
自動車保険には、4つの補償に対応する7つの保険があります。
対人賠償保険
対人賠償保険は、自動車事故によって相手にケガまたは死亡させてしまった場合に対して、相手への賠償として保険金が支払われます。強制加入の自賠責保険が対人賠償保険であるため、自賠責保険の支払額を超える部分に合わせて保険金が支払われます。
対物賠償保険
対物賠償保険とは、自動車事故によって他人の車や家屋、ガードレールなどの財物に損害を与えてしまった場合に対して、相手の物への賠償として保険金が支払われます。また財物に限らず、店舗に営業ができないほどの損害を与えてしまった場合、営業できない期間の休業損失も補償の対象となります。
人身傷害補償保険
人身傷害補償保険とは、自動車事故によって自分や搭乗者にケガまたは死亡させてしまった場合に対して、保険金が支払われます。自動車事故の際に過失割合に関係なく補償され、また治療費や逸失利益なども含まれる保険です。
搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険とは、自動車事故で、契約者を含む乗用中の人にケガまたは死亡させてしまった場合に対する補償であり、内容としては人身傷害補償保険と同じです。人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険との違いは、人身傷害補償保険が事故との因果関係によって補償されるため損害額が確定しなければ保険金を受け取ることができません。しかし搭乗者傷害保険では、損害額の確定を待たずに、ケガで入院した場合には入院給付金、死亡してしまった場合には死亡給付金が支払われます。
自損事故保険
自損事故保険とは、契約している車を運転中に自損事故によって、自分や搭乗者にケガまたは死亡させてしまった場合に対して、保険金が支払われます。
無保険車傷害保険
無保険車傷害保険とは、任意保険未加入や補償内容が不十分な車との事故で、運転者または乗用中の方に死亡または後遺障害を負った場合に相手の支払い能力がないなどの理由で十分な賠償を受けることができない場合に保険金が支払われます。
車両保険
車両保険とは、自動車事故で、契約した車に損害が発生したものに対する補償です。車同士の衝突や自損事故などの車両事故や、当て逃げ、交通事故以外にも盗難や自然災害(地震・噴火・津波は除く)などで車に損害が発生したときにも保険金が支払われます。
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任意保険が必要な理由
任意保険への加入がなぜ必要なのでしょうか。それは、自賠責保険だけでは事故が起きた時にさまざまなリスクに対応することが難しいからです。
自動車保険の4つの補償でご紹介したように、必要な補償については加入を検討しましょう。
補償は多岐にわたる
任意保険の補償はご紹介してきたように多岐にわたっています。特に自分にとってどの補償が必要なのかを考える必要があります。
保険金の上限がある自賠責保険だけでは補償が心配な方には、無制限の補償が付いている対人賠償保険がおすすめです。
また、相手の車や物を損壊させてしまった場合への補償が必要な場合は、対物賠償保険への加入を検討しましょう。
人身傷害補償保険に加入すれば、交通事故などで自分自身や搭乗している人にケガや死亡させてしまった場合の補償が受けられます。
車両保険であれば、交通事故や自然災害、自損事故などに対する補償が受けられます。
もし、このように多岐にわたる補償を万遍なく手厚く準備するとしたら保険料は高くなります。しかし補償を万遍なくつけるものの必要な部分の補償を手厚くし、他は自己負担(免責額)を増やして最低限の補償にすることで保険料を下げることができます。このように自分で無理なく保険料を支払える範囲で気になる部分の補償を厚くできるのが任意保険の魅力であり、必要な理由といえるでしょう。
任意保険の保険料が変わる場合
任意保険は、等級の変化や車両価値の変化によって保険料が変わる場合があります。この2つについてお伝えしていきます。
等級の変化
任意保険には等級があり、その等級によって保険料の割引率が変わってきます。基本的に等級は20等級あり、数字が大きくなればなるほど保険料が安くなります。
任意保険の等級制度とは、契約者の事故歴に応じて保険料の割引や割増をする制度です。初めて任意保険に加入すると、一般的に6等級から契約がスタートします。等級は、保険開始日から満期日までの間に無事故や任意保険を使わなかった場合、翌年に1等級上がり、保険料が安くなります。
等級は、事故の内容によって変化します。もし前年に事故を1回起こして、保険を使った場合、原則として3等級下がります。事故や保険を使った内容によっては1等級だけ下がるものもあります。このように等級が下がることで、保険料が高くなります。
また事故の件数を数えないノーカウント事故というものがあり、ノーカウント事故に該当するものは、仮に事故が起きたとしても事故件数に数えないというものです。事故件数に数えないため、翌年に1等級も上がり、保険料が安くなります。
任意保険では、事故の種類を等級ダウンに合わせて3つに分類をしています。
事故の種類 | 交通事故などの主な内容 | 翌年の等級 |
---|---|---|
3等級ダウン事故 | 他人を死傷させてしまった (対人賠償保険) 他人の物を壊してしまった (対物賠償保険) 自分の車を壊した (車両保険) |
事故1件に対して3等級下がる |
1等級ダウン事故 | 盗難・落書き・台風による損害など (車両保険) |
事故1件に対して1等級下がる |
ノーカウント事故 | 自分や家族にケガをさせてしまった (人身傷害保険など) |
等級の影響はなし 通常どおり1等級上がる |
車両価値の変化
車は時価評価であるため、時が経つとともに価値が下がります。そのため新車を購入した時点では高い保険料だったものが時間の経過とともに保険料が安くなることがあります。
ただし、車両価値に変化が生じるということは、保険料は安くなるものの補償金額も低くなるということです。
そのため任意保険を更新する際の更新内容を見て、補償や保険料がどうなっているかを確認し、そのまま更新するか、または他の保険会社と比較するなど検討するとよいでしょう。
任意保険に加入するメリット
任意保険に加入するメリットとして4つお伝えしていきます。
特約を付けられる
任意保険の特約とは、基本となる補償に付帯して補償を手厚くするものです。保険会社によって特約の種類はさまざまで、名称も異なったりします。主な特約についてご紹介していきます。
弁護士費用特約
弁護士費用特約とは、自分に過失がまったくない事故の場合で、相手に賠償請求する場合に備える特約です。もらい事故などの場合、契約している保険会社は相手方との示談交渉ができません。そのため自分が事故の相手または相手が契約している保険会社と交渉することになりますが、このような場合、弁護士に委任することができます。その委任のための費用を特約で備えることになります。
個人賠償責任特約
個人賠償責任特約とは、日常生活において偶発的な事故によって他人にケガをさせてしまった場合や、他人が持っているものを壊してしまった場合の損害賠償責任に備える保険です。任意保険だけではなく火災保険などにも付帯していることが多いため、特約が付いているか確認する必要があります。
自転車傷害特約
自転車傷害特約とは、自転車に乗っている際に事故によってケガや死亡した場合に補償を受けられる特約です。個人賠償責任特約では他人にケガをさせてしまった場合ですが、自転車傷害特約は自分自身や家族のケガ、死亡に備えるものです。
特約を3つ紹介しましたが、他にも多くの特約があり、また保険会社独自のものもありますので、任意保険の主となる契約以外にも付帯できる補償について確認するとよいでしょう。
ロードサービスを受けられる
ロードサービスとは、車に乗っている際に起こるさまざまなトラブルに対して対応してくれるサービスです。保険会社によってはロードサービスを無料で付帯している場合もあります。
ロードサービスの利用例としては、次のようなトラブルです。
- タイヤがパンクした
- バッテリーが上がった
- 車の中にキーを入れて、ロックしてしまった
- 車が自力で走れなくなった など
このようなトラブルに対して、サポートしてくれるサービスがロードサービスです。ロードサービスの利用だけでは加入している任意保険の等級が下がったり、保険料が上がったりすることはありませんので、安心して利用することができます。
補償内容を自分で決められる
任意保険は、どの部分に不安があって手厚くしていきたいかなど補償内容を自分で決めて加入することができます。
例えば、人身事故に不安をもっていれば、自賠責保険に加えて対人や対物賠償保険に加入して無制限の補償にすることを考えるかもしれません。
自分の運転が不安であちこちに車をぶつけてしまいそうだと思えば、車両保険に加入して自損事故も補償されるようにすることを考えると思います。
このように任意保険にはさまざまな補償があるため、自分自身にあった補償内容を踏まえて保険に加入することができます。
自身に対してもお金が支払われる
任意保険には、自分自身に対してもお金が支払われる保険があります。例えば人身傷害保険や搭乗者傷害保険といった保険です。
自賠責保険は、自分自身に対する補償がありません。しかし、任意保険では、自分自身に対しても補償している保険もあるため、必要に応じて加入を検討するとよいでしょう。
まとめ
ここまで任意保険とは何か、任意保険と自賠責保険の違いや、メリットについてお伝えしてきました。
任意保険は4つの補償と7つの保険があります。任意保険の各保険商品は、必ず4つの補償のうちどれかに該当し、また7つの保険の種類に入っています。
そのため任意保険に加入する際に4つの補償がどのようなものに補償されるのか、そして7つの保険について各保険会社の保険商品がどういう内容になっているのかをよく考えて、加入の検討をすることをおすすめします。
お車の事故による賠償やご自身とご家族のケガ、修理に備える