貯蓄型の生命保険(共済)とは?掛け捨て型との違いや選び方のポイントについて
“老後”に関するねだんのこと
2022.02.24
病気・ケガなどによる急な出費に備えたり、自身が死亡した際に家族にお金を残したりする手段のひとつである生命保険や生命共済(以下、生命保険と総称)。
生命保険には支払った保険料が積み立てられるものとそうでないものとがあり、その特徴を理解したうえで、目的に適った保障に加入することが大切です。
今回は、保険料の積み立てが可能な貯蓄型の生命保険について、その特徴や選び方のポイント、掛け捨て型との違いなどについてご紹介していきます。
この記事を読むと分かること
- 貯蓄型の生命保険(共済)の特徴と掛け捨て型との違い
- 貯蓄型の生命保険(共済)のメリットや選ぶときのポイント
- 貯蓄型の生命保険(共済)をおすすめしたい方の特徴
見出し
貯蓄型の生命保険(共済)とは
貯蓄型の生命保険は、支払う保険料の一部を積立てて、保険料の払込みが終わった時点で支払った保険料とほぼ同額の金額を受け取れる「貯蓄」機能があります。
また、生命保険であるため死亡した場合、保険金を受け取れるという「保障」機能もあります。
つまり、貯蓄型の生命保険は、「貯蓄」と「保障」の2つの機能を兼ね備える保険なのです。
貯蓄型の生命保険(共済)の特徴
貯蓄型の生命保険と聞くと学資保険や個人年金保険を連想する方も多いのではないでしょうか。
もちろん学資保険などは貯蓄型に当てはまりますが、実は終身保険や介護保険も貯蓄型に該当する保険です。ここでは貯蓄型の生命保険の特徴についてご紹介していきます。
終身保険(共済)
終身保険とは、被保険者が万一の際に死亡保険金を受取れる保険です。また保険を解約しなければ保障が一生涯続くことから、終身保険と呼ばれています。
終身保険を途中解約する場合、保険料払込期間後であれば支払った保険料とほぼ同額を解約返戻金として受取ることができます。しかし保険料払込期間中に解約した場合、支払った保険料の一部の金額しか解約返戻金を受取れないため、注意が必要です。
また解約返戻金を受取るには解約しなければならないため、以後の保障はなくなります。
介護保険(共済)
介護保険とは、公的介護保険で定める介護状態または保険会社所定の介護認定基準で介護状態と認定された場合に、一時金や年金形式で保険金が受取れる保険です。介護保険の貯蓄型は支払った保険料の一部が積立てられるため、終身保険と同様に解約返戻金があります。
養老保険(共済)
養老保険とは、保障と貯蓄が両立した保険です。保障期間中に、被保険者が死亡した際に死亡保険金を受取ることができます。保障期間満了後に生存していると、死亡保険金と同額の満期保険金が受取れます。
学資保険(共済)
学資保険とは、高校や大学の入学金や授業料などの教育資金を準備するための保険です。入学時期に合わせて学資金が受取れます。もし学資保険の契約者である親が亡くなった場合、以後の保険料が免除されますが、学資金は入学時期などに予定どおり受取ることができます。
個人年金保険(共済)
個人年金保険とは、老後資金の準備のための保険です。保険料払込期間が終了した後に年金を受取れます。
年金の受取り方には、一定期間年金を受取る確定年金や一生涯年金を受取る終身年金などがあります。確定年金は年金受取り期間を5年や10年と設定でき、保険料が同額であれば1回ごとに受取れる年金額は終身年金よりも多くなります。終身年金の場合、長生きすることができれば確定年金よりも受取り金額の合計は多くなります。
また、保険料払込期間中に被保険者が亡くなった場合、支払った保険料相当額が死亡保険金として支払われます。
貯蓄型と掛け捨て型保険(共済)の違い
生命保険には、貯蓄型の他に掛け捨て型があります。保険の加入を検討する際に聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?
掛け捨て型の生命保険は、死亡の際の保障を準備できますが、支払った保険料は積立てられません。しかし貯蓄型の生命保険よりも安い保険料で、同程度の保障が準備できます。
掛け捨て型生命保険は、死亡の際の保険金を一時金として受取る定期保険や年金形式で受取る収入保障保険のほか、病気やケガをしたときに保障される医療保険やがん保険などがあります。
掛け捨て型は少ない保険料で大きな保障を準備できる特徴が、また、貯蓄型は子どもの教育費や老後資金などの貯蓄と死亡の際の保障を兼ね備えている特徴があります。
掛け捨て型と貯蓄型の特徴を理解して、自分や家族に必要な保障が準備できるように考えて加入しましょう。
貯蓄型の生命保険(共済)のメリット
貯蓄型の生命保険に保障機能と貯蓄機能があることはお伝えしましたが、その他にどのようなメリットがあるのか気になる方もいると思います。そこで貯蓄型の生命保険のメリットを3つご紹介します。
資産形成に活用できる
貯蓄型の生命保険は、保険料払込期間後は満期保険金や払込んだ保険料とほぼ同額の解約返戻金が支払われるため、資産形成に活用できます。子どもの教育費や老後の生活資金づくりに活用できるのは大きなメリットでしょう。
銀行のように自由に引出しができず、途中解約した際の返戻金は払込保険料よりも少ないため、手間をかけたくない、損をしたくないという意識により、半ば強制的に資産形成ができます。
自動振替貸付が利用できる
自動振替貸付とは、解約返戻金がある保険において、保険料払込猶予期間を過ぎても保険料の支払いがない場合に、保険会社が保険料を自動振替して契約を継続する制度です。銀行口座に保険料が入っていないなど、不測の事態が起きても保険契約が失効しないメリットがあります。しかし保険会社が保険料を立替えることになるため、利息を含めて返済する必要があります。
解約返戻金がない保険契約の場合、保険料払込猶予期間を過ぎると契約が失効します。保険料の払込日に残高不足に陥らないように気をつけましょう。
契約者貸付制度が利用できる
契約者貸付制度とは、解約返戻金がある保険において、解約返戻金の一定範囲内の金額で保険会社が資金を貸付ける制度です。
銀行では、資金の借入れには審査が必要ですが、契約者貸付制度には審査がありません。急な出費が発生したときに、所定の手続きをすることで利用できるのがメリットです。
貯蓄型の生命保険(共済)をおすすめしたい方とは
貯蓄型の生命保険をおすすめしたい方の特徴を4つご紹介します。
死亡時に家族にお金を残したい
自分自身の死亡の際に、残された家族に葬儀費用や生活費などのお金を残したいと考えている方におすすめです。
貯蓄型の生命保険のうち、たとえば終身保険や介護保険、養老保険には死亡保障がついているため、死亡の際に残された家族にお金を残すことができます。
自分の介護が必要になったときに備えたい
公的介護保険だけでは備えが足りないと考えている方にもおすすめです。
介護保険に加入しておくと、公的介護保険で賄いきれない部分の保障が得られます。介護状態にならずに亡くなった場合、遺族などが死亡保障を受けることができます。また、必要に応じて中途解約をし、老後の生活費としての解約返戻金を受取ることもできます。
子どもの教育資金に備えたい
子どもの教育資金に備えたいと考えている方に貯蓄型の生命保険がおすすめです。
学資保険は、契約者である親が亡くなった場合でも、契約が継続され子どもが学資金を受取ることができます。
また学資保険の他に、終身保険や養老保険を利用する方法もあります。保険料払込期間を10年や15年に設定し、保険料の積立て部分を終身保険であれば解約返戻金、養老保険であれば満期保険金として受取る方法です。その場合、契約者と被保険者を親にすることで死亡保障も合わせて準備できるため、その死亡保険金を子どもの教育費に充てることができます。
老後の生活に備えたい
老後の生活資金の準備として、公的年金制度の他にも備えがほしい方にも貯蓄型の生命保険がおすすめです。
たとえば個人年金保険は、一定期間または一生涯、年金を受取ることができる保険です。
また、個人年金保険の他に、終身保険や養老保険を利用する方法もあります。保険会社によっては終身保険の解約返戻金や養老保険の満期保険金を年金形式で受取ることもできます。保険料払込期間中に死亡保障も備えておきたいという方には個人年金保険よりも終身保険や養老保険がおすすめです。
貯蓄型の生命保険(共済)を選ぶときのポイント
貯蓄型の生命保険は、それぞれのライフプランを踏まえて目的に適ったものを選ぶ必要があります。貯蓄型の生命保険を選ぶときのポイントについてご紹介します。
保障内容と保障期間
貯蓄型の生命保険は、貯蓄機能と同時に万一の際の保障機能があります。貯蓄型の生命保険で必要な保障内容は、ライフステージによって大きく2つに分けられます。
また、保障内容と併せて、保障を備えておく期間を考える必要があります。保障内容が十分でも保障期間の設定が適切でなければ、必要なタイミングで必要な保障が得られない可能性があります。
ライフステージ | 主に保障が必要な費用 | 保障期間(例) |
---|---|---|
子ども誕生~子育て期間 | 子どもの教育費 | 子どもが高校卒業するまで |
老後準備期間 | 老後の生活費 | 自分の退職まで |
ライフステージ | 主に保障が必要な費用 | 保障期間(例) |
---|---|---|
子ども誕生~子育て期間 | 子どもの教育費 | 子どもが高校卒業するまで |
老後準備期間 | 老後の生活費 | 自分の退職まで |
子どもの教育費を貯蓄型の生命保険で準備する場合の保障期間は、誕生から高校を卒業する18歳までとなります。さらに、大学に進学する場合は、高校を卒業するまでの間に大学の入学金や学費を貯蓄します。子どもの教育費のために用意する貯蓄金額と同額が必要保障金額となります。
老後の生活費を貯蓄型の生命保険で準備する場合の保障期間は、子どもの成人などをきっかけに老後の生活費を準備しようと思ったときから自分が退職するまでの期間です。老後の生活費として自分が貯蓄する金額と同額が必要保障金額となります。
保険料の支払額
貯蓄型の生命保険は、一般的に掛け捨て型の生命保険よりも保険料が高くなります。銀行預金のように自由に引き出すことはできず、中途解約をした場合も支払った保険料全額が戻るわけではありません。無理なく支払い続けられる保険料を設定しましょう。
参考までに、年収別の保険料の平均払込金額のデータをご紹介します。各家庭の事情により必要となる保障は異なるので一概にはいえませんが、保険料の年間払込金額を「年収の5~10%程度」に考えることが、無理なく支払い続けられる目安になるでしょう。ただし、保険料の年間払込金額の中には、貯蓄型の生命保険だけではなく、掛け捨て型の生命保険も含まれています。もっと多くの資金や保障を貯蓄型の生命保険で準備したいと考えていれば、保険料を上げていくのもいいでしょう。ただし、保険料を支払い過ぎて普段の生活費が厳しくなるようでは本末転倒になるため、無理なく支払える範囲で加入することが大切です。
【世帯年収別の年間払込保険料】
世帯年収 | 年間保険料の平均払込額 | 年収に対する割合(%) |
---|---|---|
200万円未満 | 21万円 | 10% |
200~300万円 | 30万円 | 10~15% |
300~400万円 | 27.9万円 | 7~9% |
400~500万円 | 36.9万円 | 7~9% |
500~600万円 | 34.6万円 | 6~7% |
600~700万円 | 38万円 | 5~6% |
700~1,000万円 | 42.9万円 | 4~6% |
1,000万円以上 | 61万円 | 6% |
世帯年収 | 年間保険料の平均払込額 | 年収に対する割合(%) |
---|---|---|
200万円未満 | 21万円 | 10% |
200~300万円 | 30万円 | 10~15% |
300~400万円 | 27.9万円 | 7~9% |
400~500万円 | 36.9万円 | 7~9% |
500~600万円 | 34.6万円 | 6~7% |
600~700万円 | 38万円 | 5~6% |
700~1,000万円 | 42.9万円 | 4~6% |
1,000万円以上 | 61万円 | 6% |
まとめ
貯蓄型の生命保険(共済)について、保険の種類や選び方などを解説してきました。
貯蓄型の生命保険は、保障機能と貯蓄機能を兼ね備えています。特に、貯蓄を目的として加入する際は、何のための資金準備であるかを明確にしておくと、契約を継続するモチベーションになるのではないでしょうか。
また、無理のない保険料を設定することも大切です。自分にあった貯蓄型の生命保険を選べるように、保険会社の商品を比較して加入するようにしましょう。