給付型奨学金は親の年収がポイント?給付申請の条件や注意点についても解説!

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2023.09.29

給付型奨学金は親の年収がポイント?給付申請の条件や注意点についても解説!

大学や短大・専門学校に進学するには、入学金や授業料、施設費などを払わなければなりません。こうした進学費用は高額であるため、払うのが困難な家庭も少なくないでしょう。


経済的な理由で進学を諦めないで済むよう、奨学金の制度が設けられています。奨学金のなかでも、給付型奨学金は、返済不要という大きなメリットがあります。


本記事では、給付型奨学金について説明します。親の年収や成績など、給付型奨学金をもらうための条件や注意点について知っておきましょう。


本内容は、令和5年7月の制度等に基づき、記載しています。

給付型奨学金について

奨学金には、貸与型と給付型があります。ここでは、給付型奨学金とはどのようなものかを説明します。

給付型奨学金とは?

給付型奨学金は、返さなくてよい奨学金、すなわちもらえる奨学金です。奨学金のなかには、返さないといけないものもあります。返済が必要な奨学金は、貸与型の奨学金と呼ばれます。


奨学金事業をおこなっている団体は多数ありますが、最も多くの学生が利用しているのが日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。JASSOは国の奨学金事業を担当している独立行政法人です。


JASSOの奨学金にも、貸与型と給付型があります。JASSOの給付型奨学金は2020年4月にスタートした比較的新しい奨学金制度です。

給付型奨学金の種類

給付型奨学金をもらうには、それぞれの支給団体が定めた条件を満たさなければなりません。特に、所得による制限があるものが多くなっています。そもそも奨学金は、経済的な理由で進学が困難な学生を支援するための制度です。親が高所得の場合には、一般には奨学金の対象外となってしまいます。JASSOの給付型奨学金にも、親の所得の要件が設けられています。


民間団体が運営する給付型奨学金のなかには、一部ですが所得制限が設けられていないものもあります。例えば、以下の団体が支給している給付型奨学金では、所得制限について明記されていません。


公益財団法人キーエンス財団

公益財団法人サカタ財団

公益財団法人山田長満奨学会

公益財団法人伊藤謝恩育英財団


なお、所得要件が明記されていなくても、応募時に親の所得の申告や所得証明書の提出が必要な場合があります。また、誰もが利用できるわけではなく、大学が指定されていたり、専攻分野が限定されていたりするケースもあるので注意しましょう。

給付型奨学金の受給条件

大学進学のため奨学金を受給したい場合、まずはJASSOの給付型奨学金を受給できないか確認してみましょう。ここからは、JASSOの給付型奨学金の受給条件について説明します。


JASSOの給付型奨学金には「学力基準」と「家計基準」の2つの基準があり、受給するには両方の基準を満たす必要があります。


なお、申し込み方法については、大学に進学する前の高校生のときに申し込む「予約採用」と、大学進学後に申し込む「在学採用」の2つのパターンがあります。どちらのパターンかでも条件は変わってきます。


【学力基準】

【家計基準】

家計基準には、収入基準と資産基準があり、両方を満たす必要があります。


収入基準の「支給額算定基準額」とは、原則として次の計算式で算出される額です。

課税標準額×6%-(市町村民税調整控除額+市町村民税調整額)


JASSOの給付型奨学金の対象となった場合、別途進学先の大学などに申し込むことで、授業料および入学金の減免も受けられます。給付型奨学金と授業料減免の両方をセットで利用できるため、進学費用の負担を大幅に軽減できます。

給付型奨学金と親の年収の関係

JASSOの給付型奨学金を受給するには、学力基準と家計基準の両方を満たさなければなりません。学力基準については、成績評定が基準に届かなくても、レポートや学修計画書で学修意欲を示すことで満たせます。


一方、家計基準については確定した所得を基準にするため、対象外であればどうしようもありません。学生本人には所得がないことが多いので、実際に問題になるのは親の所得です。


ここからは、学生本人には住民税が課税されるだけの所得がないものと仮定し、親の年収がどれくらいであれば給付型奨学金をもらえるのかを説明します。

給付型奨学金の家計基準について

給付型奨学金の家計基準は、第1区分~第3区分の3つの区分に分かれています。該当する区分によって、受けられる奨学金の額が変わります。


区分を判断する際の基準となるのは、親の所得をもとに算出した「支給額算定基準額」です。ちなみに、所得とは収入から必要経費を差し引いたもので、年収そのものではありません。給与所得者の場合には、年収から給与所得控除を差し引いたものが所得になります。


第1区分~第3区分に該当する支給額算定基準額は、次の表のとおりです。



区分 該当する条件
第1区分 支給額算定基準額が100円未満(市町村民税所得割が非課税)
第2区分 支給額算定基準額が100円以上2万5,600円未満
第3区分 支給額算定基準額が2万5,600円以上5万1,300円未満

第1区分は住民税非課税世帯、第2区分、第3区分は住民税非課税に準ずる世帯です。


上記の支給額算定基準額を見ただけでは、親の年収がどれくらいなら給付奨学金がもらえるのかわからないでしょう。第1区分~第3区分に該当する親の年収がいくらになるかは、親の職業や家族構成によって変わってきます。


例えば、学生本人(18歳)、父(給与所得者)、母(専業主婦)、弟(中学生)という4人家族を想定した場合、第1区分~第3区分に該当する親の年収(予約採用の場合)の目安は次のとおりです。



区分 親の年収の目安
第1区分 270万円以下
第2区分 300万円以下
第3区分 380万円以下

なお、親の所得については、毎年6月に更新される情報をもとに判定します。高校生のときに在学採用で申し込んで対象外だった場合でも、大学進学後に申し込めば給付奨学金がもらえる可能性があります。

給付型奨学金の支給額について

給付型奨学金の対象となる場合、いくら支給されるのかをみてみましょう。給付型奨学金の支給額は、第1~第3の区分のほか、進学する学校の種別(国公立か私立か)、通学状況(自宅通学か自宅外通学か)によっても異なります。


大学・短期大学・専修学校(専門課程)の場合、1ヵ月あたりの支給額は次の表のとおりです。


区分 国公立 私立
自宅通学 自宅外通学 自宅通学 自宅外通学
第1区分 29,200円
(33,300円)
66,700円 38,300円
(42,500円)
75,800円
第2区分 19,500円
(22,200円)
44,500円 25,600円
(28,400円)
50,600円
第3区分 9,800円
(11,100円)
22,300円 12,800円
(14,200円)
25,300円
スクロールできます
区分 国公立 私立
自宅通学 自宅外通学 自宅通学 自宅外通学
第1区分 29,200円
(33,300円)
66,700円 38,300円
(42,500円)
75,800円
第2区分 19,500円
(22,200円)
44,500円 25,600円
(28,400円)
50,600円
第3区分 9,800円
(11,100円)
22,300円 12,800円
(14,200円)
25,300円

※(  )内は生活保護を受けている世帯の支給額


なお、給付型奨学金の対象となった場合、大学などでの授業料減免の対象にもなります。参考までに、第1区分で大学(昼間制)に在籍する学生の授業料減免による支援額は次のとおりです。



入学金 授業料
国公立 約28万円 約54万円/年
私立 約26万円 約70万円/年

※第2区分については上記の3分の2、第3区分については上記の3分の1の金額が支援されます。

給付型奨学金における注意点

給付型奨学金は、一度対象になったら卒業まで必ずもらえるわけではありません。毎年1回、来年度も継続して受給を希望するかを届け出る必要があります。つまり、給付型奨学金をもらいたければ、毎年申請しなければなりません。


また、親の所得が変化した場合には、奨学金の支給額が変わったり、給付を打ち切られたりすることもあります。給付奨学金の対象となった際には、JASSOにマイナンバーを提出しなければなりません。JASSOでは年1回、マイナンバーを利用して所得状況を確認し、給付型奨学金の適格認定をおこなう仕組みになっています。


給付型奨学金は、学修状況や生活態度によっても打ち切られることがあります。学業などの適格認定も年1回おこなわれます。適格認定の結果、「継続」となれば受給を継続できます。他の処分区分(廃止・停止・警告)に該当した場合には、次のような扱いになります。


(1)廃止

給付が打ち切られます。学校から退学、除籍、無期停学または3ヵ月以上の停学の処分を受けている場合、学業成績が著しく不良でやむを得ない事由がない場合には、奨学金の返還を要求されます。


(2)停止

学校から3ヵ月未満の停学または訓告処分を受けている場合、奨学金の支給は停止されます。処分終了後、学校からの報告を受けたら、奨学金支給は再開します。


(3)警告

学業不振や学修意欲が欠如している場合、警告となります。一度警告となっただけでは、奨学金の支給は停止しません。ただし、学業成績が向上せず、次回認定時にも再度警告となれば、奨学金の支給が打ち切られます。

給付型奨学金の今後

JASSOの給付型奨学金は、2024年から対象が拡大される予定です。現行の制度で対象となるのは年収380万円程度までの世帯ですが、新たに年収600万円程度までの世帯の一部が対象に含められます。なお、新たに対象となるのは、子供が3人以上の多子世帯や、高額の学費がかかる理工農系学生のいる世帯です。


給付型奨学金の対象となった場合、大学などでの授業料減免も合わせて受けられます。多子世帯の場合、第1区分の4分の1の支援が受けられるので、授業料減免と合わせて最大約40万円(私立・自宅外通学の場合)を支援してもらえることになります。

まとめ

給付型奨学金は、返済不要の奨学金です。親の年収などの受給条件をクリアした場合には、給付型奨学金を利用して大学などへ進学できる可能性があります。給付型奨学金の条件や対象について知っておき、もらえそうな場合には手続きをするのがおすすめです。


教育費は共済を利用して積み立てることも可能です。共済のなかには、貯蓄型で進学時に学資金を受け取れるタイプのものもあります。将来の不安を少しでも解消するために、共済の活用も検討してみてください。


参考:
公益財団法人キーエンス財団
https://www.keyence-foundation.or.jp/scholarship01/application/requirements/

公益財団法人サカタ財団
https://sakatazaidan.or.jp/pdf/requirements_fifth.pdf

公益財団法人山田長満奨学会
https://www.yamada-foundation.or.jp/apply/

公益財団法人伊藤謝恩育英財団
https://www.ito-foundation.or.jp/system/application.html

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