これを読めば分かる!2020年の教育改革で変わることまとめ
“子育て”に関するねだんのこと
2018.12.25
変化の激しいこれからの時代において「生きる力」を育む取り組みとして、大きな教育改革が行われようとしています。それが2020年に向けた教育改革です。さまざまなところで取り上げられているため、知っている、もしくは気になっている人は多いのではないでしょうか。お子さんのいるご家庭にとっては他人事ではない教育改革について。2020年の教育改革で、なにがどう変わるのかを見ていきましょう。
2020年の教育改革で変わること
2020年の教育改革で変わることは、大きく二つ。新学習指導要領の導入による学校教育の改革と、大学入学共通テストの導入による大学入試の改革です。
<新学習指導要領>
新学習指導要領では、「なんのために学び」「なにができるようになるのか」が重視されるようになります。新しい時代に必要となる資質・能力の育成と学習評価を充実させる目的で、「どのような力(資質・能力)を身につけるのか」まで踏み込んだ指導が行われるのです。新学習指導要領で育成しようとしている資質は、主に三つのポイントに分けられています。
◎学びに向かう力・人間性…どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか
◎知識・技能…なにを理解しているか、なにができるか
◎思考力・判断力・表現力等…理解していること・できることをどう使うか
たしかな学力と健やかな体、そして豊かな心を総合的に育み、子どもたちを新時代に適応できる人材に育成するため、主体的かつ対話的な深い学びを取り入れた授業が行われるようになるのです。
<大学入学共通テスト>
大学入試はどう変わるのかというと、センター試験の代わりに「大学入学共通テスト」が導入されます。今までのような選択式ではなく、記述式の問題を取り入れることで、自らの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて記述できたりする力を評価します。この改革の背景には、グローバル化の進展や、産業構造・就業構造の転換、労働力の低迷、生産年齢人口の減少などがあります。これら時代の変化に合わせて、「学生に求められる力」も変化しているのです。
では、この教育改革が実際にどのように導入されていくのか。今後のスケジュールはこのようになっています。
2018年度 「新学習指導要領」の移行措置がスタート
2019年度 「高校生のための学びの基礎診断」を実施
2020年度 「新学習指導要領」を小学校で全面実施、「大学入学共通テスト」を実施
2021年度 「新学習指導要領」を中学校で全面実施
2022年度 「新学習指導要領」高校で実施
以上のように段階を踏みながら、小学校の授業内容から大学入学試験まで、広く教育改革が行われる予定です。
これからの教育に求められること
では、新学習要領では子どもたちの受ける授業などは具体的にどう変化するのでしょうか。
■なにを学ぶのか?
<小学校>
3・4年生…「外国語活動」が導入される
5・6年生…「英語」が教科になる
<高校>
「公共」「歴史総合」「地理総合」「理数探求」などの科目が新設される
学習内容は削らずに、教科ごとに育む能力を明確化するとのことです。
■どのように学ぶか
生きて働く知識・技能の習得など、新しい時代に求められる資質・能力を育成するため、今までのような一方的な授業ではなく主体的かつ対話的な深い学びを取り入れた授業へと変化します。主体的かつ対話的な深い学びを取り入れた授業とは、言い換えれば「アクティブラーニング」な授業ということ。
たとえば、ディベートやグループワーク、調査学習や体験学習などの、参加・体験型の授業へと変わるのです。
英語教育の重要性が増す
これら2020年の教育改革を語る上で外せないのが、「英語教育」です。グローバル化が進む中で、2017年の時点で日本国内における外国人労働者は約128万人。2008年時点の約49万人から、この9年で2.5倍以上に増えています。また、海外で暮らす日本人の数も2017年時点で約135万人と、英語が話せるグローバル人材が求められるシーンは今後ますます増えていきます。
そこで今回の教育改革では、小中高で一貫した目標を定めた英語教育を実施。小学校では「英語」が正式科目になり、中学・高校では英語の授業には英語を用いるなど、基礎教育から力を入れていくことになります。また、英語力の評価も変わるため、大学入学共通テストでは、英語は4技能、資格・検定試験を活用することになります。
<小学校>
3・4年生…「外国語活動」の実施。年間35時間程度、英語の音声やリズムなどに慣れ親しむ授業を行います。英語を聞いたり話したりする機会を増やし、言葉として興味をもってもらうことで下地を作り上げるのです。
5・6年生…「英語」が正式な教科として取り入れられるようになります。つまり、成績の判定がなされるということ。年間の授業時間は70時間で、聞く・話すに加え、読む・書くなどを行う文字指導も行います。
<中学校・高校>
英語の授業は「英語で行うこと」が基本になります。
さらに、高校生になると新設される「倫理・表現」の科目の中で、英語で話をしたり書いたりすることを中心に発信力の強化が図られます。また、スピーチやプレゼンテーション、ディベート、ディスカッションなどを取り入れることで、英語でのコミュニケーション能力を養うのです。
<大学入学共通テスト>
過去「聞く、読む」の2技能で判断していたものが、「聞く、読む、話す、書く」の4技能を見られることになります。
TOEFL、TOEIC、実用英語技能検定(英検)などの資格・検定試験結果を活用できるように。これらの結果は、書類審査や加点、みなし得点として活用されます。
こうして見てみると、2020年の教育改革では今までの日本の教育方法から大きく舵を切ることがわかります。授業は受けるものから参加するものへ変わっていくのです。お子さんがいるご家庭では、この教育改革の波を受けることは確実です。まずは教育改革によってどのような変化が起こるのかを知ること、そしてお子さんの健やかな未来のために準備すべきことを考えるなどして備えましょう。