傷害保険とは?特徴や保険金の種類について
“その他”に関するねだんのこと
2022.12.19
日常生活ではさまざまな場面においてケガをするリスクが潜んでいます。乗り物での移動中や道路を歩いているとき、階段を上り下りしているとき、スポーツをしているときなど、危険がたくさんあります。そのような中で予想外に生じた事故によってケガをした場合に、治療費などの経済的負担をカバーできる保険が傷害保険(共済)です。
今回は、傷害保険(共済)の特徴や受け取れる保険金の種類などについて解説します。保険金を受け取れないケースについても説明していますので、加入する前にしっかりと把握しておきましょう。
本内容は、令和4年10月の制度等にもとづき、記載しています。
本記事に記載の内容・条件は保険会社によって異なる場合がございます。詳しくは保険・共済各社・各団体へお問い合わせください。
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傷害保険とは
傷害保険(共済)は、日常生活のなかで起こる万一のケガに対して補償する保険です。傷害保険(共済)の対象は「ケガ」によるものであり、医療保険(共済)とは違って「病気」によるものは補償されません。ケガによって通院・入院・手術した場合や後遺障害を負った場合、死亡した場合に保険金を受け取れます。
ただし、どのようなケガでも補償されるわけではありません。傷害保険(共済)で保険金を受け取れる「ケガ」とは、「急激かつ偶然な外来の事故」によるものとされています。この「急激かつ偶然な外来の事故」とはどのような事故をいうのか、定義について確認しておきましょう。
「急激かつ偶然な外来の事故」の内訳 | |
---|---|
「急激」 | 突発的な事故から直接的にタイムラグなくケガに至ること |
「偶然」 | 事故の発生やケガの発生などを予測できないこと |
「外来」 | ケガの原因が身体の外からの作用によること |
「急激かつ偶然な外来の事故」の内訳 | |
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「急激」 | 突発的な事故から直接的にタイムラグなくケガに至ること |
「偶然」 | 事故の発生やケガの発生などを予測できないこと |
「外来」 | ケガの原因が身体の外からの作用によること |
例えば、階段を踏み外して転倒したことによるケガは、上記3つの要件をすべて満たしているといえます。では、靴ずれはどうでしょうか。靴ずれの場合、身体の外からの作用であるため「外来」の条件は満たしていますが、一般的には、長期的・継続的な行為によって引き起こされたものであり、急激性があるとはいえません。そのため、傷害保険(共済)の補償対象外です。この他にも、傷害保険(共済)の補償対象とならない代表的な事例として、しもやけ、疲労骨折、熱中症、心臓発作が原因の転倒によるケガ、細菌性食中毒やウィルス性食中毒などが挙げられます。
これに加えて、一般的に地震、噴火、これらによる津波を原因とするケガも補償対象外となりますが、オプションとして追加の保険料を支払うことによって補償が可能になる商品もあります。
傷害保険の特徴
ここからは、傷害保険(共済)の特徴についてさらに詳しくみていきましょう。
支払われる保険金額が定額
傷害保険(共済)で補償の対象となった場合には、契約時に定めた金額を保険金として受け取ります。この支払い方式を「定額払い」といいます。
傷害保険(共済)は、モノではなく人に対する保険であり、人の身体に値段をつけることはできないという考え方から、あらかじめ定めた保険金が支払われる方式が一般的にとられています。傷害保険(共済)の他に、生命保険(共済)や医療保険(共済)においても同様の考え方により定額払いを採用しています。
定額払いの保険契約(共済)は、健康保険や労災保険など他の保険契約から保険金を受け取った場合でも保険金が支払われます。また、傷害保険(共済)を複数の保険会社と契約していた場合でも、各保険契約から保険金を受け取ることが可能です。
補償範囲の設定がさまざま
日常生活におけるケガを補償する傷害保険(共済)にはさまざまな種類があります。補償対象とする事故の範囲に応じて、大きく次の3種類に分けられます。
- 普通傷害保険(共済)
- 旅行傷害保険(共済)
- 交通事故傷害保険(共済)
また、それぞれ誰を補償対象にするかによってさらに保険商品が派生しています。では、これらの傷害保険(共済)がどのようなケースで補償されるのかをみていきましょう。
普通傷害保険(共済)は、傷害保険のなかでも最も補償範囲が広い基本的な保険です。国内外問わず、家庭内や仕事中、通勤中、旅行中、スポーツ中などのケガを補償してくれます。日常生活における全般のケガに対して補償をつけたい場合におすすめです。保険料は年齢や性別による差はありませんが、仕事中のケガも補償されることからケガを負うリスクが高い職業ほど保険料が高くなります。例えば、土木作業者や建設作業者などがリスクの高い職業とされています。
また、補償の対象に家族も含めたい場合は家族傷害保険(共済)に加入することで対応可能です。家族傷害保険(共済)であれば、本人の他に配偶者や同居の親族、そして別居している未婚の子を補償の対象にできます。さらに、保険期間中に子を出産した場合は、一般的に手続きをしなくとも自動的に補償の対象となります。
交通事故傷害保険(共済)とは、交通事故によるケガの補償に特化した傷害保険です。自動車や自転車などの運転中はもちろん、公共の乗り物に乗車中、歩行中、そして駅改札口内での事故などによるケガが補償の対象となります。普通傷害保険(共済)よりも補償対象となるケガを限定しているため、保険料を安く抑えることができます。家族も補償の対象に含めたい場合には、ファミリー交通傷害保険(共済)に加入します。
最後に、旅行傷害保険(共済)について見ていきましょう。旅行傷害保険(共済)は、旅行中のケガに特化した傷害保険(共済)であり、国内旅行傷害保険(共済)と海外旅行傷害保険(共済)の2種類があります。旅行のために家を出てから、家に到着するまでの間のケガを補償してくれます。海外旅行傷害保険(共済)は旅程内であれば国内海外問わず補償の対象です。
また、ケガのみならず、携行品の破損や盗難、航空機遅延時のホテル代などもオプションとして特約をつけることによって補償できます。
病気は補償対象外
傷害保険(共済)の補償対象は、「急激かつ偶然な外来の事故」によるケガです。病気は、「外来の事故」、つまり身体の外からの作用であるという要件を満たしません。そのため、体内で起こる病気は補償対象とはなりません。また、心臓発作やその他の持病などを原因に転倒してケガをした場合なども補償の対象外です。
支払われる保険金の種類が多い
傷害保険(共済)に加入することで受け取れる主な保険金は、次のとおりです。
保険金の種類 | 一般的な要件 | 支払われる額 |
---|---|---|
死亡保険金 | 事故の発生の日からその日を含めて180日以内に死亡した場合 | 死亡・後遺障害保険金額の全額 |
後遺障害保険金 | 事故の発生の日からその日を含めて180日以内に後遺障害を負った場合 | 死亡・後遺障害保険金額×所定割合(後遺障害の程度に応じた4%~100%の割合) |
入院保険金 | 事故の発生の日からその日を含めて所定期間内に入院した場合 | 入院保険金日額×入院日数 |
手術保険金 | 事故の発生の日からその日を含めて所定期間内に手術をした場合(1事故につき1回の手術を補償) | 入院保険金日額×所定倍率 |
通院保険金 | 事故の発生の日からその日を含めて所定期間内に通院した場合 | 通院保険金日額×通院日数 |
保険金の種類 | 一般的な要件 | 支払われる額 |
---|---|---|
死亡保険金 | 事故の発生の日からその日を含めて180日以内に死亡した場合 | 死亡・後遺障害保険金額の全額 |
後遺障害保険金 | 事故の発生の日からその日を含めて180日以内に後遺障害を負った場合 | 死亡・後遺障害保険金額×所定割合(後遺障害の程度に応じた4%~100%の割合) |
入院保険金 | 事故の発生の日からその日を含めて所定期間内に入院した場合 | 入院保険金日額×入院日数 |
手術保険金 | 事故の発生の日からその日を含めて所定期間内に手術をした場合(1事故につき1回の手術を補償) | 入院保険金日額×所定倍率 |
通院保険金 | 事故の発生の日からその日を含めて所定期間内に通院した場合 | 通院保険金日額×通院日数 |
それぞれの保険金について、詳しくみていきましょう。
死亡保険金・後遺障害保険金
ケガによって死亡した場合や後遺障害が残ってしまった場合に、あらかじめ定めた額の保険金を受け取れます。死亡した場合は死亡・後遺障害保険金額の100%を、後遺障害の場合は障害の部位や程度に応じて等級が決まり、その等級に応じて受け取れる保険金が決定します。
入院保険金
入院保険金は、ケガの治療を目的に入院した場合に、あらかじめ定めた日額の入院保険金額を入院日数分だけ受け取れます。一般的に事故発生日から180日を経過したあとの入院については受け取れず、また支払対象となる日数も限度が設定されています。ただし、日数の設定については保険会社によって異なるため、契約前に確認をしておきましょう。
手術保険金
手術保険金とは、ケガの治療のために手術をした場合に、あらかじめ定めた日額の入院保険金額をもとに算定された保険金を受け取れます。入院中に受けた手術であれば、入院保険金額日額の10倍、入院中以外に受けた手術であれば5倍の金額が基本補償ですが、倍率の数字は複数の選択肢から選ぶことが可能な商品もあります。なお、手術保険金は1事故につき1回までしか補償されません。
通院保険金
通院保険金は、ケガの治療のために通院した場合に、あらかじめ定めた日額の通院保険金額を通院日数分だけ受け取れます。入院保険金と同様、一般的に事故発生日から180日を経過したあとの通院については補償を受けられず、また支払対象となる日数も限度が設定されています。ただし、保険会社によって日数の設定が異なるため、入院保険金とあわせて注意が必要です。
このように、傷害保険(共済)は受け取れる保険金の種類がさまざまです。すぐに治るようなケガであれば金銭的負担もそれほど大きくありませんが、入院や手術が必要な大ケガをしてしまい長期的な治療が必要になると、治療費として大きな出費となる可能性もあります。傷害保険(共済)は、健康保険など他の補償の有無に関わらず保険金を受け取れるため、治療にあたっての金銭的な不安を軽減できます。
保険金が支払われないケースに注意
傷害保険(共済)は、「急激かつ偶然な外来の事故」によるケガが保険金を受け取れる対象だとお伝えしました。ここでは、保険金を受け取ることができないケースについてもう少し詳しく確認しておきましょう。
傷害保険(共済)では、以下の事由によって生じたケガに対しても補償はされません。
- 故意または重大な過失
- 自殺行為・犯罪行為・闘争行為
- 無免許運転、酒酔い運転、麻薬・シンナーなどを使用した運転によって生じた事故
- 脳疾患、疾病、心神喪失
- 妊娠、出産、早産、流産または外科的手術その他の医療処置
- 戦争、内乱、暴動などの異常な事態
- 地震・噴火またはこれらによる津波
- 山岳登はん、リュージュ、スカイダイビング、ハンググライダー搭乗その他これらに類する危険な運動
ただし、なかには追加の保険料を支払うことによって補償できるものもあります。例えば、地震などによるケガについては、「天災危険補償特約」というオプションの補償を付けられる保険会社もあります。また、ピッケルやザイル等の用具を使用する山岳登はんやスカイダイビングなどは「危険な運動」とみなされ、ケガをする可能性が非常に高いとされています。これらによるケガも補償したい場合は、追加の保険料を支払って補償の拡大する必要があります。
まとめ
傷害保険(共済)は、突然の事故によるケガに備える保険です。予測できない突発的な事故が補償対象であり、このような事故を未然に防ぐことは注意を向けていたとしても難しいものです。日常生活全般におけるケガを補償してくれる保険もあれば、交通事故傷害保険(共済)のように補償対象となる事故を限定した保険もあるため、自分のライフスタイルなどに応じて、傷害保険(共済)への加入を検討してみてはいかがでしょうか。