自動車保険(共済)の相場はいくら?保険料算出の方法や目安をご紹介

自動車保険(共済)の相場はいくら?保険料算出の方法や目安をご紹介

自動車保険(共済)の保険料はいくらくらいが相場なのか、加入している自動車保険(共済)の保険料が高すぎるのではないか気になっている方もいるのではないでしょうか。この記事では、保険料の算出方法と保険料の目安などについて紹介します。

本内容は、令和4年10月の制度等に基づき記載しています。


自動車保険の保険料はどう決まるのか

自動車保険(共済)の保険料は、大きく「純保険料」と「付加保険料」の2つから成り立っています。

純保険料

純保険料とは、事故が起きたときに支払われる保険金の原資(資金源)となるもので、事故の発生頻度や損害額など、過去の大量のデータに基づいて算出されます。

純保険料の総額は保険会社が支払う保険金の総額と等しくなるよう計算されており、これを「収支相当の原則」といいます。

また、契約者一人ひとりの純保険料は保険会社が引き受けるリスク(危険)の度合いに比例して決まり、リスクの高い方の保険料は高く、リスクの低い方の保険料は安くなります。これを「給付・反対給付均等の原則」といいます。

付加保険料

付加保険料とは、保険会社が事業を運営するための費用をまかなうものです。付加保険料には、保険会社が保険事業を運営するための費用(社費)や保険の募集や保全をおこなう損害保険代理店に支払う手数料(代理店手数料)、保険会社の利益(利潤)などが含まれます。

純保険料はすべて保険金として支払ってしまうため、保険会社が保険を事業として継続していくには、純保険料とは別に付加保険料を契約者から徴収する必要があるのです。

事業の運営にかかる費用は保険会社によって異なるため、その差が保険料にも影響します。

保険料の算出に用いられる項目

保険料のうち、純保険料は各契約者のリスクの大きさに応じて算出され、リスクの高い契約者の保険料は高く、リスクの低い契約者の保険料は安くなる仕組みです。

保険料に反映できるリスク(危険要因)は、保険業法に9項目が定められており、その中から各保険会社が保険料の算出に用いる項目を選んでいます。どの項目を保険料の算出に用いるかは各保険会社の自由ですが、それぞれの項目による保険料の差は統計や保険数理に基づいて定めなければならないルールです。

具体的にどのような項目が保険料の算出に用いられるのか、みていきましょう。

年齢

交通事故のリスクは運転者の年齢によって異なるため、運転者の年齢範囲と記名被保険者の年齢範囲によって保険料に差がつけられています。

事故率の高い10代から20代の保険料が最も高く、事故率の低下する30代以降の保険料は安く設定されます。高齢になると事故率が再び上がるため、保険料も上がるのが一般的です。

個人契約の自動車保険(共済)における年齢区分は、まず運転者の年齢範囲に応じて3区分※1され、さらに26歳以上は記名被保険者の年齢層に応じて6区分※1されます(※1 年齢の区分は保険会社によって異なる場合があります。JA共済では35歳以上補償を含む4区分)。

<自動車保険(共済)の年齢区分>

事故リスクが最も高い「全年齢補償」の保険料が最も高く、「21歳以上補償」、「26歳以上補償」の順で保険料は安くなっていきます。

運転歴

保険契約者の過去の運転歴(事故歴)によって事故リスクに差があることから、運転歴(事故歴)の違いが保険料にも反映されます。

等級

自動車保険(共済)における事故歴は「一般的に等級(ノンフリート等級)」によって評価されます。

等級は最もリスクが高い1等級から、最もリスクの低い20等級に区分され、等級が高くなるほど保険料は安くなります。7等級以上は過去の事故の有無でさらに「無事故」と「事故有」に区分され、等級が同じであれば「事故有」のほうが保険料は高くなります。

新規で自動車保険(共済)を契約する場合の等級は、6等級または7等級※2からのスタートです(※2 7等級スタートは、一定の条件を満たす2台目以降の契約の場合)。契約後、自動車保険(共済)を使う事故がない場合、1年経過するごとに1等級アップします。

等級が上がるにつれて割引率も上がり、そのほかの条件が変わらなければ保険料は安くなっていきます。

事故で自動車保険(共済)を使うと翌年度の等級が3等級または1等級下がり※3、そのほかの条件が変わらなければ保険料は高くなります(※3 人身傷害保険のみにかかる事故など、保険を使っても等級が下がらない事故もあります)。

ゴールド免許割引

記名被保険者の運転免許証の色がゴールド(優良運転者)であれば、事故リスクが低いと判断され、多くの個人自動車保険(共済)で保険料が割引かれます。

自動車の使用目的

自動車の使用目的(自家用・事業用)によって事故リスクは変わるため、保険料にも差がつけられています。

保険会社によっては、自家用自動車の使用目的をさらに細かく区分して保険料を算出しています。この場合の一般的な区分は、「日常・レジャー使用」「通勤・通学使用」「業務使用」の3つで、この順に保険料が高くなります。これは日常・レジャー使用よりも通勤・通学使用、通勤・通学使用よりも業務使用のほうが自動車を使用する頻度は高くなり、事故リスクが高まるからです。

年間走行距離

年間走行距離が少ないほど事故リスクは低くなる傾向があるため、保険料は安くなります。

自動車の種別(型式)

自動車の種別(型式)によって事故リスクは大きく変わるため、保険の対象となる自動車の型式ごとに保険料に差がつけられています。

自家用普通・小型乗用車は「1〜17」の17クラス、軽四輪乗用車は「1〜3」の3クラスに区分されています。この「型式別料率クラス」は、高いほど事故リスクが高いことを意味し、保険料も高くなります。

型式別料率クラスは、蓄積された事故データなどをもとに毎年見直され、クラスの変更があると保険料も変化します。自分は事故を起こしていなくても、同じ型式の自動車で事故が多いとクラスが引き上げられ、保険料が上がることがあるのです。

新しく発売された型式の自動車はデータが蓄積されていないため、自家用普通・小型乗用車は排気量や新車価格などに基づいたクラス、軽四輪乗用車は一律クラス2が適用されます。

そのほか、保険料の算出に用いられる項目は次の4つです。


  1. 地域(自動車を主に使用する地域)
  2. 自動車の安全装置の有無(衝突被害軽減ブレーキ(AEB)の装着の有無)
  3. 自動車の所有台数(契約台数9台以下と10台以上で保険料算出方法が異なる)
  4. 性別

自動車保険の保険料相場

自動車保険(共済)に加入する場合、補償内容はもちろんのこと、やはり気になるのは保険料ではないでしょうか。保険料の相場はいくらくらいになるのか、実際にシミュレーションして確認してみましょう。

今回は以下の条件でシミュレーションしています(記名被保険者の年齢(運転者の年齢範囲)と免許証の色、等級、車両保険の有無は条件を変え、複数のパターンで試算)。


試算条件(共通)
始期年月日 2022年12月1日
保険期間 12ヵ月
対象車両 車種・型式 トヨタ ヤリス(5ナンバー)KSP210(ハッチバック)1000X(2020年2月発売)
初年度登録年月 2022年11月
記名被保険者の性別 男性
運転者限定 本人限定
使用目的/年間走行距離 通勤・通学/5,001〜6,000km
主に運転する都道府県 東京都
補償内容 対人賠償 無制限
対物賠償 無制限(対物超過修理費用特約付帯)
人身傷害(一般) 3,000万円
車両保険(一般型)
※付帯時
保険金額165万円・免責1回目5万円・2回目10万円
その他特約 他者運転特約、無保険者傷害特約(2億円)、被害者救済費用特約
適用割引 新車割引、ASV割引、車両保険セット割引(車両保険付帯時のみ)
試算条件(共通)
始期年月日 2022年12月1日
保険期間 12ヵ月
対象車両 車種・型式 トヨタ ヤリス(5ナンバー)KSP210(ハッチバック)1000X(2020年2月発売)
初年度登録年月 2022年11月
記名被保険者の性別 男性
運転者限定 本人限定
使用目的/年間走行距離 通勤・通学/5,001〜6,000km
主に運転する都道府県 東京都
補償内容 対人賠償 無制限
対物賠償 無制限(対物超過修理費用特約付帯)
人身傷害(一般) 3,000万円
車両保険(一般型)
※付帯時
保険金額165万円・免責1回目5万円・2回目10万円
その他特約 他者運転特約、無保険者傷害特約(2億円)、被害者救済費用特約
適用割引 新車割引、ASV割引、車両保険セット割引(車両保険付帯時のみ)

※保険料はインターネット契約割引適用前の金額

20代の保険料

20代(25歳)の男性がこの自動車保険(共済)に加入する場合の年間保険料を試算すると、下表のようになります。

年間保険料(年払い)<車両保険(共済)なし・21歳以上限定補償>


等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 79,220円 66,280円
12等級(事故無) 44,920円 37,760円
20等級(事故無) 31,410円 26,530円
等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 79,220円 66,280円
12等級(事故無) 44,920円 37,760円
20等級(事故無) 31,410円 26,530円

年間保険料(年払い)<車両保険(共済)あり・21歳以上限定補償>


等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 167,660円 139,920円
12等級(事故無) 64,960円 54,510円
20等級(事故無) 61,650円 51,750円
等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 167,660円 139,920円
12等級(事故無) 64,960円 54,510円
20等級(事故無) 61,650円 51,750円

共通条件に加え、車両保険(共済)なし、免許の色がブルー、6S等級という条件でこの自動車保険(共済)に加入する場合の保険料は79,220円です。この保険料を基準に、条件が変わった場合の保険料を比較してみましょう。

免許の色がゴールドになると、保険料は12,940円下がり、66,280円になります。この自動車保険(共済)ではゴールド免許の方の保険料がブルー免許やグリーン免許の方より安くなる仕組みがあり有利です。

等級が20等級になると、保険料は47,810円下がり、31,410円になります。6S等級と20等級を比較した場合の割引率は約60.4%で、保険料には2倍以上の差があります。

6S等級で一般型の車両保険(共済)をつけた場合、保険料は88,440円上がり、167,660円になります。車両保険(共済)にかかる保険料は補償内容(補償範囲や車両保険金額など)によって変動するため、車両保険(共済)をつけると保険料がどのくらい上がるかは一概にいえません。

補償範囲の限定されていない車両保険(共済)(一般型)に、全損時新車に買い替えられる保険金額で加入する場合、車両保険(共済)をつけない場合の約2倍というのがおおよその目安です。

30代の保険料

30代(35歳)の男性がこの自動車保険(共済)に加入する場合の年間保険料を試算すると、下表のようになります。

年間保険料(年払い)<車両保険(共済)なし・35歳以上限定補償>


等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 40,120円 33,760円
12等級(事故無) 25,870円 21,920円
20等級(事故無) 18,420円 15,710円
等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 40,120円 33,760円
12等級(事故無) 25,870円 21,920円
20等級(事故無) 18,420円 15,710円

年間保険料(年払い)<車両保険(共済)あり・35歳以上限定補償>


等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 79,800円 66,850円
12等級(事故無) 50,800円 42,750円
20等級(事故無) 35,620円 30,130円
等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 79,800円 66,850円
12等級(事故無) 50,800円 42,750円
20等級(事故無) 35,620円 30,130円

共通条件に加え、車両保険(共済)なし、免許の色がブルー、6S等級という条件で自動車保険に加入する場合の保険料は40,120円です。これは同じ条件の20代(25歳)の保険料(79,220円)に比べ、39,100円安くなっています。20代から30代にかけて大きく低下する事故率(21歳以上限定補償から35歳以上限定補償への変更)が保険料にも反映された形です。

40代の保険料

40代(45歳)の男性がこの自動車保険(共済)に加入する場合の年間保険料を試算すると、下表のようになります。

年間保険料(年払い)<車両保険(共済)なし・35歳以上限定補償>


等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 38,890円 32,750円
12等級(事故無) 25,100円 21,290円
20等級(事故無) 17,900円 15,290円
等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 38,890円 32,750円
12等級(事故無) 25,100円 21,290円
20等級(事故無) 17,900円 15,290円

年間保険料(年払い)<車両保険(共済)あり・35歳以上限定補償>


等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 79,170円 66,320円
12等級(事故無) 50,400円 42,420円
20等級(事故無) 35,360円 29,910円
等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 79,170円 66,320円
12等級(事故無) 50,400円 42,420円
20等級(事故無) 35,360円 29,910円

共通条件に加え、車両保険(共済)なし、免許の色がブルー、6S等級という条件でこの自動車保険に加入する場合の保険料は38,890円です。同じ条件の30代(35歳)の保険料(40,120円)との差は1,230円であり、20代と30代の保険料を比べたときのような大きな差はありません。

50代の保険料

50代(55歳)の男性がこの自動車保険(共済)に加入する場合の年間保険料を試算すると、下表のようになります。

年間保険料(年払い)<車両保険(共済)なし・35歳以上限定補償>


等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 37,950円 31,970円
12等級(事故無) 24,530円 20,800円
20等級(事故無) 17,500円 14,960円
等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 37,950円 31,970円
12等級(事故無) 24,530円 20,800円
20等級(事故無) 17,500円 14,960円

年間保険料(年払い)<車両保険(共済)あり・35歳以上限定補償>


等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 78,310円 65,620円
12等級(事故無) 49,870円 41,970円
20等級(事故無) 34,990円 29,600円
等級 記名被保険者の免許証の色
ブルー ゴールド
6S等級(新規) 78,310円 65,620円
12等級(事故無) 49,870円 41,970円
20等級(事故無) 34,990円 29,600円

共通条件に加え、車両保険(共済)なし、免許の色がブルー、6S等級という条件でこの自動車保険に加入する場合の保険料は37,950円です。同じ条件の40代(45歳)の保険料(38,890円)との差は940円。年齢が上がるにつれて保険料は下がっていきますが、等級が同じであれば30代以降はほぼ横ばいです。

一括払い(年払い)のほうが支払総額は安くなる

保険期間1年の自動車保険(共済)の保険料の払込方法には、契約時に保険料全額を払い込む「一括払い(一時払い・年払い)」と毎月分割して支払う「月払い」があります。

月払いは契約時の負担を抑えられる点がメリットです。しかし、一部の契約を除き、支払総額は一括払いよりも高くなります。これは分割手数料が余計にかかることなどが理由です。

年間保険料を一括で支払う余裕があるなら、支払総額の安い一括払いを選んだほうがよいでしょう。

まとめ

自動車事故はいくら自分が気をつけていても100%防ぐことはできません。自動車を運転するのであれば自動車保険(共済)に加入し、少なくともお金の問題で困らないように備えておくと安心でしょう。

自動車保険(共済)に加入する場合、保険料の安さは重要ですが、補償が不足していては意味がありません。まずは必要な補償を設定し、そのうえで複数の保険会社を比較したり、契約条件の設定を工夫したりして、保険料を抑える方法を考えるのが正しい順番です。

今回ご紹介した保険料の決まり方や相場は、保険会社の比較や契約条件の設定をおこなう際に役立つため、しっかり押さえておきましょう。


参考:
日本損害保険協会
https://soudanguide.sonpo.or.jp/

お車の事故による賠償やご自身とご家族のケガ、修理に備える

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