学費が払えないと思ったら。覚えておきたい7つの対応策

学費が払えないと思ったら。覚えておきたい7つの対応策

子どもが進学するうえで必要になる学費。コツコツ順調に貯めていけるとよいですが、想定外の事情で学費が払えなくなってしまうこともあるかもしれません。


事実、新型コロナウイルスの影響で、学費が払えなくなってしまったご家庭が増えています。勤務先の営業自粛や倒産など、さまざまな事情で親の収入が減り、その結果子どもの学費が捻出できなくなっているのです。もし学費が払えなくなったら、退学しか道はないのでしょうか。学費が足りなくなったときに覚えておきたい対策について解説します。


本内容は、令和4年5月の制度等にもとづき、記載しています。

本記事に記載の内容・条件は保険会社によって異なる場合がございます。詳しくは保険・共済各社・各団体へお問い合わせください。

この記事を読むと分かること

  • 高校卒業までにかかる学費
  • 学費が払えないときの7つの対応策
  • 将来学費が払えなくなることを避けるためにできること

子どもの学費はどれくらいかかる?

高校卒業までの学費を公立と私立の場合に分けてまとめました。また、高校卒業後の費用についてもまとめましたので参考にしてください。公立と私立で学費は大きく異なります。学費の目安を理解して計画的に準備していきましょう。

高校卒業までの費用

高校卒業までの費用は以下のとおりです。


学校種別の公立私立別学費総額合計
公立幼稚園 64万9,088円 私立幼稚園 158万4,777円
公立小学校 192万6,809円 私立小学校 959万2,145円
公立中学校 146万2,113円 私立中学校 421万7,172円
公立高校 137万2,072円 私立高校 290万4,230円
合計 541万82円 合計 1,829万8,324円
学校種別の公立私立別学費総額合計
公立幼稚園 64万9,088円 私立幼稚園 158万4,777円
公立小学校 192万6,809円 私立小学校 959万2,145円
公立中学校 146万2,113円 私立中学校 421万7,172円
公立高校 137万2,072円 私立高校 290万4,230円
合計 541万82円 合計 1,829万8,324円

幼稚園から高校まですべて私立の場合、すべて公立の場合に比べて学費は約3.4倍程度で、総額にすると1,300万円ほど高いです。小学校の6年間の学費は、公立小学校の約192万円に対し私立小学校の学費は、約959万円と約5.0倍高くなります。修学旅行や遠足にかかる費用も公立小学校は1年間に約0.7万円に対して、私立小学校は約4.5万円と私立小学校のほうが約6.4倍高いです。


また、中学校の3年間の学費も、公立中学校は約146万円に対し、私立中学校は約421万円と約2.9倍高くなります。中学校の修学旅行費や遠足にかかる費用は、公立中学校は1年間に約2.6万円に対して、私立中学校は約8.3万円と約3.2倍高いです。


さらに私立の場合、交通費や制服・かばん代などの通学関係費も高い傾向にあるため、小学校や中学校から私立に進学する場合、ある程度の貯蓄が必要になるでしょう。


もちろん、「すべて公立」、「すべて私立」だけではなく、「中学までは公立、高校は私立」などさまざまなパターンがあります。しかし、公立に比べ私立はかなり学費がかかることは知っておきましょう。

大学での費用

また、大学での費用は以下のとおりです。


初年度にかかる公立私立別大学の費用
国立大学 私立大学
入学金 28万2,000円 24万5,951円
授業料 53万5,800円 93万943円
施設設備費 18万186円
実験実習料 3万4,462円
その他 9万1,423円
合計 81万7,800円 148万2,9654円
初年度にかかる公立私立別大学の費用
国立大学 私立大学
入学金 28万2,000円 24万5,951円
授業料 53万5,800円 93万943円
施設設備費 18万186円
実験実習料 3万4,462円
その他 9万1,423円
合計 81万7,800円 148万2,965円

大学の初年度の学費は国立大学、約81万円に対し、私立大学は148万円と私立大学のほうが約1.8倍で70万ほど高いです。
国立大学は施設設備費や実験実習料がない大学が多いですが、一部大学や学部によっては施設設備などがかかる場合もあります。


毎年の授業料(入学金を除いた金額)で比較すると、国立大学の授業料は53万5,800円に対して、私立大学の授業料などは123万7,013円※と、毎年かかる授業料などは私立大学のほうが2.0倍以上高いです。


入学金や毎年支払う学費などは、国立大学、私立大学で大きく異なり、私立大学の場合は文系や理系など学ぶ分野で大きく違いが出てくるため注意が必要でしょう。


特に私立の医歯系の学費は6年間でだいたい2,000~3,000万円程度、高ければ4,000万円を超える大学もあるため、計画的に学費を貯める必要があります。

※私立大学の合計費用から入学料を差し引いて算出

大学の学費を払えないとどうなる?

一般的には、大学の学費を納入期限までに払えなくてもすぐさま退学になってしまうことはありません。

学費を納入期限までに納めないと未納者となり、郵便などで「授業料納入のお願い」などの書面が届きます。


「授業料納入のお願い」に記載されている新しい特定の納入期限までに学費を収めれば、退学処分や除籍処分などの処分がないのが一般的です。


しかし、記載されている特定の納入期限までに支払わないと滞納者となり、督促状が送られてきます。


督促状に書かれている納入期限までに学費を納めないと退学処分となってしまう可能性があります。

学費の納入期限は、大学によって異なりますが、一般的には学期の開始月から翌月に設定されていることが多いようです。

学費が払えないときの7つの対応策

学費が払えないときの7つの対応策

万が一学費が払えなくなってしまったら。退学を選ぶ前にできる対応策があります。

学費の延納・分納・減額を相談する

通っている学校に対し、学費の延納や分納、減額の相談をおこなう方法です。それぞれの違いは下記のとおり。


延納……学費を納める期日を延期してもらう措置です。延期できる日数は学校により異なり、1ヶ月〜半年程度となっています。また、延納する場合は決められた期日までに延納する旨を伝えなければならなかったり、延納金が発生したりする学校もあります。


分納……何度かに分けて学費を分割払いすることを指します。こちらも延納する場合と同様、決められた期日までに分納する旨を伝えなければならず、何度に分けて分納できるかは学校によって異なります。


減額……学費を払えないご家庭を対象に、学費の減額をおこなう措置です。減額ではなく学費免除の制度を用意している学校もあります。


いずれも学校によって制度が異なるため、通学・進学先のホームページなどで確認するか、もしくは学生課に問い合わせると確実です。

奨学金制度を活用する

奨学金制度とは、経済的な理由から進学・修学ができない学生に対して学資金を支給する制度です。さまざまな団体が奨学金制度を設け、学生への支援をおこなっています。


・独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度
最も利用者が多い奨学金制度で、卒業後に返済する必要があり、成績により利子の有無が決まる「貸与型」と、返済の必要のない「給付型」があります。


「貸与型」が学生に課す事実上の借金であり、卒業後の負担について社会問題になっていた背景から、2020年4月より「給付型」の対象者が拡大。学ぶ意欲があれば成績に関わらず利用可能とし、卒業後の返済や利子の発生もないという充実した支援内容となりました。


また、新型コロナウイルスの蔓延により新設された「学生支援緊急給付金」もあります。主に、家庭から自立していたもののコロナ禍でアルバイト収入が減少し、学びの継続が困難になっている学生が受けられる給付型の奨学金制度です。


・自治体の奨学金制度
住んでいる市区町村が用意している奨学金制度です。「貸与型」か「給付型」か、金額やその他条件は自治体によって異なります。


・学校独自の奨学金制度
進学先、通学中の学校が独自に設けている奨学金制度で、学校によっては入学金や学費を免除する制度もあります。


・新聞奨学金制度
各大手新聞社が設けている奨学金制度で、住み込みで新聞配達をおこなうことなどを条件に、学費の肩代わりをおこなうというものです。


この他に、卒業後に自衛隊で勤務することを条件とする自衛隊貸費学生制度や、民間企業・団体などの奨学金制度もあります。

教育ローンを活用する

教育資金をローンとして借り入れることを指します。学生本人が返済義務を負う奨学金と異なり、教育ローンは借り入れをおこなった保護者に返済義務が生じます。 国(日本政策金融公庫)と民間(銀行など)それぞれが用意する教育ローンがありますが、奨学金と比較し金利が高く、借りた翌月から返済をおこなう必要があります。

休学する

学校を一時的に休学するという方法です。学費が貯まった段階で復学することで、奨学金やローンの返済義務を負わなくて済むというメリットがある一方、学校によっては休学中も在籍費や最低限の学費がかかるところも。休学できる期間は学校により異なりますが、2年程度としているところが多いようです。


母子父子寡婦福祉資金貸付金を活用する

学費が払えなくなった場合、母子父子寡婦福祉資金貸付金を活用するという方法があります。20歳未満の子どもを扶養している母子家庭の母親・子ども、父子家庭の父親・子ども、父母のない20歳未満の子ども、寡婦やその子どもが申請できます。


母子父子寡婦福祉資金貸付金は、無利子で、返済期限は20年以内(専修学校一般課程は5年以内)のため、学校を卒業してから少しずつの返済が可能です。

祖父母や親戚に支援してもらう

可能であれば祖父母や親戚に支援してもらうのも1つの方法です。学費の支援については、贈与税の支払いは必要ありません(国税庁)。ただし、学費を支援してもらう場合、都度学費に充てる必要があるため、大学1年生時点で4年分の支援を受けると贈与税の対象になる可能性があります。

学校独自の救済制度を活用する

学校独自の救済制度などを用意している場合があります。成績などの基準がある場合もありますが、基準を満たしていれば中退せずに済むため、確認するようにしましょう。

将来学費が払えなくなることを避けるためにできること

将来学費が支払えなくなることを避けるためにできることを解説します。学費は高額になりますので、教育資金を貯めるには、まずいつまでにいくら貯めるかを決めしょう。そのうえでさまざまな方法を検討して自分に合った方法で計画的に貯めていきましょう。

教育資金を貯金しておく

教育資金が必要な時期までに必要な金額を計画的に貯金することが基本になるでしょう。しかし、預金といってもさまざまな種類があります。


  • 普通預金…いつでもATMなどで引き出せるのがメリット。ただし金利は低い。
  • 定期預金…普通預金より金利は高いのがメリット。ただし一定期間原則解約できない。中途解約をしてしまうとあらかじめ約束された金利を受け取れない。
  • 定額貯金… 10年間半年複利で預けられる。ただし、預入日から6ヶ月は解約できない。
  • 積立預金…毎月一定金額を普通預金から定期預金に預け入れする預金。定期的にお金を貯められるのがメリット。ただし一定期間は原則解約できない。中途解約をしてしまうとあらかじめ約束された金利を受け取れない。
  • 一般財形貯蓄…給料から天引きで預け入れができるので計画的にお金を貯められるのがメリット。金利も一般的な普通預金や定期預金よりも高い場合がある。引き出す際は会社上司などの承認が必要。

このようにさまざまな種類の預金(貯金)がありますが、学費を貯めるのにおすすめは積立預金もしくは一般財形貯蓄です。積立預金もしくは一般財形貯蓄であれば、毎月計画的に一定の金額を貯められるからです。定期的に入ってくる児童手当も積立預金に回すのがよいでしょう。

終身保険へ加入する

終身保険は学費の支払いに備えられます。


終身保険とは、被保険者に万が一のことがあった場合、死亡保険金を受け取れる保険です。保険期間は、その名のとおり一生涯の保険になります。


終身保険で学費を貯めるメリットは、契約してから一定期間経過すると、解約返戻金が今まで支払った保険料より増える保険があることです。一部解約ができる終身保険もあるので、お金が必要な時期に必要な分だけ解約して学費の支払いに充てることが可能です。


さらに終身保険契約中に、被保険者(一般的には両親のどちらか)に万が一のことがあると、遺された家族は死亡保険金が受け取れます。死亡保険金は、保険料が高額になることが多いので、その後の学費に充てられるでしょう。


一方、終身保険で学費を貯めるデメリットは、途中で解約すると、解約返戻金は今まで支払った保険料を下回ってしまう可能性があることです。また、終身保険を学費のために解約すると、死亡保障はなくなってしまいます。


関連:「学資保険の代わりに終身保険が使える?メリットから選び方まで解説」

学資保険へ加入する

学資保険は、その名のとおり学費の支払いに備えることができる保険商品です。学資保険を使って学費を貯めるメリットは、計画的に学費を貯められることです。さらに満期まで保有すれば今まで支払った保険料以上の満期保険金が受け取れる学資保険があるのも魅力でしょう。


また、万が一契約者である親が亡くなった場合、以後の保険料が免除され、保険料を支払わなくても入学時期に合わせた保険金を受け取れるのも安心でしょう。


一方、学資保険で学資を貯めるデメリットは、途中で解約をすると解約返戻金が今まで支払った保険料以下になってしまう可能性があることです。
また、学資保険は金利が固定の商品が多いため、契約後に金利が上がっても保有商品には金利の上昇が反映されない点も理解しておきましょう。

まとめ

給付型の奨学金が充実してきているとはいえ、収入面などで条件に当てはまらない場合も。また、返済義務や利子が生じる貸与型奨学金やローンは、できることなら避けたいですよね。


将来学費を払えない事態に陥らないために、教育資金を貯金しておくことや、学資保険への加入をおこなうことが有効です。特に学資保険であれば最もお金がかかる大学進学時のタイミングで満期になり、保険金を受け取れます。保険によっては、小中高の進学時にお祝金を受け取れるものもあります。


子どもの夢や学びたい意欲を支えるためにも、ぜひ保険(共済)を検討してみてはいかがでしょうか。


参考:
文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/mext_00686.html
文部科学省 国立大学と私立大学の授業料等の推移
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00001.htm
自衛隊
https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/recruit/02.html
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)
https://www.jasso.go.jp/index.html

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