育休手当はいつまでもらえる?支給期間や入金のタイミングについて

育休手当はいつまでもらえる?支給期間や入金のタイミングについて

働くお母さんやお父さんにとって、育休中に受け取れる育休手当は大変ありがたい制度の一つです。休業することで一般的に収入が減少する一方、その後も生活は変わりなく続くため、育休手当は家族の生活を支える大事な収入源だといえます。


育休手当の申請手続きは、基本的に受給者本人ではなく勤め先の会社がおこないます。そのため、いつから支給が開始されるのか、いつまで受給できるのか、といった具体的なことについては詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。


今回は、育休手当の概要や支給額、支給期間や入金時期などについて、わかりやすく解説していきます。


本内容は、令和5年7月の制度等に基づき、記載しています。

育休手当とは

2022年10月に育児・介護休業法が改正され、男性がより育児休業を取得しやすい体制となりました。今回の改正は、男女関わらず育児と仕事を両立できる体制づくりを目的に、2022年4月から2023年4月にかけて三段階で改正を進めるうちの第2弾です。


では、現在の育児休業の概要とその給付金の内容について、詳しく見ていきましょう。

育児休業と産後パパ育休

「育児休業」とは、原則として1歳に満たない子どもを養育する労働者が、養育に専念するために法律に基づいて休業できる制度です。子どもが保育所に入所できないなどの場合には最長2歳まで延長でき、1人の子どもにつき父・母それぞれ2回に分けて取得することが可能です。


そして、今回の法改正によって新たに設けられた「産後パパ育休」とは、従来の育児休業とは別の制度です。正式には「出生時育児休業」といい、子どもが生まれてから8週間以内に、最長4週間(28日)まで取得できます。育児休業とは別で取得でき、男性も育児休業を取得しやすくする意図があります。


育児休業と産後パパ育休の一番大きな違いは、休業中の就業が認められているかどうかです。育児休業の場合は原則休業中の就業は禁止されている一方、産後パパ育休の場合、会社と従業員との間で合意した範囲内であれば休業中の就業が可能です。ただし、休業中の就業日数や就業時間には上限があり、所定労働日・所定労働時間の半分までとされています。


また、産後パパ育休中の就業を認めるかどうかは会社の判断に委ねられています。そのため、誰もが就業できるわけではなく、就業を希望する場合には事前に会社への確認が必要となります。


なお、産前産後休業(産休)は、母体保護の観点から出産するすべての女性が取得できる休業制度であり、育児休業や産後パパ育休とは別の制度です。

育児休業給付金

「育児休業給付金」とは、原則1歳未満の子どもの養育のために育児休業を取得する従業員に対して、雇用保険から支給される給付金です。「育休手当」とも呼ばれ、休業期間中に減少する収入を補うことが支給の目的です。


育児休業給付金は、次の要件を満たしていれば男女問わず受給できます。


  • 雇用保険に加入している
  • 休業前2年間のうち、就業日数が11日以上ある月が12ヵ月以上
  • 育児休業中に支払われる賃金が休業前の賃金の80%未満
  • 育児休業中の就業日数が月10日以下

従業員が支給要件を満たすかどうかの確認と申請手続きは、基本的に会社が進めます。契約社員やパート社員などの有期契約社員でも上記要件を満たしており、かつ子どもが1歳6ヵ月に達するまで雇用が見込まれる場合は、受給の対象となります。なお、自営業者や個人事業主などは、雇用保険に加入していないため受給できません。


育児休業給付金の支給額は、次のように算出します。


育児休業開始から180日以内 休業開始時の賃金日額×支給日数×67%
育児休業開始から181日以降 休業開始時の賃金日額×支給日数×50%

「育児休業開始時の賃金日額」は、申請時に提出する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」に記載された金額の休業開始前6ヵ月分の賃金を180(6ヵ月×30日)で割った金額です。1ヵ月あたりの支給額は、育児休業開始時の賃金日額と育児休業の取得日数(原則30日)を乗じた賃金月額の67%となります。


例えば、育児休業開始時の賃金日額が7,000円(賃金月額210,000円)だった場合、1ヵ月の支給額は140,700円(7,000円×30日×67%)です。育児休業開始から6ヵ月を経過すると、105,000円(7,000円×30日×50%)が1ヵ月あたりに支給されることになります。


ただし、育児休業給付金の支給額には上限と下限が設けられています。上限額を超えると一律上限額が、下限額に満たない場合は一律下限額が、休業開始前賃金日額に関わらず支給されます。

出生時育児休業給付金

「出生時育児休業給付金」は、産後パパ育休を取得した場合に雇用保険から支給される給付金です。育児休業給付金と同様に、休業中の生活を保障するための制度です。


出生時育児休業給付金の受給要件は、次のとおりです。


  • 雇用保険に加入している
  • 休業前2年間のうち、就業日数が11日以上ある月が12ヵ月以上
  • 産後パパ育休中の就業日数が最大10日以下

有期雇用契約の場合、上記要件を満たし、かつ子どもの出生後8週間の翌日から6ヵ月の間に契約が満了することが明らかでなければ受給対象となります。


出生時育児休業給付金の支給額の算出方法は、基本的に育児休業給付金と変わりません。次の算式で求めます。


休業開始時の賃金日額×支給日数(28日が上限)×67%


なお、休業期間中を対象に会社から賃金が支払われた場合は、その賃金額に応じて以下の算式で支給額を決定します。


支払われた賃金の額 支給額
1 「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%以下 休業開始時の賃金日額×休業期間の日数×67%
2 「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%超~80%未満 休業開始時の賃金日額×休業期間の日数×80%-賃金額
3 「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の80%以上 支給されない

7,000円(休業開始時の賃金日額)×14日(休業期間の日数)×80%-21,000円(賃金額)
=57,400円


なお、出生時育児休業給付金も支給上限額が定められており、令和5年7月現在は84,964円が上限です。

育休手当の支給期間

育児休業給付金、出生時育児休業給付金において、それぞれ対象となる支給期間について解説します。

育児休業給付金の場合

育児休業給付金の支給期間は、原則として子どもが1歳になるまでです。具体的には、1歳の誕生日の前々日までが支給対象となります。ただし、子どもが1歳になる前に職場復帰する場合は、復帰日の前日で支給が終了します。


なお、両親ともに育休を取得する「パパママ育休プラス制度」を利用すると、休業の取得対象が「1歳になるまで」から「1歳2ヵ月になるまで」に延長できるため、それにともない、支給期間も「1歳2ヵ月になるまで」となります。ただし、両親それぞれが育児休業を取得できる期間自体は最大1年間であるため、給付金総額が増えるわけではありません。


また、育児休業給付金は、1回きりの申請でずっと支給され続けるわけではありません。原則として2ヵ月単位で支給申請をおこない、2ヵ月に一回、2ヵ月分まとめて受給されます。ただし、希望すれば1ヵ月ごとに申請して、月に一度1ヵ月分を受け取ることも可能です。

出生時育児休業給付金の場合

出生時育児休業給付金は、子どもの出生日(出産予定日前に出生した場合は出産予定日)から8週間の翌日から申請が可能となります。そして、その2ヵ月後の月末が申請期限です。例えば、出産予定日が4月15日、出生日が4月20日だった場合、出生日から8週間の翌日、つまり6月15日から、その2ヵ月後の月末8月31日までが支給申請期間となります。このように、出生時育児休業給付金の申請は、取得可能期間を過ぎてからしかおこなえない点に注意しましょう。


なお、産後パパ育休では、最大4週間(28日)休業できます。2回まで分割して取得が可能ですが、分けて取得した場合でも支給申請は1回にまとめておこないます。

支給期間が延長されるケース

育休手当の支給対象は原則として子どもが1歳になるまでですが、やむを得ない事情がある場合には、最長で2年間の延長が可能です。具体的には次のような場合です。


  • 保育所などの利用申し込みをおこなっているが入所できない場合
  • 子どもを養育する予定だった配偶者などが死亡や病気、怪我などで養育が困難になった場合
  • 婚姻の解消などで子どもを養育する予定だった配偶者と別居になった場合
  • 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定、または産後8週間を経過していない場合

上記にあてはまる場合には、子どもが1歳6ヵ月になるまで育休の延長を申請できます。また、子どもが1歳6ヵ月になった時点でも、状況が変わっていない場合は再度申請の手続きをとることで2歳まで再延長が可能です。

育児手当が入金されるタイミング

育児休業手当は、原則として2ヵ月に1回の頻度で、2ヵ月分まとめて支給されます。また、女性の場合、育児休業が開始するのは産後8週間の産後休暇が明けてからとなります。そのため、はじめて給付金が入金されるタイミングは出産日から約4〜5ヵ月後が目安です。


2回目以降は、2ヵ月に1回、支給決定日から1週間程度で支給されます。「支給決定通知書」とともに交付された「次回支給申請書」に必要書類を添えて、都度申請が必要です。なお、育児休業給付金の申請手続きは会社を通じておこなうため、手続きに時間を要する可能性もあります。申請書などの提出が遅れると受給時期も後ろ倒しになってしまうため注意しましょう。


また育児休業開始後すぐに受け取れるわけではないため、それまでの生活は貯蓄やパートナーの収入でまかなう必要があります。また、1回で2ヵ月分まとめて受給するため、計画的に使うことが重要です。

育児休業の分割取得について

では、育児休業を2回に分けて取得できるようになりました。従来の育児休業制度では原則として分割取得が認められていませんでしたが、法改正にともない、柔軟な育児休業取得が可能となったのです。産後パパ育休についても2回まで分割取得が可能であるため、両方の制度を最大限活用することで合計4回に分けて育児休業を取得できます。


分割して育児休業を利用することで、それぞれの家族の状況に合わせた取得パターンを選択できます。また、分割取得を活用することで長期間職場を離れることを避け、育児休業明けにスムーズに職場復帰することも図れます。


なお、分割取得が認められているのは2回までのため、3回目以降に関しては取得できず、育児休業給付金・出生時育児給付金も受給できません。

まとめ

育児手当は、育児休業中の経済的不安を軽減し、生活をサポートしてくれる制度です。また、子育てに専念した休業期間が明けてからも、安心して働き続けられることにつながります。子どもが生まれると、学費や養育費などなにかとお金がかかるものです。特に、学費はまとまった大きなお金が必要になるため、育児と仕事を両立しながら計画的に準備をすることをおすすめします。子どもの教育資金の準備として、貯蓄や運用などで資産形成を進めつつ、万が一のことが起きたときの備えとして保険(共済)を活用することも検討してみてはいかがでしょうか。


参考:
厚生労働省 「育児休業給付について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html

厚生労働省 「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf

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