学資保険と終身保険どちらに加入するべき?それぞれの保険に向いている人とは

学資保険と終身保険どちらに加入するべき?それぞれの保険に向いている人とは

子供の教育費に備える一般的な方法として「学資保険」があります。計画的に必要な金額を蓄えておけるのが魅力の保険です。一方、近年では「学資保険の代わりに終身保険に加入したほうがよい」といった意見もあります。これから加入する場合には、学資保険と終身保険、どちらを選んだほうがよいのでしょうか。


学資保険と終身保険はどちらも貯蓄性のある商品です。しかし、それぞれ異なる特徴があるため、よく理解した上で加入を検討しましょう。ここでは、終身保険が学資保険の代わりになると言われている理由や、それぞれの保険に加入すべきなのはどのような人なのか、などについて解説します。


本内容は、令和4年5月の制度等にもとづき、記載しています。

本記事に記載の内容・条件は保険会社によって異なる場合がございます。詳しくは保険・共済各社・各団体へお問い合わせください。

この記事を読むと分かること

  • 学資保険と終身保険の違い
  • 学資保険に向いている人
  • 終身保険に向いている人

なぜ終身保険が学資保険の代わりになると言われている?

終身保険が学資保険の代わりになる、といわれている理由の一つに「学資保険の返戻率が下がっていること」があげられます。「返戻率」とは、保険が満期を迎えたときに、支払った保険料に対してどのくらいのお金が戻ってくるのかを表したものです。

学資保険と同じように貯蓄性があるのが終身保険です。終身保険では、解約したときに「解約返戻金」を受け取ることができ、期間の経過とともに返戻金は増加します。さらに保険料の払込が終了したあとには、その返戻率は100%を超えることもあります。つまり、ある程度の年数、保険料を支払ったあとで終身保険を解約すれば、学資保険と同様に教育費用を捻出できる可能性があるのです。そのため「お金が必要なタイミングで終身保険を解約すれば、学資保険の代わりになる」といった考え方が広まってきているようです。

ただし、終身保険は保険料の払込が終了する前に解約してしまうと、受け取れる返戻金の額が少なくなることには気をつけなければなりません。子どもが進学するタイミングと返戻金の増加する時期が一致していない場合には、せっかく解約しても十分な教育資金が確保できない可能性があります。一方、学資保険は、子どもの年齢や進学時期に合わせて、定期的に祝金や満期保険金が受け取れる点が魅力です。着実に教育資金を準備したい場合には、やはり学資保険が役に立つでしょう。

学資保険と終身保険には、加入目的や契約可能な年齢など、さまざまな点で違いがあります。どちらに加入すべきかは加入するタイミングを含めて総合的に検討して判断したほうがよさそうです。

学資保険とは

幼稚園入学から高校卒業までにかかる教育費の総額は、すべて公立の場合でも約544万円、私立の場合は約1,830万円に上ります。さらに専門学校や短大、大学などに進学する場合には毎年100万円以上の費用が必要です。高校卒業後は80%以上の人が進学を選択しているため、多くの世帯にとって教育資金の捻出は重要な課題となっています。

学資保険は、子どもの教育資金を計画的に準備するための保険です。「子ども保険」と呼ばれることもあります。

親または祖父母が契約者となり、子どもを被保険者(保障の対象となる人)として契約します。子供の年齢や入学時期に合わせて、祝金(生存給付金)や満期保険金を受け取れるのが大きな特徴です。また、契約者となる親または祖父母が亡くなった場合には、その後の保険料の支払いが免除され、契約時に定めた時期に、予定通りの満期保険金を受け取れる仕組みになっています。万が一のことがあっても、必要な教育資金を確保できるのも学資保険の魅力の一つです。
保険期間は子どもが一定年齢に達するまでです。基本的に保険料の払込期間は保険期間と同一となっています。ただし、保険料の払込期間を保険期間より短くすることで、支払う保険料の総額を割安にできる場合があります。

学資保険についてさらに詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。

関連:学資保険のことちゃんと知ってる?利用するメリットや注意点、選び方のポイントを徹底解説!

終身保険とは

終身保険は、被保険者が死亡した場合に、遺族に対して死亡保険金が支払われる保険です。

契約時に決めた死亡保障が、一生涯続くのが特徴です。死亡時に「死亡保険金」が受け取れるだけではなく、保険会社所定の高度障害状態になったときには「高度障害保険金」を受け取れます。

基本的に、毎月支払う保険料の金額は一定となっており、加入時から変わりません。支払い方法には一生涯保険料の支払いが続く「終身払」と、一定期間で支払いを終える「有期払」があります。

また、保険料払込期間中の解約返戻金を通常より抑えた「低解約返戻金型」の商品や、保険料の払込や保険金の受け取りを外貨でおこなう「外貨建て終身保険」などの種類があります。

終身保険についてさらに詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。

関連:終身保険とは?終身保険の特徴や活用例、解約時の注意点について

お子さま・お孫さまの教育資金の備えと万一の保障

ご加入いただける年齢:0歳〜12歳

学資保険と終身保険の違い

学資保険と終身保険は「貯蓄型」の保険に分類されますが、詳しく見ていくと異なる特徴があることがわかります。どのような点に違いがあるのでしょうか。

保険の目的

学資保険に加入する目的は「将来の教育資金を蓄えること」がメインです。通常の預金と異なり、目的を絞ってお金を貯めていきます。

一方、終身保険に加入する目的は「被保険者の死亡時の備え」です。一般的に、遺された遺族の生活費用や、死後の整理資金を準備するために加入します。

契約可能な年齢

学資保険においては、被保険者となる子どもだけではなく、契約者に対しても、契約できる年齢の上限が決められています。

契約可能な被保険者(子ども)の年齢は、0歳〜15歳の範囲で定められているのが一般的です。なかには、出産予定日の約140日前から加入できる商品もあります。

契約者については、男性は18歳・女性は16歳から、70歳〜75歳まで加入できるケースが多くなっています。

終身保険の契約可能な年齢は、0歳〜85歳までと幅広くなっています。

なお、実際に契約可能な年齢は各保険会社や保険商品ごとに異なるため、ご注意ください。

保険金を受け取れる期間

学資保険は、満期を迎えて子どもが生存している場合には、満期保険金が受け取れます。満期は、子どもの年齢が15歳〜22歳の間で設定されているのが一般的です。満期を迎えるまでの間に祝金が複数回受け取れる商品もあります。

終身保険は死亡時に死亡保険金を受け取ることになりますが、一生涯の保障となっているため、保険金を受け取れる期間に決まりはありません。

なお、実際に保険金を受け取れる期間は、各保険会社や保険商品ごとに異なります。

返戻率

返戻率とは、契約者が保険会社に支払った保険料の総額に対して、受け取れる保険金の割合を示したものです。例えば学資保険において、総額100万円の保険料を支払い、満期保険金や祝金を合計105万円受け取った場合には、返戻率が105%となります。また、契約者が保険会社に支払った保険料の総額に対して、受け取れる解約返戻金の割合を示したものが「解約返戻率」です。

また、保険料の払込期間を短くしたり「年払い」「一括払い」のようになるべくまとめて保険料を支払ったりすると、満期時の返戻率をより高められる場合があります。

終身保険には満期保険金はないものの、貯蓄性がある保険となっているため、解約時には解約返戻金を受け取れます。保険料の払込期間中の解約返戻率は100%に満たない場合がほとんどですが、契約から時間が経つにつれて解約返戻金は増加していくのが特徴です。短い期間で保険料の払込を終えると解約返戻率が100%を超えることもあります。
ただし、学資保険と終身保険はともに、途中解約をすると支払った保険料よりも解約返戻金が少なくなる場合があるため、その点には注意が必要です。

契約者死亡時の保障

学資保険は契約者が死亡すると、保険料の払込が免除されます。満期を迎えるまでの間「育英年金」として所定の年金額を受け取れるので、学資保険の契約の範囲内で子供の教育資金を確保できます。
終身保険の場合、契約時に設定した死亡保険金が一括で支払われるのが特徴です。

もし預金で教育資金を積み立てている場合には、途中で親が亡くなってしまうと、その時点で積み立てはストップするため、十分な教育資金が確保できない可能性があります。保険であれば、親に万が一のことがあった場合、保険料の支払いが不要となるにも関わらず、子供へ教育資金を確実に遺せる仕組みになっているのです。

学資保険と終身保険はどちらの方がよい?

保険に何を求めるかによって、必要な保障は変わってきます。学資保険と終身保険のどちらが自分に合っているのか、以下を参考に考えてみましょう。

学資保険に向いている人

次のような考え方があてはまる人は、学資保険への加入を検討したほうがよいでしょう。


  • 子供の成長に合わせて、自動的に祝金や満期保険金を受け取りたい
  • 契約者(両親または祖父母)に万が一のことがあっても教育資金を確実に確保したい
  • 教育資金と他のお金を分けておきたい

学資保険は、商品によって保険金を受け取る時期や、受け取り方法に違いがあります。例えば大きな出費が生じる大学生活の間、保険金が毎年受け取れるタイプや、大学入学時に加えて、それ以前の小学校・中学校・高校の入学といったタイミングで祝金が受け取れるものがあります。教育資金を貯める目的で終身保険を活用するには、返戻率が高くなるタイミングを考慮して、解約手続きをしなければなりません。しかし学資保険の場合はそのような手間がなく、必要な資金を、必要なタイミングで受け取ることができます。

また学資保険では、契約者が万が一死亡してしまったときには、保険料が免除され、満期までの間は「育英年金」として一定額が支払われます。つまり、親に最悪の事態が起こった場合でも、予定通りの保険金を受け取ることができるのです。保険料の支払いが不要となるだけではなく、子供が進学する時期に合わせて保険金が支払われるため、学費の心配をせずに済むというのは大きなメリットといえるでしょう。

加えて、学資保険は保険料が自動で引き落とされることにより、半ば強制的に教育資金を貯められます。通常の預金とは異なり、満期前に解約をすると元本割れすることもあるため、お金を簡単に引き出すことはできないでしょう。一度学資保険に加入しておけば、他のお金と分けて教育資金の準備ができます。

終身保険に向いている人

次のような考え方があてはまる人は、終身保険への加入を検討したほうがよいでしょう。


  • 好きなタイミングでお金を受け取りたい
  • 長期的な資産形成を考えたい
  • 加入するタイミングを自由に選びたい

終身保険の大きなメリットは、解約返戻金の活用方法に柔軟性がある点です。途中で進路変更をして教育資金としての使い道がなくなった場合であっても、結婚資金や老後資金として活用することもできます。

保険料の支払いを終えたあとも解約をせず、据え置きにしておけば、解約返戻金が増える可能性もあるでしょう。長期的な資産形成を視野に入れている場合には、終身保険がおすすめです。

また終身保険は、将来に備えて子どもが生まれる前からでも加入できます。保険料を支払うのが難しい場合には、少し家計に余裕ができてから加入し、短い期間で一気に保険料の支払いを終えるといった選択ができるのも魅力の一つです。

まとめ

学資保険と終身保険は、ともに教育資金の準備に役立つ保険です。どちらか一方が優れているというわけではないため、各家庭のライフプランに合わせて、加入目的や加入タイミングを吟味しながら選ぶのが大切です。

教育資金の確保に重点を置くのであれば学資保険への加入をおすすめします。対して、保険金の受け取りに関しての柔軟性を重視する場合には、終身保険への加入がおすすめです。

ただしいずれの保険についても、保険会社や保険商品、加入するタイミングなどによって、返戻率は変わります。具体的に加入を検討する際には、十分検討しましょう。


参考:
文部科学省
https://www.mext.go.jp/
日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/
一般社団法人 生命保険協会
https://www.seiho.or.jp/

お子さま・お孫さまの教育資金の備えと万一の保障

ご加入いただける年齢:0歳〜12歳

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