いまから実践できる。年収300万からの収入アップ術とは?

頑張って仕事をしているのに、なかなか収入に反映されない……と悩んでいる人も多いのでは?人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーの田中和彦さんによれば、自身のスキルを洗い直し、代わりの効かない人材になることで、新たなキャリアを展開することができるのだそう。そこで今回は、田中さんに年収300万円台からの収入アップ術を教えていただきました。

「時間単位の報酬をアップすること」を考える

「年収300万円台で1日10時間週5〜6日働くとした場合、時給は1,000円程度。対して年1,000万円以上の収入を稼いでいる人は、同じように時給換算すると5,000円以上になります。つまり、高収入を目指すためには、まず労働の時間単位の価値を上げることが必要なのです」(田中さん)


時給1,000円で24時間、不眠不休で1年働いたとしても、年収は876万円。年収1,000万円には及びません。つまり、いたずらに労働時間を増やすより、自身の労働の価値を上げることが年収アップには効果的なのです。

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労働価値の高い「代わりのきかない人間」になる2つの方法

では、自分の仕事の時給をアップするには具体的にどのような方法があるのでしょうか。


「賃金は需要と供給で決まります。ニーズが多く、供給の少ないスキルを持った人材になれば、市場の価値が上がる。つまり、代わりのきかない人材になると収入も増えるということなのです」(田中さん)


希少価値の高いスキルを持つといっても「難しく考える必要はない」と田中さんは言います。田中さんは代わりのきかない人材へとステップアップするために、「横スライド展開」と「V字回復展開」という2種類のキャリア展開を提案しています。


キャリアの「横スライド展開」

「キャリアの横スライド展開とは、現在持っているスキルが今よりも価値を持つ場所で仕事をすること。私が知っている方の例をあげると、車好きが高じてガソリンスタンドで働いていたDさんは、自動車販売会社に転職することで、年収が160万円から400万円以上にアップしました。車関連の業界で働くという点では、ガソリンスタンドも販売会社も同じですが、ガソリンスタンドでは持ち前の車の知識を活かすことができず、他の人材との差別化につながりませんでした。それが販売会社に移ったことで、知識にも磨きがかかり、代わりの効かない人材となったのです」(田中さん)


「私には、人に誇れるスキルなんてない」と萎縮するのは止めましょう。たとえ今の職場で給与に反映されていなくても、別の仕事で価値を生む経験や資質が見つかることもあるはずです。


キャリアの「V字回復展開」

「キャリアのV字回復展開とは、ぜひ身に付けたいと願うスキルがあった場合、一時的に収入が減ってもチャレンジしてみるということです。そこで専門性を身につけることができれば、人材としての市場価値が上がり、結果的に収入がアップします」(田中さん)


一時的に収入が減ったとしても、現状以上の収入を見込めるスキルを身につければ、収入をV字回復させるどころか、今以上の収入を得る可能性を広げることができますね。


「OA機器のサポートエンジニアだったFさんは、年収が350万円程でしたが、評価に満足していませんでした。そこで退職後に、自己投資をしてWEBデザインの専門学校に通ったのです。その間は無給で、授業料の出費もあったのですが、技術を習得しWEBデザイナーとして転職しました。そして3年後にはWEBディレクターに昇進。今や給与は650万円にまで上がっています」(田中さん)


いま働いている会社の枠を外し、広い市場で自分のスキルが評価される道筋を探すことが、代わりの効かない人材になる秘訣なのです。

今までのキャリアを棚卸しして自分に投資しよう

キャリアを「横スライド展開」「V字回復展開」させるには、一体何からはじめればよいのでしょうか。


「自分のキャリアの棚卸しをしてみましょう。転職活動をする・しないに関わらず、履歴書や職務経歴書を書いてみてください。今までに成し遂げた業績や、そのときの役割やポジション、そこで得た技術や知識、人脈などを書き出し、まとめていく作業を通じて自分の市場価値を客観的に見ることができます」(田中さん)


自分の価値を把握することが、年収アップへの第一歩。そのうえで新しい知識を獲得する、資格を取得するなどの自己投資をすることで、さらに価値が高まります。


「お金は目的なくひたすら貯めるだけではもったいない。今の貯金が100万だとしたら、30万円をスキル獲得のための自己投資にまわすのは勇気がいるかもしれません。でも、そこで一生モノのスキルを身に付けて年収を30万円上げることができれば、長い目で見ると投資以上のリターンを得ることができるのです」(田中さん)


今のスキルにどんな資格や経験をプラスすれば、市場で労働価値の高い存在になれるのか。これまでの経験やキャリアを客観的に見つめ直すことで、自分の収入増のきっかけが見つかるかもしれません。


もちろん自己投資する際には、市場でどんな人材が必要とされているかをリサーチすることも必要です。


「一概にはいえないのですが、汎用性のある資格としては、中小企業診断士などがあります。また語学でも、今後の成長のことを考えると、多くの人が学んでいる英語よりも中国語を習得したほうが差別化にはつながる可能性があるでしょう。また、高齢化は間違いなく進んでいくので、医療・介護などのマーケットは確実に大きくなっていきます」(田中さん)


収入が増えなくて悩んでいるなら、ぜひ一度自分のキャリアを見直してみてはいかがでしょうか。


【取材協力】
田中和彦(たなかかずひこ)
一橋大学社会学部卒業後、リクルートに入社。人事課長を経て、広報室課長。その後「就職ジャーナル」など4誌の編集長を歴任。98年に、ギャガへ入社し、映画プロデューサーへ転身。04年にはキネマ旬報社の代表取締役専務へ就任する。現在は独立し株式会社プラネットファイブ 代表取締役。人材コンサルタントとして活動を行う一方で、コンテンツ(映画・出版)プロデューサーとしても活躍中。著書多数。

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