がん検診の費用はいくらかかる?保険適用や補助制度もあわせて解説

がん検診の費用はいくらかかる?保険適用や補助制度もあわせて解説

がんは、日本人の死因の上位を占める重大な病気のひとつです。早期発見・早期治療の重要性は理解していても、「がん検診にはどのくらい費用がかかるのだろう?」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。


今回は、がん検診の種類ごとの費用目安をメインに、保険適用の有無、費用を抑えるための補助制度について詳しく解説します。定期的ながん検診を無理なく受けるための参考にしてください。


本内容は、令和7年7月末の制度等に基づき、記載しています。本記事に記載の内容・条件によって異なる場合がございます。詳しくは、共済・保険各社・各団体へお問合せください。




がん検診の費用目安【主な種類別】

厚生労働省では、科学的根拠に基づいたがん検診の実施を推進しており、全国の市区町村では以下の5つのがん検診を推奨しています。


種類 自己負担額の目安(※1) 検査項目 対象年齢 受診間隔
胃がん 0〜1,500円
(胃部エックス線検査の場合)
問診に加え、胃部エックス線検査または胃内視鏡検査など 50歳以上
※胃部エックス線検査は当分の間40歳以上に対して実施可能
1回/2年
※当分の間、胃部エックス線検査は1回/年で実施可能
子宮頸がん 0〜2,000円 問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診など 20歳代 1回/2年
問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診など 30歳以上 1回/2年
問診、視診およびHPV検査単独法など 1回/5年
※罹患リスクの高い方は1年後に受診
肺がん 0〜1,000円 質問(問診)、胸部エックス線検査および(※2)喀痰細胞診など 40歳以上 1回/1年
乳がん 0〜2,000円 質問(問診)および乳房エックス線検査(マンモグラフィ)など 40歳以上 1回/2年
大腸がん 0〜1,000円 問診および便潜血検査など 40歳以上 1回/1年

(※1)自己負担額の目安の金額を超える場合もございます。
(※2)原則として、喀痰細胞診は50歳以上の重喫煙者(喫煙指数600以上の方)のみを対象とします。
参照:厚生労働省 がん検診令和3年度 市区町村におけるがん検診の実施状況調査 全国集計


自治体が費用の一部を公費で負担するケースが多く、自己負担は比較的少額で済みます。ここからは、それぞれの検診内容や自己負担額の目安について紹介します。なお、検査方法や費用は地域により異なるため、お住まいの自治体の案内をご確認ください。


胃がん検診

種類 自己負担額の目安(※1) 検査項目 対象年齢 受診間隔
胃がん 0〜1,500円
(胃部エックス線検査の場合)
問診に加え、胃部エックス線検査または胃内視鏡検査など 50歳以上
※胃部エックス線検査は当分の間40歳以上に対して実施可能
1回/2年
※当分の間、胃部エックス線検査は1回/年で実施可能

(※1)自己負担額の目安の金額を超える場合もございます。
参照:厚生労働省 がん検診令和3年度 市区町村におけるがん検診の実施状況調査 全国集計


胃がん検診では問診に加えて、主に「胃部エックス線検査」または「胃内視鏡検査(胃カメラ)」を実施します。エックス線検査はバリウムを服用して撮影する方法、内視鏡検査は管を挿入して粘膜を直接観察する精密検査です。


自己負担額は胃部エックス線検査で0〜1,500円程度、胃内視鏡検査で2,500円程度〜となっています※1。対象は原則50歳以上で、2年に1回の受診が目安です。なお、胃部エックス線検査は40歳以上、1年に1回の実施も可能です。


子宮頸がん検診

種類 自己負担額の目安(※1) 検査項目 対象年齢 受診間隔
子宮頸がん 0〜2,000円 問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診など 20歳代 1回/2年
問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診など 30歳以上 1回/2年
問診、視診およびHPV検査単独法など 1回/5年
※罹患リスクの高い方は1年後に受診

(※1)自己負担額の目安の金額を超える場合もございます。
参照:厚生労働省 がん検診令和3年度 市区町村におけるがん検診の実施状況調査 全国集計


子宮頸がん検診は、問診、視診、細胞診によっておこなわれます。細胞診は検査時間が短く、痛みもほとんどありません。30歳以上では、HPV(ヒトパピローマウイルス)検査を実施する自治体もあります。


自己負担額は0〜2,000円程度で、対象年齢は20歳以上です(※1)。細胞診は2年に1回、HPV検査は5年に1回の受診が推奨されています。


肺がん検診

種類 自己負担額の目安(※1) 検査項目 対象年齢 受診間隔
肺がん 0〜1,000円 質問(問診)、胸部エックス線検査および(※2)喀痰細胞診など 40歳以上 1回/1年

(※1)自己負担額の目安の金額を超える場合もございます。
(※2)原則として、喀痰細胞診は50歳以上の重喫煙者(喫煙指数600以上の方)のみを対象とします。
参照:厚生労働省 がん検診令和3年度 市区町村におけるがん検診の実施状況調査 全国集計


肺がん検診では、問診と胸部エックス線検査(レントゲン)が実施されます。食事制限などはなく、比較的負担の少ない検査です。喫煙歴がありハイリスク群に該当する方は、喀痰(かくたん)細胞診が追加される場合があります。


自己負担額は0〜1,000円程度で、40歳以上を対象に年1回の受診が推奨されています(※1)。


乳がん検診

種類 自己負担額の目安(※) 検査項目 対象年齢 受診間隔
乳がん 0〜2,000円 質問(問診)および乳房エックス線検査(マンモグラフィ)など 40歳以上 1回/2年

(※)自己負担額の目安の金額を超える場合もございます。
参照:厚生労働省 がん検診令和3年度 市区町村におけるがん検診の実施状況調査 全国集計


乳がん検診は、問診と乳房エックス線検査(マンモグラフィ)でおこなわれます。マンモグラフィでは乳房を板で挟んで撮影するため、検査時に痛みを感じる場合がありますが、月経前を避けることで軽減できます。


自己負担額は0〜2,000円程度で、40歳以上を対象に2年に1回の受診が推奨されています(※)。


大腸がん検診

種類 自己負担額の目安(※) 検査項目 対象年齢 受診間隔
大腸がん 0〜1,000円 問診および便潜血検査など 40歳以上 1回/1年

(※)自己負担額の目安の金額を超える場合もございます。
参照:厚生労働省 がん検診令和3年度 市区町村におけるがん検診の実施状況調査 全国集計


大腸がん検診では、問診と便潜血検査が実施されます。自宅で2日分の便を採取する簡便な方法で、特別な食事制限は必要ありません。便潜血検査は、大腸がんを発見する非常に有効な検査で、死亡率を下げる効果にも直結します。


自己負担額は0〜1,000円程度で、40歳以上を対象に年1回の受診が望ましいとされています(※)。


がん検診は保険適用される?

がん検診は、がんの早期発見を目的とした「任意の健康診断」に分類されるため、健康保険の適用外となります。通常は自己負担での受診が必要です。ただし、検診で異常が見つかり、再検査や精密検査が必要になった場合は、その後の検査や診察、治療には保険診療が適用される可能性があります。


例えば、乳がん検診でしこりが発見され、超音波検査や組織検査を受ける場合、その費用は健康保険が適用されることが一般的でしょう。


高額療養費制度について

高額療養費制度は、同じ月内に医療機関で支払った自己負担額が一定の上限を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。ただし、対象は健康保険が適用される医療費のみで、予防目的の「がん検診」は対象外となります。


一方、がん検診で異常が発見され、その後の治療で自己負担額が上限を超えた場合は、制度の恩恵を受けられます。高額療養費制度の詳細は、以下の記事もあわせてご覧ください。


高額な医療費を支払ったときに活用できる高額療養費制度とは?申請方法や利用時の注意点


がん検診は医療費控除される?

がん検診の費用は、原則として医療費控除の対象外です。医療費控除は「治療を目的とした医療行為」が対象であり、「病気の予防や早期発見」を目的とした検査は通常対象外とされています。


ただし、健康診断等の結果、重大な疾病が発見され、かつ、その診断等に引き続きその疾病の治療を行った場合、そのまま治療につながった場合は例外です。この場合、検診が「治療に先行する診療行為」とみなされ、控除の対象に含められる可能性があります。あとから治療に発展した場合に備え、検診の領収書も大切に保管しておくとよいでしょう。


がん検診の費用が高いときはどうする?

多くの自治体や健康保険制度では、がん検診の受診を後押しするためのさまざまな補助制度を用意しています。


自治体の補助制度を活用する

ほとんどの市区町村では、がん検診の費用を国が一部負担しているため、私たちが支払う金額は無料〜数千円程度に抑えられています。これは、国が「がん検診によってがんによる死亡者数を減らすことができる」と考えて、検診を推奨しているためです。


自己負担額は自治体ごとで異なるため、詳細は窓口やホームページで確認しましょう。


協会けんぽなどの補助制度を活用する

会社員や公務員が加入している健康保険では、がん検診をはじめとする各種健診の費用を一部補助している場合があります。全国健康保険協会(協会けんぽ)では、年度内に1人1回まで、がん検診の費用補助を受けることができます。大企業の健康保険組合でも、独自の補助制度を設けていることがあるため、勤務先の担当窓口に確認してみるとよいでしょう。


がん検診が必要な理由

ここからは、がん検診を定期的に受けることの重要性を4つの視点から紹介します。


がんを早期発見・治療できる

日本人の2人に1人が一生に1回がんと診断され、男性は4人に1人、女性は6人に1人が“がん”により死亡するといわれています。しかし、がんは早期発見により高い確率で治癒が期待できる病気になりつつあるでしょう。


胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんは、早期発見・早期治療で90%以上、肺がんは80%以上が治るとされています。早期発見・治療ができれば死亡率を下げられるがんもあるため、検診を定期的に受けることが重要です。


がん以外のリスクも下げられる

がん検診で発見されるのはがんだけではありません。がんになる前の「前がん病変」(ポリープや異型細胞など)が見つかることもあり、早めに除去することでがんそのものの予防につながります。


必要に応じて治療をおこなえば、将来的な悪化・死亡のリスクを下げられるケースもあるでしょう。無症状のうちにがんを発見できるのは検診の大きなメリットです。


身体的・経済的負担を抑えられる

がんが進行してから発見された場合、一般的に、長期間の治療が必要となり、身体への負担も大きくなります。手術、抗がん剤、放射線治療など複数の治療を併用するケースでは、入院や副作用のリスクも高まるでしょう。


治療費も高額になる傾向があり、精神面・経済面の両方で大きなストレスを抱えることになります。早期発見できれば比較的軽い治療で済み、身体的・経済的負担も抑えられる可能性があります。


精神的な安心感を得られる

がん検診を定期的に受けて「異常なし」と診断されることで、健康への不安が軽くなり、安心して日常生活を送ることができます。多くの方が抱える「がんへの不安」に対し、定期的な検診で得られる安心感は大きな意味を持つでしょう。


ただし、「異常なし」は「がんが絶対にない」という意味ではありません。検診には限界があるため、継続的な受診を心がけることが大切です。


がん検診の費用を知って共済で備えよう

がん検診は、多くの自治体で補助制度が設けられており、少ない自己負担で受診できます。ただし、自治体の補助対象外の検診や、より詳細な検査を希望する場合は、健康保険の適用外となるため自己負担が必要です。


早期発見のための定期検診は重要ですが、万が一がんが発見された場合、治療費や収入減少といった経済的負担も考慮しておく必要があります。そうした不安に対しては、がんと診断されたときから治療期間中を保障するJA共済の「がん共済」が味方になるかもしれません。


「がん共済」の特徴は以下の3つです。


  1. 上皮内がんを含むさまざまな“がん”や脳腫瘍に対し、入院・手術・放射線治療はもちろん、抗がん剤治療やホルモン剤治療、がん性疼痛等の緩和のための在宅医療も保障します。
  2. 通算の支払限度なく、所定の治療を受けた月ごとに共済金を受け取れます。
  3. まとまった一時金が受け取れる診断保障※1やがん診断後の共済掛金の払込みを免除する保障※2など、ご意向にあわせて保障内容を自由に設計できます。

(※1)診断保障ありの契約の場合
(※2)がん診断時共済掛金払込免除特則を付加した場合
※この共済において対象となる「がん」は、悪性新生物(上皮内新生物を含む)および脳腫瘍です。
※がんに関する責任(保障)の開始は、ご契約日からその日を含めて91日目からとなります。これより前に被共済者ががんと診断確定された場合には、共済金のお支払いおよびがん診断付共済掛金払込免除特則による共済掛金の払込免除はいたしません。ただし、所定の後遺障害等の状態による共済掛金の払込免除についてはご契約日から保障いたします。
※入院および公的医療保険制度に基づく所定のがん治療を保障します。
※この共済には、死亡時における保障はありません。


定期的な検診と経済的備えの両面から、がんに対する総合的な対策を検討してみてはいかがでしょうか。


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参考・出典元:
厚生労働省 がん検診
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html

厚生労働省 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001512304.pdf

厚生労働省 令和3年度 市区町村におけるがん検診の実施状況調査 全国集計
https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000892498.pdf

日本医師会 胃がん検診の検査方法
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/stomach/checkup/

日本医師会 子宮頸がん検診の検査方法
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/cervix/checkup/

日本医師会 肺がん検診の検査方法
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/lung/checkup/

日本医師会 乳がん検診の検査方法
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/breast/qa/

日本医師会 大腸がん検診の検査方法
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/largeintestine/checkup/

厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf

全国健康保険協会 協会けんぽ 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150/

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122_qa.htm

全国健康保険協会 協会けんぽ 料金
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat410/sb4030/r91/

国立研究開発法人国立がん研究センター 最新がん統計
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

公益財団法人日本対がん協会 がん検診のメリット・デメリット
https://www.jcancer.jp/about_cancer_and_checkup/%E6%A4%9C%E8%A8%BA%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/%E6%A4%9C%E8%A8%BA%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88

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