教育資金贈与はお得!?祖父母から孫へ一括贈与する際の注意点とは
“家族”に関するねだんのこと
2017.02.17
平成25年度の税制改正によって、直系尊属(祖父母や両親など)から教育資金の一括贈与を受けた場合、贈与税が非課税になる制度が創設されました。これによって、お子さんの教育資金準備の選択肢が広がった方もいるのではないでしょうか。今回は、教育資金贈与の税制優遇の詳細や制度を活用する際の注意点などをまとめてご紹介します。
そもそも教育資金贈与って?
教育資金贈与の非課税特例とは、祖父母や両親から孫や子に教育資金を贈与する場合、1500万円までであれば贈与税がかからない、つまり非課税となる制度のこと。この制度をうまく利用すれば相続税の節税対策に大きな効果が期待できるほか、教育資金をあらかじめ用意しておくことによる安心感も得られます。
また、教育資金贈与の非課税特例を受けるためには信託銀行などの金融機関と「教育資金管理契約」を結ぶ必要があります。多くの金融機関で取り扱いがあるため、基本的には普段ご自身が利用している金融機関に相談するとよいでしょう。税務署等の手続きも金融機関が代行して行ってくれるため、事務処理の負担が大きくないのも特徴です。
その他、教育資金贈与のポイントは以下の通り。
祖父母や両親から子や孫への贈与であること
教育資金贈与の対象となるのは、「直系尊属」間のやりとりのみ。つまり、親や祖父母、曽祖父母、などが対象となっています。さらに、養父母の贈与も対象となります。一方、叔父や叔母といった直系ではない親族は対象とならないので注意が必要です。
贈与される子や孫は30歳未満であること
また財産を受ける側では30歳未満という年齢制限がありますので、30歳以上の子や孫は特例対象となりません。
使い道は教育資金に限られていること(非課税枠は1500万円)
その名の通り、贈与したお金の使い道は「教育資金」に限られます。入学金や授業料など学校に直接支払われる教育資金の場合1500万円までが非課税枠となりますが、学校外のいわゆる習い事に支払われるものに関しては500万円が上限となっています。
子どもの教育費は年々増加傾向にあるため、子育て世代は教育費の確保に苦労する場合も少なくありません。また高齢世代に比べると保有資産も少ないため、この制度をうまく利用することで使われていない資産を若い世代に移管でき、経済の活性化も期待できるといわれています。
教育資金贈与の活用法と注意点
大きな節税効果が期待できる教育資金贈与ですが、実際に活用する場合に気をつけるべきポイントはどのようなことでしょうか。
申込期限が決まっている
平成25年4月に始まった教育資金贈与の非課税制度ですが、申込期限は平成31年3月31日までと決まっています。あくまで「申込期限」ではありますが、この期間中に信託銀行や信託会社などと契約を結ぶ必要があります。
領収書が必要
金融機関への申請に必要となります。その際、領収書に記載される“宛名”は、原則として贈与を受ける本人の名前である必要があります。ただし、親名義の口座から教育資金を引き落とされる場合などの例外もあるため、事前に確認しましょう。
使い切れなかった場合
教育資金贈与額をそのまま受け取ることも可能ですが、残金が110万円を超える場合は贈与税の課税対象となります。教育資金を贈与してくれた親や祖父母などの口座に残金を返却すれば、贈与税はかかりません。
使い切れなかった残金が多い場合は贈与税が高額になる可能性があるため、金融機関や税理士に相談するなどして決めるのがよいでしょう。
贈与税の非課税枠を活用する
もともと、祖父母などからの贈与も年間110万円以下であれば贈与税がかかりません。そのため、子や孫が30歳になるまで一定期間贈与が可能であれば、一括贈与しなくても教育資金が必要な際に都度、贈与する方法もあります。
平成27年からの相続税増税に伴って注目を集めている教育資金贈与の非課税特例ですが、条件次第では活用しなくてもよい場合も考えられます。お子さんやお孫さんの教育費はどの程度用意すべきなのか、節税効果によるメリットはあるかなどをしっかり確認し、うまく活用してみてはいかがでしょうか。