葬儀費用は誰が支払うもの?一般的なケースや支払い方についてご紹介

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2023.07.27

葬儀費用は誰が支払うもの?一般的なケースや支払い方についてご紹介

家族が亡くなったときのことは、あまり考えたくはないかもしれません。けれど、亡くなったあとはすぐに葬儀をおこなわなければならず、そのための費用も必要になります。葬儀費用は誰が支払うのか、どのようにして支払いをすればよいのかが気になることも多いでしょう。

本記事では、葬儀費用は誰が負担するのかについてや、支払い方法について説明します。いざというときにスムーズに動けるよう、一般的なルールを知っておきましょう。

本内容は、令和5年5月の制度等にもとづき、記載しています。

葬儀費用は誰が支払う?

葬儀は通常、亡くなった方の遺族でとりおこないます。遺族とは故人の家族で、故人の財産を引き継ぐ相続人でもあることが多いはずです。相続については民法で定められていますが、葬儀費用の負担については民法でもその他の法律でも定められていません。葬儀費用を誰が支払うかは、一般的な慣習にしたがって考える必要があります。


喪主が支払うことが一般的

葬儀費用は、一般には「喪主」と呼ばれる立場の方が払うことになります。喪主とは、遺族を代表して葬儀をとり仕切る方です。喪主は、葬儀社と打ち合わせしながら、葬儀に関する細かなことを決めます。参列者に挨拶をするのも喪主の役割です。


なお、喪主以外に、葬儀費用を支払う「施主」がいることもあります。施主とは、お布施をする方、つまり葬儀費用の支払いをおこなう方の意味です。例えば、長男や長女が喪主をつとめ、配偶者が施主として葬儀費用を払うケースも多くなっています。


故人が遺言書を残しており、葬儀に関しても遺言書で指定しているケースがあります。葬儀に関して遺言書に書いてあったとしても、法的な効力は生じません。ただし、故人の意思を尊重し、できる限り遺言書で指定された方が葬儀費用を支払ったほうがよいでしょう。

喪主はどうやって決まる?

喪主の決め方には厳密なルールはありません。故人の配偶者が生きていれば、配偶者が喪主をつとめるのが一般的です。配偶者がいない場合や、生きていても病気や高齢で喪主をつとめられない場合には、長男、長女が喪主となることが多くなっています。なお、故人が遺言書で喪主を指定していれば、遺言書に従ったほうがよいでしょう。


喪主は必ずしも一人でなくてもかまいません。一人に決められない場合や、一人だと負担が大きい場合などには、複数の方で喪主をつとめることも可能です。

葬儀費用の相場

葬儀の際にかかる費用は、葬儀費用(葬儀場の使用料、棺、搬送費など)、飲食費、返礼品費の大きく3つに分かれます。


株式会社鎌倉新書が2020年2月に実施した「第4回お葬式に関する全国調査」※によると、それぞれの全国平均は次のとおりです。


  • 葬儀費用 119万1,900円
  • 飲食費 31万3,800円
  • 返礼品費 33万7,600円
  • 合計 184万3,300円

上記はあくまで平均費用です。葬儀費用は葬儀の種類によって変わります。


葬儀には一般葬のほか、家族だけでおこなう家族葬、通夜をおこなわない一日葬、火葬のみをおこなう直葬などの種類があります。簡単な葬儀になるほど葬儀費用は安くすみ、参列者が少なければ飲食費や返礼品費もあまりかかりません。


葬儀の種類別にかかる費用の合計をみると、次のようになっています。


  • 一般葬 239万5,570円
  • 家族葬 137万914円
  • 一日葬 134万8,500円
  • 直葬・火葬式 80万2,624円

なお、2020年以降、コロナ禍の影響により一般葬を実施しづらい状況になったため、家族葬などの小規模な葬儀が増えました。2022年の「第5回お葬式に関する全国調査」では、葬儀費用の平均額は110.7万円と2020年調査の184.37万円と比べて大きく下がる結果が出ています。


※株式会社鎌倉新書 【第4回お葬式に関する全国調査】より引用

喪主が葬儀費用を負担するのが難しい場合

葬儀にかかる費用の相場は200万円近くと、決して安くはありません。喪主だけが葬儀費用を負担するのが困難な場合も多いでしょう。喪主が葬儀費用を支払うのが難しい場合には、どうすればよいのでしょうか?

香典を支払いに充てる

葬儀の際に参列者が持参した香典は、通常は喪主が受け取ります。喪主は香典を葬儀費用の支払いに充てても問題ありません。そもそも香典には、遺族の葬儀費用の負担を軽くするという意味もあります。


なお、葬儀費用より受け取った香典の金額のほうが高くなることもあるでしょう。この場合には、相続人間で余ったお金をどうするかを話し合うのがおすすめです。喪主が香典の残りを勝手に使ってしまうと、あとでトラブルになる可能性もあります。

親の遺産から支払う

葬儀費用を故人の預貯金などの遺産から支払うケースも多くなっています。なお、葬儀費用は亡くなったあとに発生するものです。故人自らが作った債務ではないため、当然に相続財産から支出するものではありません。遺産の中から葬儀費用を支払う場合には、基本的に相続人全員が合意する必要があります。


ただし、故人の預貯金口座は金融機関が死亡を知った時点で凍結され、一切の入出金ができなくなってしまいます。凍結を解除するには、遺産分割協議を終わらせたうえで、金融機関に遺産分割協議書や必要書類を提出して相続手続きをしなければなりません。


通常の相続手続きでは預貯金の引き出しに時間がかかってしまうため、仮払い制度が設けられています。仮払い制度を利用すれば、1つの金融機関で150万円を上限に、各相続人が相続分の3分の1の仮払いを請求できます。故人の預貯金を葬儀費用に充てたい場合には、仮払い制度を利用するとよいでしょう。

相続人で分担して支払う

葬儀費用は、相続人で分担して支払ってもかまいません。親の葬儀費用を長男や長女だけが負担するのは不公平感があり、トラブルにもつながりがちです。兄弟がいる場合には、兄弟間で葬儀費用を分担するケースは多くなっています


葬儀費用を相続人で分担するときには、各自の年齢や収入なども考慮して負担割合を決めるとよいでしょう。

葬儀の前に確認したいこと

亡くなってから葬儀まではあわただしくなり、何から順番に手をつけたらよいかわからなくなってしまいます。あらかじめ以下のようなことを確認しておくと、スムーズに葬儀の段取りができるでしょう。

遺言書や遺言信託の有無

故人が遺言書を残していないかを確認します。遺言書に葬儀に関することが書かれていれば、できる限り故人の意思にしたがって葬儀を進めましょう。


なお、封がしてある手書きの遺言書(自筆証書遺言)が見つかった場合、勝手に開封してはいけません。家庭裁判所で検認という手続きを受ける必要があります。検認前に開封してしまうと、5万円以下の過料というペナルティが処せられる場合があります。葬儀に関することは必ずしも遺言書にしたがう必要はないので、葬儀が終わってから家庭裁判所に検認の申立てをしましょう。


自筆証書遺言が法務局に保管されているケースや公正証書遺言が作成されているケースもあります。いずれも、自宅等に控えが残されていなければすぐには内容がわかりません。葬儀が終わってから遺言書の有無を確認しましょう。


故人が信託銀行で遺言信託を申し込んでいる場合があります。遺言信託とは、遺言書を書いて信託銀行に保管してもらい、相続開始後は信託銀行が遺言執行者となって遺言書の内容を実現してくれるサービスです。


故人が遺言信託をおこなっている場合、故人の死亡を信託銀行に連絡する「死亡通知人」が指定されているはずです。通常は家族の誰かが死亡通知人に指定されているため、家族間で確認してみましょう。


葬儀に関することは、エンディングノートに記載されている可能性があります。エンディングノートを探してみましょう。


エンディングノートとは、人生の最期を迎えたときや死後の希望を伝えるために書いて残しておくノートです。エンディングノートには法的効力はありませんが、市販もされており、近年は多くの方が活用しています。市販のエンディングノートには葬儀の希望を書く欄も設けられているため、故人の意向を知る手がかりになるはずです。

死亡保険や葬儀保険の有無

故人が生命保険(共済)に加入していれば、死亡保険(共済)金受取りの手続きが必要になります。保険(共済)証券を探しておきましょう。


故人以外の方を受取人としている死亡保険(共済)金は遺産分割の対象ではなく、受取人固有の財産です。受取人が必要書類を提出して手続きすればすぐにお金を受け取れるため、葬儀費用にも充てられます。


故人が葬儀保険(共済)に加入しているケースもあります。葬儀保険(共済)とは、葬儀費用をまかなうための保険(共済)です。少額短期保険(共済)と呼ばれる保険(共済)の1つで、支払われる保険(共済)金の額の上限は300万円となっています。葬儀保険(共済)は葬儀費用に特化した保険(共済)なので、一般的な生命保険(共済)よりも迅速に支払いが受けられます。

生前契約の有無

故人が葬儀社と生前契約を締結している場合があります。葬儀の生前契約とは、自分の死後に葬儀をやってもらう契約を、生きているうちに葬儀社との間で結んでおく方法です。


故人が生前契約を締結していれば、死亡後に契約を引き継ぐ方や、死亡を葬儀社に通知する方が指定されているはずです。通常は家族の誰かが生前契約の有無を把握していますので確認してみましょう。


生前契約では、葬儀の内容がある程度具体的に決められているため、その内容にしたがって葬儀を進めればよいだけです。葬儀費用もあらかじめ預けられている場合があり、遺族の精神的、経済的負担が軽くなるでしょう。

まとめ

葬儀費用は平均で180万円程度、家族葬でも100万円以上かかるため、決して安くはありません。葬儀費用に充てられるよう、あらかじめまとまった資金を準備しておくと安心です。


葬儀資金の事前準備の1つの方法として、保険(共済)への加入があります。積み立てた掛金は亡くなったときに共済金として支払われるため、遺族の負担を軽くすることができます。手頃な掛金で安心の保障が得られる保険(共済)をぜひ検討してみてください。



参考:
一般社団法人 全国銀行協会
https://www.zenginkyo.or.jp/


一般社団法人 信託協会
https://www.shintaku-kyokai.or.jp/


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