大病とは何か。大病経験者に聞く「一番困ったこと」とは?
“病気”に関するねだんのこと
2021.02.01
今まで健康だったとしても、ある日突然大病にかかる可能性は誰にでも潜んでいるもの。一度大病にかかってしまうと、治療費のことや仕事のこと、家族のことなど、これまでにない不安や悩みを抱えることになると言います。健康なうちだからこそ、どういった備えが必要かを考えておきたいですよね。
実際に大きな病気を経験された20〜30代男女3人に、病気にかかって一番困ったことについてうかがいました。3人のお話から、もしもの場合の備えについて考えてみましょう。
そもそも大病とは
ひどく重たい病気を指す「大病」という言葉。身体的・精神的な大病はさまざまありますが、大病と聞くと多くの方が思い浮かべるのが三大疾病ではないでしょうか。
三大疾病とは、「がん(悪性新生物)」「心筋梗塞」「脳卒中」の3つの病気のこと。厚生労働省によると、日本人の死因の半数以上はこの三大疾病が原因とされています。特にがんに関しては高年齢化が要因となり、死亡数は年々増加傾向にあります。2018年のがん死亡数は37万3,584人と、1985年の約2倍に。また、若い世代も決して他人事ではなく、50代以下で毎年1万人前後の方が、「がん」で亡くなっているのです。
大病経験者に聞いた「一番困ったこと」
若くして大病を患ってしまったら、さまざまな困難が待ち受けていそうですが、実際に大病を経験した方はどんなことに困ったのでしょうか。
【舌がんで会話が困難になった金高さんの場合】
兵庫県在住の金高信雄さん(仮名・34歳・自営業)は、舌にできた慢性的な口内炎を治療するため、2015年1月中旬に1週間の入院を伴った切除手術を受けました。その際に切除部分から初期のがん細胞が発見されました。病名は「舌がん」でした。
「1年ほど口内炎を放置していたこともあり、かさぶたのようになっていましたが、まさか術後にがんだったことが判明するなんて思いもしませんでした。術後1週間は食事することが難しかったのですが、何よりもしゃべりのリハビリが大変でした」(金高さん)
幸いなことに自宅で作業可能な仕事による収入があったものの、講師業も営んでいる金高さんにとって、話せないことは致命的。個人事業主なので有給や傷病手当金を受け取ることもできません。治療費は「高額療養費制度」(医療機関や薬局の窓口で支払った額が、月初めから終わりまでで一定額を超えた場合に、超えた金額を支給する公的制度)の適用により、ある程度賄うことができたものの、実費負担もあったといいます。
「がん発覚当時は国民健康保険以外に加入している保険は一切なかったのですが、高額療養費制度で治療費の一部の負担で済みました。とはいえ、入院中の個室代が10万近くかかり、術後の検査でMRIやCTが1回3万円かかるなど、実費負担が大きかったです」(金高さん)
術後1週間はほとんどしゃべれず筆談状態だったのが、懸命なリハビリと家族による食事面のサポートにより、2か月後の同年4月から無事講師業に復帰。今では自然に話せるまでに回復したといいます。
「大病を経験したことで、復帰するまでの間にかかるコストの重さを痛感しました。現金などの流動資産を見てどれくらい仕事を休めるのかを考えておくことや、預貯金や保険(共済)加入で準備しておくこと、そして何より健康診断や人間ドックを受け、健康管理を常に心がけることの大切さを学びましたね」(金高さん)
【20代で子宮頸がんにかかった高木さんの場合】
東京都在住の高木晴香さん(33歳・医療関係)は2012年の夏、婦人科系の病気で最も多いとされる「子宮頸がん」と診断されました。初めて検診を受けた25歳の時、すでに「クラス3a」(軽度から中程度の異形成細胞が確認できる状態)だった高木さんは、その細胞ががんになりうる可能性もあるため、半年おきに定期検診を受けていました。ところが特に変化もなかったため1年半ほどがんの定期検診を受けなかったところ、29歳の検診時に高度の異形成細胞が見られる前がん段階である「クラス3b」まで、がんが進行してしまっていたのです。
「年齢的にも結婚や妊娠・出産に影響があったらどうしようと不安でいっぱいでした。それに心配性な親と一緒に住んでいたので、何て伝えようか、それが一番困ったことでしたね」(高木さん)
幸いなことに1泊2日の入院と子宮頸部円錐切除の手術で済んだため、妊娠や出産は可能。仕事への影響もなかったといいます。さらに保険に加入していたこともあり、費用面の負担も少なかったそう。
「毎月15,000円ほどの医療保険と積立式年金保険に加入していたので30万円ほど保障されました。医療費控除の手続きもしたので少しだけ還付もありました。手術代と病院の個室代が20万円ほどかかったので、保険に入っていて本当によかったと実感しています」(高木さん)
【脳皮質下出血、脳ヘルニアになった栗原さんの場合】
「契約派遣社員として働いていたのですが、病気発症当時は契約期間が切れており、仕事に従事していなかったので、本当にお金の面が心配でした」と語るのは、福島県在住の栗原朱音さん(仮名・38歳・無職)。
2015年10月、突然顔面及び手足の麻痺があらわれ、ろれつが回らなくなり意識不明の状態で救急搬送されました。CT・MRI検査の結果、「脳皮質下出血・脳ヘルニア」と発覚。すぐに開頭による頭蓋内血腫除去術を受けたものの、現在も言語障害の後遺症と闘っています。
「術後約1か月間リハビリも兼ねて入院したのですが、手術に120万円、リハビリに30万円、それに点滴や検査など含めると、保険適用なしの総額が248万と高額な医療費に驚きました。幸いなことに国民健康保険限度額が適用され、標準負担額減額認定証(医療費の3割を全額負担したものの負担額が自己負担限度額を超えた場合、『限度額適用認定証』等の交付を事前に受け医療機関に提示することで窓口での支払いが自己負担限度額までにできる)を提示することで9万円程度の支払いで済みましたが、再発防止の為に服用している降圧剤に毎月4~5000円、MRI検査には1回の検査で2万円ほど支払っています」(栗原さん)
栗原さんは共済に加入していたため、保障があったそうです。これからも何かと治療費がかかる栗原さんにとって、これらの制度や保障は大いに役立っていると言います。
「大病とお金の苦労を経験したからこそ、身体が発するサインを見逃さず、気になることがあればすぐに病院に行ってくださいと言いたいですね。検査にはお金が掛かりますが、病気を発症すればそれ以上のお金が掛かりますから」(栗原さん)
万が一に備えて保険(共済)への加入も検討しよう
どの大病経験者も口を揃えて言うのは「健康の大切さが身にしみた」「定期健診を受けることが重要」、そして「お金が重要」といったことでした。
検査治療費や入院費、手術代に加え、働けなくなる期間があることを考えると、健康なうちからお金に対する備えをしておきたいもの。貯金ももちろん良いですが、保険(共済)への加入も検討したいところです。
生命保険(共済)や終身保険(共済)はもちろんのこと、先進医療にも備えられる医療保険(共済)、特定の病気に備えるがん保険(共済)や生活習慣病のリスクに備える保険(共済)など、自分に合ったものを選んで加入しておくことで、万が一の際にも安心できそうです。
健康的な暮らしを心掛けていても予期せずかかってしまう病気。もしものときに安心して治療に専念できるよう、保険や共済について早めに見直しや加入をしておきたいですね。