教育費や生活費……子育てにかかるお金、きょうだいが多いとやっぱり大変?
“子育て”に関するねだんのこと
2016.10.06
かわいい我が子にもそろそろ新しいきょうだいを……と思うものの、やはり気になるのはお金のこと。ひとりっ子と2人以上のきょうだいでは、子育てにかかる費用はどれくらい違うのでしょうか?子育てママを応援するファイナンシャルプランナーの有田美津子さんにお話を伺いました。
公立or私立、文系or理系 子どもの進学先によって変わる教育費
まず気になるのが教育費。学費だけでなく塾代や習いごとの費用など、子どもの成長に従って支出額は増えていくはず。有田さんは「子どもの進学先によって教育費は大きく異なる」と言います。
「文部科学省が実施している『子どもの学習費調査』の結果を見ると、家庭学習費や塾代、課外活動や教材費など、高校卒業までにかかる教育費のおおよその費用が計算できます。最新の平成26年度調査の結果を見てみると、幼稚園から高校まですべて公立に進むと約770万円、すべて私立に進むと約1171万円。公立を選ぶか私立を選ぶかでも、金額にかなり差があることがわかりますね」(有田さん)
さらに大学に進学した場合、同じく文部科学省が調査している「初年度学生納付金」の金額が参考になるとのこと。それによると、私立文系の場合、初年度は約115万円で、私立理系の場合は約150万円。ちなみに医歯学系は、私立校でなんと約460万円!浪人・留年してしまった場合はさらに費用がかかります。対して国立は文系・理系・医歯学系問わず、初年度納付金は約87万円。私立と比べて、圧倒的にリーズナブルです。ちなみに30歳男性の平均年収は約450万円。私立大学に進学すると、少なくともおよそ4分の1の年収が学費に使用されることになります。
「私立大学の学費は、通常の年収ではまず払いきれない金額。もちろん子どもが増えればその分資金が必要になります。大学入学までに、子ども1人につき200~300万円は積み立てておきたいですね」(有田さん)
続いては教育費以外の子どもの生活費。食費や医療費など、日々の生活の中でどんな項目にどれくらいのお金が必要なのでしょうか。平成22年に内閣府が発表した「年間子育て費用額」のデータを基に、算出してもらいました。
「調査の中で、教育費や貯蓄・保険以外に必要な生活費として挙げられているのは『衣類・服飾雑貨費』『食費』『生活用品費』『医療費』『子どもの携帯電話料金』『おこづかい』『お祝い行事関連費』『レジャー・旅行費』。これらを合計して年間の生活費を計算すると、未就学児の場合は1人当たりおよそ55万円、小学生はおよそ68万円、中学生はおよそ80万円になります。高校生以降の詳しいデータは出ていないのですが、高校生は中学生より行動範囲が広いので、金額はさらに上がるはず。教育費以外にも、子どもを1人育てるためにはこれだけのお金が必要です」(有田さん)
無理なく2人以上育てることは、家計の工夫次第で十分可能
子どもの教育費に生活費、夫婦の年収から考えても、意外と家計への負担が大きいと感じた人も多いのでは。このご時世、子どもを2人以上育てるにはやはり高い年収がないと難しいのでしょうか。
「一般的なサラリーマンのご家庭なら、子どもが2人以上いても工夫次第でやりくりすることは十分可能です。たとえば、自宅での食費は1家族につき子どもが1人でも2人でもあまり変わりませんが、外食すると1人ずつお金がかかりますよね。週末、家族で出かけるときに必ず外食しているようなご家庭は、知らず知らずのうちに食費がかさんでしまっていることが多いです」(有田さん)
他にも、下記のようなことを心がけることがおすすめだと有田さんは言います。
家にいるときにすべての部屋の空調をつけっぱなしにするなど、生活習慣の中での“うっかり消費”に気をつける。
衣類はネットオークションやフリーマーケット、リーズナブルな子ども服店などをうまく活用する。
おもちゃは、買い与えすぎない。親類からのプレゼントや、誕生日やクリスマスなどのイベントに限定するようにする。
「特に、おもちゃを買い与えすぎないことで子どもの『物を大事にする気持ち』も育つはず。節約というだけではなく、金銭感覚を養う教育にもつながることが期待できます」(有田さん)
おトクな行政のサービスや助成金は常にチェック!
子どもがいる家庭なら、子どもの年齢や人数によって国や地方自治体から受けられるサービス、助成金なども見逃せません。たとえば、子どもの医療費は一定の年齢まで無料となるなど。住んでいる場所によっても変わってくるため、自分の住んでいる地域はどのような手当てを受けられるか、常に把握しておくことが大切になります。
「さらに2016年の4月からは『少子化社会対策大綱』という施策が内閣府で始まりました。少子化対策のために、2人以上の子どもがいる家庭は優遇されるという内容です。第二子からは保育料を半額、第三子からは無料に、という方向で進んでいるのですが、まだ始まったばかりの施策なので、自治体によって対応の状況にはまだばらつきがある状況です。
助成金や補助を受けるための手続きは、黙っていたら誰もやってくれません。申請が遅くて補助を受けられないこともありますので、居住する地区のホームページをこまめにチェックするなど、取りこぼしのないようにしたいですね。
内閣府のホームページ内にも各自治体の子育て支援策にリンクできるページがあります。自分が住む自治体の支援策を確認しておきましょう」(有田さん)
子どもが2人以上いれば、その分お金が必要になることは間違いありません。けれど家計の工夫や行政のサービスをうまく活用することで、無理のない子育てをすることは決して難しいことではなさそうです。まずは家計簿をきちんとつけて、毎月の収支を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。