自動車の購入・維持にかかる税金・減税制度についてまとめてみた
“家と車”に関するねだんのこと
2019.03.11
日本は自動車の所有にかかる税金の種類が多く、税額も高いとよく言われます。では、実際にどんな税金がどれくらい課せられているのでしょうか?自動車購入時にかかる税金と、その後、クルマを維持しているにあたりかかる税金をまとめてみました。
自動車の購入時・維持にかかる税金の種類
自動車にかかる税金は、「自動車取得税」「自動車重量税」「自動車税」「軽自動車税」「揮発油税」「地方揮発油税」「軽油引取税」「石油ガス税」「消費税」の全部で9種類があります。税金の種類や納税タイミング、税額については以下のとおりです。
■自動車取得税
自動車を取得(購入)するときにかかる税金。税額は、価格ではなく車種やグレードごとに定められている「取得価額」の3%(軽自動車は2%)です。取得価額は新車の場合、車両価格の90%程度。200万円のクルマなら、54,000円程度となります。なお、50万円以下の中古車の場合、自動車取得税はかかりません。また、2018年12月にまとめられた「2019年度税制改正大綱」により、2019年10月の消費税率引き上げ後は、廃止される見込みです。
■自動車重量税
こちらはクルマ購入時と車検ごとにかかる税金で、購入時に36ヶ月分、以後は24ヶ月分を収めます。つまり、「次の車検まで」を収めるということ。税額は車重0.5トン刻みで決められており、一般的なコンパクトカーが当てはまる1トン以上1.5トン未満で36,900円(36カ月分)、ミドルクラスが当てはまる1.5トン以上2.0トンで49,200円(36カ月分)です。軽自動車の場合は、車重に関わらず一律で、新車時に9,900円、車検時に6,600円となっています。
■自動車税/軽自動車
毎年、4月1日時点で、そのクルマを所有している人の課せられる税金で、普通車の場合は、「自動車税」、軽自動車は「軽自動車税」となります。自動車税の税額は排気量ごとに定まっており、総排気量1リットル以下の29,500円から、6.0リットル超の111,000円まで10段階です。購入時は、次の4月1日までの分を月割で支払い、軽自動車税の税額は、一律で10,800円です。月割の税額はなく、いつ購入しても年額10,800円を支払います。
なお、「2019年度税制改正大綱」により、2019年10月の消費税率引き上げ後に購入された新車については、税額が減額となる見込みとなっています。燃費性能にすぐれた小排気量車ほど減額は大きくなり、もっとも減税が大きくなるのは1.0L以下では4,500円減(29,500円→25,000円)となるようです。
■揮発油税/地方揮発油税/軽油引取税/石油ガス税
この4つは燃料に課せられる税金で、ガソリンには揮発油税と地方揮発油税(一般的にこの2つを合わせてガソリン税と呼ぶ)、ディーゼル車に使用する軽油には軽油引取税、タクシーなどのLPガス車には石油ガス税が課されます。ガソリン税は、ガソリン1リットルあたり53.8円と、実はガソリン価格のおよそ半分を占めています。
■消費税
物の購入時に支払う消費税は、クルマや燃料を購入するときも同じように8%が課せられます。ひとつ問題となっているのは、ガソリンにかかる消費税で、53.8円のガソリン税にも消費税がかかっているということ。つまり二重課税(Tax On Tax)になっているのです。
自動車の購入・維持にかかる税金シミュレーション
一般的なコンパクトカーを例に、エコカー減税などの減税措置を含めないごくごく簡単な税金のシミュレーションしてみましょう、
■想定車両
車両価格200万円、排気量1.5L未満、車両重量1.5トン未満の新車
■車両購入時
自動車取得税:54,000円
自動車税:31,600円(4月登録の場合)
自動車重量税:36,900円(36ヶ月分)
消費税:160,0000円
=計:282,500円
■購入後
自動車税:34,500円(年1回)
自動車重量税:24,600円(車検時、24ヶ月分)
ガソリン税:4,304円(月80リットル給油すると仮定した場合の1ヶ月あたりの税額)
上記を「1年あたり」に換算すると、年間98,448円。排気量1.5リットルのクルマなら、年間およそ10万円の税金が維持費としてかかっていると考えておくといいでしょう。
環境性能に優れた「エコカー」なら減税も
先のシミュレーションは、「エコカー減税などの減税措置を含めない」という前提でした。しかし、実際には「エコカー減税」「グリーン化特例」により、対象車種を新車で購入する場合は、税金が減免となります。
エコカー減税とは、環境性能に優れたクルマに対する「自動車取得税」「自動車重量税」「自動車税/軽自動車税」の優遇措置。2019年1月現在は「平成17年排出ガス基準75%低減レベル」で、「平成32年度燃費基準」の達成率に応じて、自動車取得税は20~100%(免税)、自動車重量税は25~100%、自動車税/軽自動車税は25~75%、それぞれ減税となります。
ただし、現在の対象や減免額は、取得税が「2019年3月31日までに新車を取得する場合」、重量税が「2019年4月30日までに新車登録および最初の車検を受ける場合」、自動車税は「2019年3月31日までに新車を取得する場合」となっており、それ以降はより基準が厳しくなる見込みです。
なお、新車購入時には減税となる自動車税と自動車重量税ですが、車齢が13年を超えると増額(重量税は18年経過でさらに増額)となりますので、ご注意ください。
これまで「なんとなく支払ってきた」という人の中には、「こんなにいろいろな種類の税金がかかっていたのか」と驚く人もいるかもしれません。「2019年度税制改正大綱」で示された内容がどれだけ実現するかはわかりませんが、ユーザーの負担が少なくなるような税制になってくれることを期待したいですね。