地震保険は本当に必要?地震のリスクや地震保険料の決まり方について解説

地震保険は本当に必要?地震のリスクや地震保険料の決まり方について解説

地震保険は、大規模地震の発生確率が高い日本で、地震による損害に備えるために重要な対策の1つです。


しかし、「地震保険は本当に必要なのか」と疑問視する声もあり、地震保険に加入するべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、地震保険の基本と必要な理由、保険料の決まり方などを詳しく解説します。地震への備えを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。


本内容は、令和6年8月の制度等に基づき、記載しています。 本記事に記載の内容・条件は保険会社によって異なる場合がございます。詳しくは保険・共済各社・各団体へお問い合わせください。


地震保険とは

はじめに、地震保険について以下の3つを紹介します。


  • 地震保険の基礎知識
  • 地震保険の対象
  • 地震保険の保険金の支払基準と支払額

地震保険への理解が深まるので、ぜひご覧ください。

地震保険の基礎知識

地震保険は、地震や噴火、津波が原因で発生する火災、建物の損壊、埋没、流失に対する損害を補償する保険です。


地震保険には、医療保険やがん保険などと異なる特徴が2つあります。


1つ目の特徴は、政府と民間の損害保険会社が共同で運営していることです。 地震は、頻度や規模にばらつきがあり、ひとたび地震が発生すると巨大な損害をもたらすという特性があります。大数の法則が成り立たないことなどにより、民間損害保険会社のみではリスクを引き受けることができないため、長い期間で収支を考え得る国が再保険を引き受けることで、地震保険制度が創設されています。


また、地震保険法に基づいて補償内容や保険料が設定されていることから、どの保険会社で加入しても条件に違いはありません。ただし、払込方法によって保険料は異なる場合があります。


2つ目の特徴は、地震保険は単独で加入できないことです。 生命保険や医療保険は単独で契約が可能ですが、地震保険は特定の損害保険契約とセットでなければ契約できません。


「地震保険に関する法律」第2条2項3号では、以下のように定められています。


2 この法律において「地震保険契約」とは、次に掲げる要件を備える損害保険契約(火災に係る共済契約を含む。以下同じ。)をいう。
一 居住の用に供する建物又は生活用動産のみを保険の目的とすること。
二 地震若しくは噴火又はこれらによる津波(以下「地震等」という。)を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没又は流失による損害(政令で定めるものに限る。)を政令で定める金額によりてん補すること。
三 特定の損害保険契約に附帯して締結されること。
四 附帯される損害保険契約の保険金額の百分の三十以上百分の五十以下の額に相当する金額(その金額が政令で定める金額を超えるときは、当該政令で定める金額)を保険金額とすること。
引用:地震保険に関する法律|e-Gov法令検索

そのため、地震保険は単独では加入できず、火災保険などの損害保険と併せて契約する必要があります。

地震保険の対象

地震保険の補償の対象は、主に住居用の建物と家財です。 地震によって損壊した居住用の建物や、家のなかにある家具、家電製品などが補償の対象となります。


ただし、以下の建物や家財などは、補償の対象外です。


  • 工場
  • 事務所専用の建物など住居として使用されない建物
  • 1個または1組の価額が30万円を超えるもの
    貴金属
    宝石
    骨とう
    通貨
    有価証券(小切手、株券、商品券等)
    預貯金証書
    印紙
    切手
    自動車 など

参照:地震保険制度の概要|財務省

地震保険に加入していても、すべての家財や建物が補償されるわけではない点は、あらかじめ理解しておきましょう。

地震保険の保険金の支払基準と支払額

地震保険の保険金は、居住用の建物や家財に対して、以下の損害が発生したときに支払われます。


  • 全損
  • 大半損
  • 小半損
  • 一部損

損害状況の詳細や補償額は、以下の表でご確認ください。



支払基準 損害の状況 支払われる保険金額
建物 家財
全壊 主要構造部などの損害額が、時価額の50%以上 家財の時価の80%以上 保険金額の100%
焼失・流失した部分の床面積が建物の延床面積の70%以上
大半損 主要構造部などの損害額が建物の時価の40~50%未満 家財の時価の60~80%未満 保険金額の60%
焼失・流失した部分の床面積が建物の延床面積の50~70%未満
小半損 主要構造部などの損害額が建物の時価の20~40%未満 家財の時価の30~60%未満 保険金額の30%
焼失・流失した部分の床面積が建物の延床面積の20~50%未満
一部損 主要構造部などの損害額が建物の時価の3~20%未満 家財の時価の10~30%未満 保険金額の5%
全損・大半損・小半損・一部損に至らない建物が床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水
※参照:地震保険制度の概要|財務省保険料シミュレーター|日本損害保険協会

門、塀、垣のみの損害や、一部損に至らない損害などは、支払基準に満たないため、給付金の対象外です。

地震保険が必要といわれる理由

地震保険が必要といわれる理由は以下の4つです。


  • 国内での大規模地震の発生確率が高いから
  • 日本周辺で大規模地震が発生しているから
  • 火災保険だけでは補償が不十分だから
  • 公的支援制度だけでは金額が不十分だから

本章を参考に、地震保険が自分にとって必要か考えてみましょう。

国内での大規模地震の発生確率が高いから

日本国内での大規模地震の発生確率は、非常に高い傾向にあります。


地震調査研究推進本部の調査「全国地震動予測地図2020年版 地図編」によると、太平洋側の多くの地域で、2020年から30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は26%以上です。


また、気象庁のデータによると、2023年の日本において、震度1以上の地震は2,227回観測されています。そのなかでも、最大震度4以上の地震は41回、最大震度5弱以上の地震は8回と、大きな地震も複数回発生しています。


日本は世界的に見ても地震による危険度が高い国であることから、地震保険の必要性が高いといえるでしょう。

日本周辺で大規模地震が発生しているから

日本は世界でも珍しく、4つのプレートが集まる地点にあるため、地震が起きやすい地域です。 アメリカ地質調査所(USGS)のデータをもとにした気象庁の研究によると、2011年〜2020年に発生したマグニチュード6.0以上の地震の17.9%が日本付近で発生しています。


このように大規模な地震が発生しやすい傾向にあることも、地震保険の加入が必要といわれる理由の一つです。

火災保険だけでは補償が不十分だから

地震による損害に備えたい場合、火災保険だけでは補償が不十分だといえます。


なぜなら、火災保険は地震による損害を補償対象外としているからです。 例えば、地震による火災や噴火、津波で建物・家財が損壊した場合は、補償を受け取れません。

公的支援制度だけでは金額が不十分だから

建物や家財が地震によって損害を受けた場合、国の公的支援だけでは、再建が難しい可能性があります。


地震発生時には「被災者生活再建支援制度」と呼ばれる国の支援を受けられます。「被災者生活再建支援制度」とは、災害により生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して、最大300万円の支援金が支給される制度です。


しかし、内閣府の調査によると、東日本大震災で被害に遭った住宅の新築費用は平均2,500万円であり、支援金では賄いきれない可能性があります。自己負担のリスクを減らすためにも、地震保険への加入が必要といえるでしょう。

地震保険料の決まり方

地震保険料は、法律に基づき算出されており、同じ補償内容であればどこの保険会社で契約しても一律です。具体的には、以下の4つの要素によって決まります。


  • 建物の所在地
  • 建物の構造
  • 建物の免震・耐久性に応じた割引制度
  • 保険期間・支払方法

ここでは、地震保険料を決める要素について解説します。

建物の所在地

地震発生のリスクは地域によって異なります。そのため、建物の所在地で地震保険料が変わるのが特徴です。地震発生のリスクは、地震調査研究推進本部による「確率論的地震動予測地図」をもとに、都道府県ごとに3つの区分に分けて判断します。


例えば、地震発生リスクの低い1等地ほど保険料は安く、地震発生リスクの高い3等地ほど高くなります。地震保険の加入検討の材料にもなるため、自分の所有する建物の所在地の地震発生リスクを把握しておきましょう。

建物の構造

地震保険料は、建物の構造(イ構造、ロ構造)によって決定されます。それぞれの特徴は以下のとおりです。


建物の構造 建物の特徴 保険料の傾向
イ構造 鉄骨・コンクリート造の建物 耐震性能の高い建物のため、低い保険料が設定される傾向がある
ロ構造 木造の建物 耐震性能の低い建物のため、保険料がやや高くなるケースが多い

地震保険への加入を検討する前に、保有する建物の構造や耐久性を把握しておきましょう。

建物の免震・耐震性能に応じた割引制度

地震保険には、建物の建築年数や免震・耐震性能に応じた割引制度が設けられています。

割引制度は、以下の4種類です。

割引制度の種類 条件 割引率 (重複は不可)
免震建築物割引 対象物件が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「免震建築物」である場合 50%
耐震等級割引 対象物件が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に規定する日本住宅性能表示基準に定められた耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針」に定められた耐震等級を有している場合 耐震等級1:10% 耐震等級2:30% 耐震等級3:50%
耐震診断割引 対象物件が、地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす場合 10%
建築年割引 対象物件が、昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合 10%
※引用:地震保険制度の概要|財務省

保険料を安く抑えられる可能性もあるため、建物の建築年数や免震・耐震性能をチェックしておきましょう。

保険期間・支払方法

地震保険料は、保険期間と支払い方法によっても変動します。


地震保険の保険期間は1〜5年です。一般的には、保険期間を長期にするほど割引率が高くなる傾向があり、保険料も割安になります。また、支払方法は「月払い」以外にも「年払い」「一括払い」が選択可能です。月払いのほうが一回当たりの支払保険料は安く済みますが、年払いや一括払いのほうが保険料の総額は安くなります。


保険期間や支払方法によって、更新の手間や一度に支払う保険料などが変わるため、自分に合うタイプを選択しましょう。

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地震保険の必要性についてのまとめ

今回は地震保険とはなにか、またその必要性についてご紹介しました。 日本国内での地震の発生確率が高く、世界的に見ても大規模地震が日本付近で多く発生しています。


実際に建物が全損してしまうと、公的支援制度だけでは金額を賄いきれません。そのため、地震保険への加入の必要性は十分にあります。地震保険の補償内容や保険料は法律で決まっており、加入する保険会社による違いはありません。


地震保障を検討される際には、JA共済の建物更生共済「むてきプラス」も選択肢の一つにしてみてはいかがでしょうか。


参考・引用元: e-Gov法令検索「地震保険に関する法律」
https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000073

財務省「地震保険制度の概要」
https://www.mof.go.jp/policy/financial_system/earthquake_insurance/jisin.htm

日本損害保険協会「保険料シミュレーター」
https://www.jishin-hoken.jp/price/

地震調査研究推進本部「全国地震動予測地図2020年版 地図編」「確率論的地震動予測地図」
https://www.jishin.go.jp/main/chousa/20_yosokuchizu/yosokuchizu2020_chizu_10.pdf

火災はもちろん地震にも備えられる建物・家財などの保障

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