消費税増税は住宅や車の購入にどれだけ影響する?増税後に役立つ制度を紹介

2019年10月1日から消費税が10%になることで、今後の生活や自動車・住宅購入のことを悩んでいる方が多いのではないでしょうか? 増税の前後で何が変わるのか気になる方に、具体的な事例を用いた差額の比較や負担を軽減する制度の内容をご紹介します。

消費税増税の家庭への影響は?増税後の家計簿と比較

2019年10月1日より消費税が10%に引き上げられます。現在の消費税8%との差はわずか2%ですが、この差は私たちの生活にどのような変化をもたらすのでしょうか? 日々の出費をもとに、その差を考えてみましょう。


例として、ある休日の出費を一覧化し、消費税増税前後の差額を比べてみます。



ここで、「食材の買い足し」と「夕飯(テイクアウト)」のみ増税後も税率が変わっていないことに注目してください。増税後の負担軽減の措置として軽減税率制度があるため、この2項目は消費税率8%で計算されています。


軽減税率とは、「酒類・外食を除く飲料商品」並びに「週2回以上発行される新聞」のみ消費税8%で計算する制度です。軽減税率の対象には外食店が提供するテイクアウト食品なども含まれるため、店舗での外食を減らすことで細かな節税をすることが可能です。


上記のシミュレーションでは多種多様な項目を作りましたが、日常生活の出費にかかる増税の影響は数百円程度と考えられます。これが月ごと、年ごとに重なれば、増税後の差額はある程度大きな影響を家計にもたらすでしょう。


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車や住宅の購入価格は増税前後でどれだけ変わる?


では、私たちの生活のなかでも特に大きな出費を要する自動車や住宅の購入は、増税前後でどの程度変わるのでしょうか? 購入自体にかかる費用だけでなく、関連する課税対象も併せてご紹介します。


はじめに、自動車購入をする場合について考えてみましょう。自動車を購入する場合、新車・中古車問わず消費税の対象となるため、購入価格に対する消費税は一律で8%から10%に引き上げられます。


例えば300万円の自動車を購入した場合、2019年9月末日までは税込324万円の自動車が、2019年10月1日以降は330万円になり、増税前後の差額は6万円です。購入する自動車が高価であればあるほど、この差が大きくなります。


ただし、中古車に関しては定価が定まっていないため、市場の需要と供給に応じて価格変動する点を留意しておきましょう。増税前に自動車購入を検討する人が一時的に増えれば、その分増税前の価格が高騰する可能性があります。結果、増税後に価格が下落したとき、増税分の差額を相殺するケースもあるかもしれません。


また、自動車に関わる関連費用についても触れておきましょう。増税を機に、損害保険大手4社による自動車保険料の一斉値上げが行われる見通しが立っています。自動車の修理費が増税分高くなる一方、保険料には消費税がかからないため、その分損害保険会社の負担が大きくなってしまうことが要因です。値上げ幅は平均3%程度と言われていますが、自動車購入の際にはシミュレーションしておきたい点です。


次に、住宅の購入について考えてみましょう。前提として、住宅のうち課税対象となるのは建物のみで、かつ購入する相手が課税事業者である不動産業者であった場合のみ課せられます。土地は課税対象外であり、住宅を持つ個人が売主となる場合も課税は必要ありません。


そのうえで、住宅の購入価格が仮に3,000万円だったときの差を比べてみます。消費税8%だった場合240万円だった消費税は、10%の場合300万円となります。たった2%の違いでも、60万円もの差が開くのです。


増税の影響が出るのは、住宅の引き渡し時期が2019年10月1日以降になった場合です。ただし、請負契約が2019年3月31日までに済んでいる場合であれば、引き渡しが10月1日以降であっても消費税8%が適用されます。


ここまでは建物の購入のみについて考えたシミュレーションですが、住宅購入にはその他のさまざまな出費項目があります。例えば、土地仲介手数料や登記手数料など、手続きの際にかかる手数料は課税対象です。また、旧宅からの引っ越しや、新しい住まいに必要な家具・家電を購入するためにも消費税がかかります。


これら全ての消費税が8%から10%になると、どの程度金額差が出るのでしょうか。先程例に挙げた3,000万円の住宅の場合、土地仲介手数料は国土交通省告示第百七十二号によって定められる計算で96万円と算出されるため、消費税8%の場合103万6千800円、消費税10%の場合105万6千円では差額が1万9千200円となります。このように、それぞれの項目に2%分の差額が加算されると、最終的な額面は大きな差が生まれるのです。


増税後の購入がお得になるのは?車や住宅に関わる新制度


増税による負担を不安に感じる方も多いかもしれませんが、一部増税負担を軽減するための措置もあります。


まず、従来の自動車税は税率が引き下げられます。2019年10月1日以降初回新規登録を受けた自家用車は、排気量に応じて下記のように税率が変更されます。なお、軽自動車税の税率は変更されませんのでご注意ください。



更に、自動車取得税が廃止され、環境性能割が導入されます。環境性能割とは全車両(新・中古問わない)に適用されるもので、燃費性能に応じて課税率が変わります。



これらの制度を適用すると、自動車購入そのものが増税前より安くなるように感じられますが、実際は増税された10%の消費税分が自動車にかかるため、支払う総額はほとんどの車種で増税後割高になります。また、自動車取得税と共に浸透していたエコカー減税が新制度には適用されないことにも注意が必要です。


ただし、ご紹介した制度は普通自動車や環境性能の高い自動車を購入する際に適用されるものなので、軽自動車や環境性能の低い自動車の購入と比較した場合はお得と言えるでしょう。


住宅購入についても、自動車と同様、負担を軽減するための措置がいくつかあります。


一点目が住宅ローン減税制度の拡張です。本制度は、毎年住宅ローン残高の1%を所得税から控除するものですが、令和元年10月1日から令和2年12月31日までに購入された住宅を対象として、控除期間が10年から13年に拡充されます。ただし、11年目以降は住宅借入金等の年末残高(4,000万円※を限度)×1%か、建物購入価格(4,000万円※を限度)×2%の3分の1のいずれか小さい額が減税されます。
(※長期優良住宅や低炭素住宅の場合は、借入金年末残高の上限:5,000 万円、建物購入価格の上限:5,000 万円)


二点目がすまい給付金制度における給付額の増額と対象者の拡充です。すまい給付金はもともと増税に伴う住宅所得者の負担を軽減することを目的に設けられた制度で、給付額は都道府県民税の所得割額と不動産登記上の持分割合によって計算されます。すまい給付金の主な要件は、住宅の所有者かつ居住者であり、収入が一定以下であることです。収入額の目安は、消費税8%の場合は510万円以下、消費税10%の場合775万円以下です。


したがって、増税後の制度を利用した場合、条件によっては住宅購入の負担を大幅に軽減することもできます。世帯状況やご自身の収入によって給付額が変わりますので、増税前と比較した際にどちらが自分にとって有利か検討してみてください。


消費税が10%に引き上げられることで、以前に増して慎重な家計管理が必要になります。特に大きな出費が予想される買い物については、国で負担軽減を目的とした制度を設けている場合がありますので、事前に確認し、自分の置かれた状況のなかでどのように活用するか熟考してみると良いでしょう。


参考:
国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0018006-112.pdf

住友不動産販売
https://www.stepon.co.jp/zeikin/shouhizei.html

ヘーベルハウス
https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/shouhizei/index.html/

国土交通省
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000266.html
http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/
http://www.mlit.go.jp/common/001265195.pdf

総務省
http://www.soumu.go.jp/main_content/000610559.pdf

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