医療費控除で出産費用がお得に!? 気になる疑問を解決!

医療費控除とは、一年間に本人もしくは配偶者やその他親族のために医療費を支払った場合、確定申告を行うと、一定の金額の控除を受けることができる制度です。この制度が出産費用にも適用されることはご存じでしょうか?今回は、医療費控除についてご紹介します!

出産費用も医療費控除の対象に!

医療費控除の対象となる医療費の定義は、国税庁のホームページに記載されています。ここでは医療費控除の対象となるものの具体的な例を挙げて、いくつかご紹介します。確定申告の際に領収書が必要になるので、必ず保管しておきましょう。


医療費控除の対象になるものの例

医師または歯科医師による診療、または治療にかかった費用

治療または療養に必要な医薬品の購入にかかった費用

治療のための指圧師、鍼師、灸師による施術への費用

入院・通院した際のサービスへの費用

保健師や看護師に依頼した療養上の世話への費用

妊娠と診断されてからの定期検診・検査・通院費用

介護保険制度の下で提供された施設やサービスの自己負担額

医師などによる診療等を受けるための通院費、医療器具などの購入にかかった費用


医療費控除の対象は治療や療養、あるいは出産のために行われる医療行為、そして医師や看護師、保健師、介護福祉士などの有資格者が関わっている医療行為になります。重要なのは「治療」のために行われる医療行為でなければ、医療費控除の対象とはならないことです。

医療費控除の対象にならないのはこんな場合

逆に医療費控除の対象にならないものはどんな場合でしょうか。先ほど、医療費控除の対象について①「治療」目的であること②医師等が関わっていることの二点を挙げました。これらを念頭に置いて確認していきましょう。


医療費控除の対象にならないものの例

健康診断にかかる費用

(まだ病気になっていないため「治療」を受けていることになりません)

予防接種にかかる費用

(「予防」に関わる費用も医療費控除の対象ではありません)

ビタミンなどの各種サプリメント

(風邪薬などは「治療」に含まれますが、体調管理や疲労回復のためのサプリメントの購入は対象外)

疲れを癒す目的での指圧師、鍼師、灸師による施術費用

(こちらも「治療」目的ではないので、控除の対象になりません)

美容整形手術にかかる費用

(美容は「治療」に含まれません。歯科矯正についても、医師に治療として認められたもの 以外は控除の対象外)

妊娠検査薬代

(妊娠については「妊娠と認められたあと」の費用のみ対象となります)

里帰り出産の交通費

(実家で出産するために帰省する場合の交通費は対象にはなりません)

妊婦用下着、パジャマ、その他入院に際する身の回り品の費用

(診療や治療を受けるために必要でないもの以外は認められません)


出産にまつわる費用でも診療や治療に直接関係のないものに使った費用や、予防のための費用、美容のための費用など、治療目的でない医療費は控除の対象としては認められないので注意しましょう。

実際に戻ってくるのはどのくらい?

実際に確定申告する際の医療費控除の計算方法や申請方法、申請時の注意事項などをご紹介します。

医療費控除の計算方法は、次のとおりです。


実際に支払った医療費の合計額−保険金などで補填される金額−10万円(※)=医療費控除額
※その年の総所得金額等が200万円未満の場合は10万円ではなく、総所得金額等の5%となります。


注意しなければならないのは、医療費控除とは上の計算式で求めた「医療費控除額」が丸々もらえる制度ではなく、「医療費控除額」に確定申告を行った人の所得税率をかけて出た金額が還付金として返ってくる制度である、ということです。例えば控除の対象となる医療費が30万円、保険金が10万円、所得税率が20%だった場合、還付金は以下のように求められます。


30万円(医療費)−10万円(保険金)−10万円=10万円(医療費控除額)

10万円(医療費控除額)×0.2(所得税率)=2万円(還付金)


インターネット上で医療費控除の簡易計算が行えるツールなどもあるので、利用してみるとよいかもしれません。


次に、医療費控除の申請方法および注意事項についてご紹介します。

医療費控除には確定申告書申請用紙、医療費や交通費に関わる領収書やレシート、国税庁のホームページからダウンロード可能な医療費の明細書、源泉徴収票、マイナンバーの本人確認書類が必要です。領収書やレシートを使って医療費の明細を作成し、確定申告書申請用紙に必要事項を記入し、税務署に提出します。また、医療費控除は自分だけではなく、「自己と生計を一にする配偶者やその他の親族」にも適用されます。「生計を一にする」について、国税庁のホームページには「必ずしも同居を要件とするものではありません」とあり、別居状態であっても、生活費や学資金などのやり取りがあれば「生計を一にしている状態」として医療費の控除が認められるので注意しましょう。


医療費控除制度は手続きが難しいように感じるかもしれませんが、医療費が高額になった際には相応の還付金を受け取ることができるお得な制度。いままで出産費用は医療費ではないと考えていた方も、改めて計算し直すと還付金を受け取ることができるかもしれません。


また、医療費控除は5年分まで遡って申告することができます。病院にかかった際の領収書は必ず保管しておきましょう。ただし、「1年前の医療費と2年前の医療費を合わせて申告!」というように、異なる年度の医療費を合算して申告することはできません。


さらに2017年1月1日から「セルフメディケーション税制」が創設されました。この制度は、健康診断等を受けている個人で、厚生労働省が定めた医薬品を年間1万2千円を超えて購入した場合、最大8万8千円までの控除が受けられるというものです。ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は同時に利用することができないので、注意してください。


ほかにも「このお金は医療費控除の対象になるの?」と気になるものがあったら、国税庁の税についての相談窓口に電話して確認してみましょう。


参考 :
国税局ホームページ
http://www.nta.go.jp/index.htm
No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
No.1122 医療費控除の対象となる医療費
No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例
No.1126 医療費控除の対象となる入院費用の具体例
No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例
No.1180 扶養控除
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html

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