マンションの火災保険の相場はどのくらいなのか調べてみた!
“家と車”に関するねだんのこと
2023.07.27
火災保険(共済)は、火災や自然災害、盗難など、予期せぬ事故による損害に備えるための保険(共済)であり、マンションを所有する方にとっては欠かせない存在といえます。火災保険(共済)に加入するにあたって、保険料がどのくらいかかるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、気になるマンションの火災保険料の相場を紹介します。火災保険料がどのように決まるのか、保険料をおさえるにはどうすればよいのかについても解説するので、マンションの火災保険料について知りたい方はぜひご覧ください。
本内容は、令和5年5月の制度等にもとづき、記載しています。
本記事に記載の内容・条件は保険会社によって異なる場合がございます。詳しくは保険・共済各社・各団体へお問い合わせください。
見出し
火災保険の基礎知識
火災保険(共済)は、火災や自然災害などで建物や家財に生じた損害に対して保険金が支払われる保険(共済)です。
もしものときに補償が受けられるよう、なにが補償されるのか、補償対象や補償範囲は必ず確認しておきましょう。なるべく保険料をおさえつつ必要な補償を確保するには、保険料がどのような条件で決まるのかを知っておくことも大切です。
補償対象
個人向け火災保険(共済)では、被保険者が所有し、住居として使用される「建物」と、その建物の中にある「家財」が補償対象になります。
「建物」として補償されるもの
火災保険(共済)の対象となる建物本体のほか、被保険者が所有し、その建物に付属する建物や設備などが補償対象です。
- 「建物」として補償されるもの(具体例)
- 畳やふすま、備え付け収納などの「建具」
- 建物に直接備え付けられた電気、ガス、冷暖房、エレベーターなどの「付属設備」
- 建物に直接備え付けられた浴槽、流し台、ガス台、調理台など
- 門や塀、垣、外灯などの「屋外設備装置」
- 物置、車庫などの「付属建物」
- 建物の基礎
マンションの場合、原則として被保険者の住居として使用される「専有部分」のみが補償対象です。廊下やバルコニー、エレベーターなどの「共用部分」は補償対象に含まれず、マンションの管理組合が火災保険(共済)に加入することが一般的です。
「家財」として補償されるもの
火災保険(共済)の対象となる建物の中にあり、被保険者本人やその親族が所有する家財が補償対象です。
「家財」として補償されるもの(具体例)
- 家具、家電
- 衣類、食器、日用品など
- 1個または1組が30万円以下の貴金属、宝石、美術品など(※1)(※2)
- 自転車、125cc以下の原動機付自転車
- 火災保険(共済)対象建物の敷地内にある宅配ボックスと宅配物
※1:商品によって、特約が付帯されていない場合や、保険証券(共済証書)に明記されていない場合に補償対象にならないケースがあります。
※2:補償対象に含まれる商品でも、1個または1組の損害額が30万円を超える場合は、損害額を30万円とみなしたり、1回の事故で支払われる保険(共済)金額に上限が設けられていたりするのが一般的です。
自動車や通貨、有価証券、業務目的のみに使用される設備・什器、商品・製品、プログラム、データなどは補償範囲に含まれません。
マンションの火災保険料の相場
火災保険料は契約条件に大きく左右されるため、相場は一概には言えません。今回は、モデルプランとして条件を設定して複数社で保険料を試算した結果を、目安として紹介します。
築年数別マンションの火災保険料の相場
築年数別の火災保険料の相場は、下表のとおりです。一般的に築年数の古いマンションほど建物の損害リスクが高まるため、保険料も割高になります。なお、家財の火災保険料や地震保険料は築年数による違いはありません。
築年数別マンションの火災保険料相場
築年数 | 火災保険料(年間) ※()内は水災補償なし |
地震保険料(年間)※1 ※()内は建築年割引(割引率10%)適用時 |
||
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建物 保険金額1,000万円 |
家財 保険金額1,000万円 |
建物 保険金額500万円 |
家財 保険金額500万円 |
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0年 (新築) |
3,400円〜7,300円 (2,100円〜4,000円) |
8,000円〜12,400円 (5,100円〜6,700円) |
6,900円〜13,750円 (12,400円) |
6,900円〜13,750円 (12,400円) |
5年 | 4,000円〜7,900円 (2,800円〜4,600円) |
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10年 | 5,100円〜9,600円 (3,700円〜6,300円) |
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20年 | 7,500円〜11,300円 (6,000円〜8,000円) |
※1:地震保険には、建物の免震・耐震性能に応じて最大50%の保険料割引制度があります。
保険料は保険金額にほぼ比例するため、例えば保険金額が2,000万円であれば、保険料は上記の約2倍が相場になります。
所在地別マンションの火災保険料の相場
所在地別の火災保険料の相場は、下表のようになっています。建物の所在地に左右されるのは、建物の火災保険料と地震保険料です。建物の火災保険料には建物の所在地による自然災害リスクが反映されますが、その差はわずかです。一方で地震発生リスクは地域差が大きく、地震保険料には最も安い地域と最も高い地域で約6.2倍から約3.8倍の差があります。
築年数別マンションの火災保険料相場
所在地 | 火災保険料(年間) ※カッコ内は水災補償なし |
地震保険料(年間)※1 ※カッコ内は建築年割引(割引率10%)適用時 |
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---|---|---|---|---|
建物 保険金額1,000万円 |
家財 保険金額1,000万円 |
建物 保険金額500万円 |
家財 保険金額500万円 |
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北海道 | 3,300円〜6,800円 (2,100円〜3,500円) |
8,000円〜12,400円 (5,100円〜6,700円) |
1,110円〜3,650円 (3,300円) |
1,110円〜3,650円 (3,300円) |
東京都 | 3,400円〜7,300円 (2,100円〜4,000円) |
6,900円〜13,750円 (12,400円) |
6,900円〜13,750円 (12,400円) |
|
愛知県 | 3,100円〜6,600円 (1,900円〜3,300円) |
2,900円〜5,800円 (5,200円) |
2,900円〜5,800円 (5,200円) |
|
大阪府 | 3,400円〜6,900円 (2,200円〜3,600円) |
2,900円〜5,800円 (5,200円) |
2,900円〜5,800円 (5,200円) |
|
沖縄県 | 3,700円〜7,000円 (2,500円〜3,700円) |
2,900円〜5,800円 (5,200円) |
2,900円〜5,800円 (5,200円) |
※1:地震保険には、建物の免震・耐震性能に応じて最大50%の保険料割引制度があります。
保険料を安くおさえる方法
必要な補償を確保できるなら、保険料が安いに越したことはないでしょう。ここでは、保険料を安くおさえる方法を紹介します。
補償範囲の見直し
火災保険(共済)の補償範囲はニーズにあわせて調整できます。商品によって外せない補償はあるものの、必要性の低い補償を外せば、その分だけ保険料をおさえられます。
マンションの場合、階数が上がるほど浸水や土砂災害のリスクは下がるため、高層階であれば水災補償を外すことで保険料を安くおさえられるでしょう。ただし、河川や海の近くの低地など、マンションの2階以上であっても浸水が想定される高さであれば備えは必要です。水災補償の必要性は各自治体が公表している「ハザードマップ」などで住んでいる場所の災害リスクを確認して判断しましょう。
少額の損害は保険(共済)に頼らず自分で対処できる方であれば、免責金額を大きめに設定し、一定額までの損害は自分で負担するのも保険料をおさえるひとつの方法です。
家財の保険金額(補償額)の調整
所有している家財の再調達価額をちゃんと把握し、適切な保険金額を設定すれば保険料をおさえられる可能性があります。
保険会社から提示される「保険金額の目安」は、あくまで家族構成や世帯主の年齢などをもとに算出される「標準的」な家財の評価額(再調達価額)であり、実際に必要な補償額とは限りません。生活に支障がない最低限の家財を買い直せる金額で保険金額を設定し、保険料をおさえる方法もあります。
長期契約
保険(共済)期間が長くなるほど、1年あたりの保険料は安くなります。
火災保険(共済)を長期契約した場合の割引率は、保険会社によって異なるため一概には言えませんが、1年契約と5年契約で、1年あたりの保険料は1割程度安くなります(保険料一括払の場合)。
1年契約と5年契約の火災保険料の比較(例)
契約期間 | 保険料総額 | 1年あたりの保険料 |
---|---|---|
1年 | 13,330円(1年分) | 13,330円 |
5年 | 60,570円(5年分) | 12,114円 (▲9.12%) |
地震保険(共済)を長期契約した場合の割引率は、保険会社によらず一律です。1年契約と5年契約を比較した場合、1年あたりの保険料は6%安くなります(保険料一括払、2022年10月1日以降に補償が開始する地震保険(共済)契約の場合)。
地震保険を長期契約した場合の割引率(長期係数から算出)
2年 | 3年 | 4年 | 5年 | |
---|---|---|---|---|
長期係数 | 1.90 | 2.85 | 3.75 | 4.70 |
割引率 | 5% | 5% | 6.25% | 6% |
支払方法の変更
その他の条件が同じ場合、支払う保険料の総額は「月払」よりも「年払」、「年払」よりも「一括払」が安くなります。
最も保険料が安くなるのは、5年契約の保険料を一括で支払う方法です。とはいえ、5年分の保険料をまとめて支払うのは難しい方もいるでしょう。そのような方には、保険料を分割して毎年または毎月支払う「長期年払」や「長期月払」という方法もあります。
長期年払や長期月払は一括払より割引率は下がりますが、一度に支払う金額を1年契約の一括払や月払よりは保険料をおさえられる支払方法です。
まとめ
マンションの火災保険(共済)の保険料は、保険金額や補償範囲、建物の構造・所在地・築年数などによって決まります。保険料をなるべく安くおさえるには、必要性の低い補償を外す、複数の保険会社を比較して選ぶ、長期一括払を選択するといった方法が有効です。
保険料を安くおさえることも大切ですが、一方で、必要な補償の確保という本来の目的を忘れてはいけません。自宅や家財を復旧するために必要な金額や自宅の災害リスクを確認し、いざというときに過不足なく補償される火災保険(共済)に加入して備えましょう。
火災はもちろん地震にも備えられる建物・家財などの保障