介護サービスの内容、知ってる?公的介護保険適用の範囲や在宅と施設の違いをまとめてみた
“老後”に関するねだんのこと
2017.02.17
介護の問題は、決して他人事ではありません。もしも家族が要介護者となった場合、日々の生活をサポートし続けるにはどうしたらよいのでしょうか。そんなときに上手に利用したいのが、公的介護保険による福祉サービス。とはいえ、利用者の状況によって適用されるサービスの範囲が異なるため、受けられるサービスは人それぞれです。万が一に備えて、公的介護保険とサービス内容について知っておきましょう。
公的介護保険が適用されるサービスとは?
公的介護保険とは、介護が必要となった人が費用の一部を負担するだけでさまざまな福祉サービスを受けられる制度。平成12年からスタートし、税金と40歳以上の国民が納める保険料を財源として各市区町村が運営しています。
公的介護保険が適用されるのは要介護認定において「介護が必要」と認定された65歳以上の人。もしくは、介護保険の対象となる特定疾病により介護が必要と認定された40歳から64歳までの人。
要介護1~5に認定された場合は介護支援専門員(ケアマネージャー)が、要支援1・2に認定された場合は地域包括支援センターが介護サービスの利用計画を作成し、サービスの利用を開始することができます。
受けられるサービスは大きく分けて2つ。自宅での生活を主にしながら利用する「在宅サービス」と、施設に入居して介護を受ける「施設サービス」のいずれかです。利用するサービス内容は利用者の状況に合わせて選択しますが、回数や自己負担金額などは要介護のレベルによって異なります。
在宅で受けられる介護サービス
公的介護保険が適用される在宅サービスには、日常生活の支援など直接的な介護と、福祉用具の補助といった間接的な介護があります。
直接的な介護には、医師や介護士が自宅に訪れる場合と、一時的に施設を利用する場合があり、要介護1~5であればいずれも利用することができます。
【訪問スタイル】
居宅療養管理指導
医師、歯科医師、薬剤師などが自宅を訪問し、食事方法や薬の飲み方など療養上の管理と指導を行います。
訪問看護
看護師が自宅を訪問し、必要な手当てや点滴の管理などを行います。
訪問介護
ヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や生活支援など日常生活のサポートをします。
訪問リハビリテーション
リハビリの専門家が自宅を訪問し、在宅でリハビリを行います。
訪問入浴介護
看護職員と介護職員が利用者の自宅を訪問し、浴槽を持ち込んで入浴の介助をします。
【施設利用スタイル】
デイサービス
デイサービスセンターに赴き、日帰りで食事や入浴などの介護、機能訓練を受けます。
デイケア
介護老人保健施設や病院に赴き、日帰りで機能訓練や栄養改善指導などを受けます。
ショートステイ
介護老人福祉施設などに短期間入所して、食事や入浴などの介護、機能訓練を受けます。利用上限は連続30日間。
医療型ショートステイ
介護老人保健施設などに短期間入所して、医療によるケアや介護、機能訓練などを受けます。
施設利用の場合は車での送迎サービスも利用できるため、家族が送り迎えできなくてもOK。これらのほかに、夜間や24時間対応の訪問サービスや、認知症に対応したサービスが利用できる市区町村もあります。
間接的な介護では、自立した生活を送るための福祉用具の貸与や購入、介護向け住宅への改修をおこなう際に介護保険が適用されると、補助を受けられます。福祉用具の貸与の対象となるのは、歩行器や車いすなど13種。ただし、レンタルできる物は要介護の区分によって異なります。また、購入の場合は便座や簡易浴槽など5種の中から、指定業者での購入に限り年間の上限10万円(うち自己負担は1割または2割)が支給されます。
要支援1・2の場合でも、介護予防支援として状態の改善や悪化予防を目的としたサービスを受けることが可能です。要介護認定者と同じく自宅への訪問、施設への通所や短期入所がありますが、内容は家事などの補助、介護予防やリハビリテーションが主となります。
施設で受けられる介護サービス
公的介護保険が適用される施設サービスは、利用者の状況に合わせて3タイプに分けられます。
特別養護老人ホーム
日常的に介護が必要な状態にもかかわらず、自宅では介護が受けられない利用者が対象。食事や入浴など、日常の介護と健康管理が受けられます。入居できるのは原則として要介護3以上。ただし、やむを得ない事情がある場合に限り、要介護1・2でも入居できることも。
介護老人保健施設
リハビリに重点を置いた介護が必要な利用者が対象。医学的な管理の下で、介護や看護、リハビリが受けられます。入居できるのは要介護1~5の人。
介護療養型医療施設
治療が終わり、病状は安定しているものの長期間の療養が必要とされる利用者が対象。介護体制の整った病院や医療施設で、必要な医療と看護を受けられます。入居できるのは要介護1~5の人。
入居型の場合は、サービス利用料のほかに居住費や食費、日常生活費などが必要となって高額になりやすいため、所得に応じた自己負担の上限が設定されています。
これらのサービスは利用者自身の日常生活のサポートや気分転換などに役立つだけでなく、介護をする側の家族の負担を減らす側面も。また、独り身や老々介護となっている夫婦の問題解消にもつながります。介護サービスの内容をきちんと理解して、状況に合わせて適切な利用をしたいものですね。