退職給付金とは?種類や条件、失業保険を受け取る方法を詳しく解説
“老後”に関するねだんのこと
2025.12.26
退職給付金は、退職後に条件を満たすことで受けられる手当てです。種類はさまざまありますが、離職後の生活を支え次のキャリアへ踏み出すための大切な資金となります。
ただし、支給の対象や金額、申請のタイミングは制度によって異なります。内容を正しく理解することで、想定外の収入減を防ぎ、安心して次の準備を進めることが可能です。
今回は、退職後にもらえる「退職給付金」について、主な種類や受給条件、失業(基本手当)との違いをわかりやすく解説します。退職を控えている方や、将来に備えたい方はぜひ参考にしてください。
本内容は、令和7年10月の制度等に基づき、記載しています。本記事に記載の内容・条件によって異なる場合がございます。詳しくは、給付金の申請先の機関等へお問合せください。
見出し
退職給付金とは?
退職給付金とは、一定期間にわたって労働したことに基づき、退職後に支給される給付の総称です。企業から直接支払われる退職金だけでなく、公的機関から支給される失業保険(基本手当)なども含まれます。
退職給付金という言葉は、法律で明確に定義しているものではありません。しかし、厚生労働省などは、制度の枠組みとして「退職給付(一時金・年金)制度」という用語を用いています。
公的制度に基づいて支給される退職給付金
ここでは、公的な制度に基づいて支給される退職給付金を解説します。
失業保険(基本手当)
失業保険(基本手当)は雇用保険に加入していた方が、定年・倒産・自己都合などで退職したときに、原則、受け取れる給付です。生活の不安を軽減しながら仕事を探し、再就職できるよう支援するのが目的です。
受給するには、まずハローワークで求職の申し込みをおこないます。そのうえで、働く意思と能力があるにも関わらず仕事に就けないと認定される必要があります。
会社を辞めただけでは失業保険(基本手当)は受けられず、積極的に求職活動をしていることが条件となる点を覚えておきましょう。
特例一時金
特例一時金は、失業保険(基本手当)の対象とならない短期的な雇用で働く方を保護するための制度です。短期雇用特例被保険者にあたる、季節的に雇用される方や短期契約の方などが失業した場合、失業保険(基本手当)の代わりに一時金として、原則、支給されます。
失業保険(基本手当)が再就職まで分割で支給されるのに対し、特例一時金は原則として一度にまとめて支払われる点が特徴です。次の仕事が見つかるまでの生活を支える、短期雇用者向けの支援制度です。
傷病手当
雇用保険の傷病手当は、ハローワークで求職の申し込みをしたあとに、病気やケガで15日以上働けない場合に、原則、支給されます。これは、健康保険から支給される傷病手当金とは別の制度です。
傷病手当は、あくまで求職活動中に病気やケガで働けなくなった場合に、失業保険(基本手当)の代わりに支給されるものです。健康保険の傷病手当金との違いを理解しておきましょう。
再就職手当
再就職手当は、失業保険(基本手当)の受給資格がある方が、早期に安定した職業に就いた場合に支給される制度です。再就職手当は、失業保険(基本手当)の受給資格がある方が、早期に安定した職業に就いた場合に、原則、支給される制度です。早期の再就職を促進することが目的です。
支給を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
①受給手続き後、7日間の待期期間(注1)満了後に就職、又は事業を開始したこと。
②就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数 の3分の1以上あること。
③離職した前の事業主に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業主と資本・ 資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業主に就職したこと。
④受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)(注2)がある方 は、求職申込みをしてから、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業 紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
⑤1年を超えて勤務することが確実であること。 (生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間 を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又は派遣 就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当し ません。)
⑥原則として、雇用保険の被保険者になっていること。
⑦過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことが ないこと。(事業開始にかかる再就職手当も含みます。)
⑧受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
(注1)待期期間中に仕事等をしたことにより失業の状態でなかった日や、失業の認定を受けていない日については、待期期間に含まれませんのでご注意ください。
(注2)教育訓練を受けたこと等により給付制限が解除された場合も、待期期間満了後1か月の期間 内はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであることが必要です。
再就職が決まり、就職日以降、失業保険(基本手当)は受けられなくなりますが、条件を満たせば再就職手当を受け取れます。
未払賃金立替払制度
未払賃金立替払制度は、会社が倒産し、給料を受け取れないまま退職した方を救済するための制度です。
この制度では、国が事業主に代わって未払いになっている賃金の一部を労働者に、原則、支払います。企業の倒産という予期せぬ事態に直面した労働者と、その家族の生活を守るセーフティーネットのひとつです。
立替払いを受けるには、会社が倒産した事実や未払い賃金の金額について、労働基準監督署長の認定を受けるなどの手続きが必要です。
求職者支援制度
求職者支援制度とは、再就職やキャリアチェンジを目指す方を支援する仕組みです。条件を満たすと、月10万円の給付金を受け取りながら職業訓練を無料で受講できます。この制度を利用すれば、生活費の心配を軽減しながら、再就職に必要な知識やスキルを習得する訓練に集中できます。
また、職業訓練は今すぐ転職の予定がない方でも受講可能なため、将来的にキャリアチェンジを考えている方にもおすすめです。
職業訓練を受けるには求職登録が必要で、就職の意欲があることなどの条件を満たさなければなりません。さらに、給付金を受け取るには、収入や資産が一定基準以下であること、訓練への出席率が高いことなどが求められます。
企業独自の制度に基づくもの
ここでは、企業独自の制度に基づく退職給付金について解説します。
退職金
退職金は、企業から退職者へ支払われるものです。法律上、企業に対して退職金の支払いを義務付ける規定はありませんが、就業規則で退職金の支給が定められている場合は支払い義務があります。
退職金制度には、退職時に一括で支払われる退職一時金制度と、一定期間または生涯にわたって年金形式で支払われる退職年金制度(企業年金)などがあります。
失業保険(基本手当)を受け取るには?
ここでは、失業保険(基本手当)の受け取り条件や手続きの流れを詳しく解説します。
受給資格
失業保険(基本手当)を受け取るには、原則として離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヵ月以上ある必要があります。
ただし、会社の倒産や解雇、契約満了など、やむを得ない理由で離職した場合は条件が緩和されます。その場合、離職前の1年間に、被保険者期間が通算6ヵ月以上必要となります。
また、失業保険(基本手当)は再就職を目指す方のための支援です。そのため、退職後に学業や家事に専念する方、すでに次の就職が決まっている方は対象外となります。
1日当たりの受給額
失業保険(基本手当)の1日あたりの金額は、離職前6ヵ月の賃金をもとに計算されます。
まず、6ヵ月間に毎月支払われた賃金の合計を180で割り「賃金日額」を算出します。賃金日額に50~80%(60〜64歳の方は45〜80%)の給付率をかけた金額が、1日あたりのおよその受給額です。
支給開始日
失業保険(基本手当)はハローワークで求職の申し込み後、7日間の待期期間があります。
待期期間終了後の支給開始日は、離職の理由によって異なります。
- 解雇・定年・契約期間満了など会社都合で離職した場合:待期期間の7日が終わった翌日から
- 自己都合・懲戒解雇で離職した場合:待期期間に加え、原則1~3ヵ月の給付制限後から
上記のように、離職理由によって支給までの期間が異なるため事前に確認しておきましょう。
給付日数
失業保険(基本手当)が支給される日数は、所定給付日数と呼ばれます。この日数は、離職理由・年齢・雇用保険の加入期間によって変わります。詳しくは、『参照:ハローワーク 離職されたみなさまへ』をご覧ください。
| 定年、契約期間満了や自己都合退職の方 | 90〜150日 |
| 特定受給資格者・一部の特定理由離職者 | 90〜330日 |
| 障害者等の就職困難者 | 150〜360日 |
このように、退職理由や状況によって支給日数は大きく異なります。
受給手続きの方法
失業保険(基本手当)を受給するための主な流れは以下のとおりです。
①会社から離職票を受け取る
②ハローワークで求職の申し込みと受給資格の決定を受ける
③雇用保険説明会に参加する
④ハローワークに失業認定申告書を提出する
⑤ハローワークで失業認定を受ける
認定後は、就職が決まるか所定給付日数が終了するまで4週間に1回失業認定を受けて、手当の受給を繰り返します。指定された認定日にハローワークへ行き、失業認定申告書に求職活動の実績を記入・提出するなど失業状態にあることを証明し、認定を受け続ける必要があります。詳しくは、『参照:ハローワーク 離職されたみなさまへ』をご覧ください。
健康のセーフティーネットに共済を検討しよう
退職給付金には種類があるため、対象となる条件を理解したうえでうまく活用すれば、安心して次のステップへ進めます。
同時に、退職を機に健康について見つめ直すことも大切です。万が一、病気やケガで働けなくなった場合の経済的な備えは、公的な保障だけでは不足するかもしれません。
特に、がんは治療が長期化しやすく、医療費だけでなく収入の減少も大きな負担となる可能性があります。このような不安に対しては、JA共済の「がん共済」がおすすめです。
「がん共済」の特徴は以下の3つです。
- 上皮内がんを含むさまざまな“がん”や脳腫瘍に対し、入院・手術・放射線治療はもちろん、抗がん剤治療やホルモン剤治療、がん性疼痛等の緩和のための在宅医療も保障します。
- 通算の支払限度なく、所定の治療を受けた月ごとに共済金を受け取れます。
- まとまった一時金が受け取れる診断保障※1やがん診断後の共済掛金の払込みを免除する保障※2など、ご意向にあわせて保障内容を自由に設計できます。
(※1)診断保障ありの契約の場合
(※2)がん診断時共済掛金払込免除特則を付加した場合
※この共済において対象となる「がん」は、悪性新生物(上皮内新生物を含む)および脳腫瘍です。
※がんに関する責任(保障)の開始は、ご契約日からその日を含めて91日目からとなります。これより前に被共済者ががんと診断確定された場合には、共済金のお支払いおよびがん診断付共済掛金払込免除特則による共済掛金の払込免除はいたしません。ただし、所定の後遺障害等の状態による共済掛金の払込免除についてはご契約日から保障いたします。
※入院および公的医療保険制度に基づく所定のがん治療を保障します。
※この共済には、死亡時における保障はありません。
定期的な検診と経済的備えの両面から、がんに対する総合的な対策を検討してみてはいかがでしょうか。
参考・出典元:
厚生労働省 3_退職給付(一時金・年金)制度
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/dl/gaiyou03.pdf
企業年金連合会 退職給付
https://www.pfa.or.jp/yogoshu/ta/ta23.html
厚生労働省 基本手当について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135026.html
ハローワーク 離職されたみなさまへ
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000951119.pdf
厚生労働省 愛知労働局 第4章 被保険者について
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/var/rev0/0119/0662/4syou.pdf
厚生労働省 雇用保険求職者給付(特例一時金)を受けようとされる方へ
https://jsite.mhlw.go.jp/iwate-roudoukyoku/content/contents/002466528.pdf
ハローワーク 基本手当について 傷病手当について
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
厚生労働省 愛知労働局 ~早期再就職のメリット~
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-hellowork/content/contents/001907542.pdf
ハローワーク 再就職手当のご案内
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/saishuushokuteate.pdf
厚生労働省 未払賃金の立替払制度の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/001281250.pdf
厚生労働省 求職者支援制度のご案内
https://www.mhlw.go.jp/content/001073991.pdf
厚生労働省 宮城労働局 就業規則に定められた退職金は賃金
https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/library/miyagi-roudoukyoku/window/img/kiso_12.pdf
厚生労働省 平成30年就労条件総合調査 3 退職給付(一時金・年金)制度」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/dl/gaikyou.pdf




















