もっとも健康寿命が長い都道府県はどこか、調べてみた
“老後”に関するねだんのこと
2018.02.23
「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことを指す健康寿命。その健康寿命の長さには、地域によって差があるようです。もっとも健康寿命が長い都道府県はどこなのか、調べてみました。
最も健康寿命が長い都道府県は……
都道府県健康寿命ランキングは、厚生労働省から3年ごとに発表されています。最新の2013年度版都道府県健康寿命ランキング(2015年12月発表)を見てみましょう。
注目は男女ともに1位の山梨県! 前回調査と比較すると、男性で5位から1位、女性で12位から1位と、大幅に順位を上げています。山梨県は地方移住先としても人気が高く、今後ますます健康長寿の県として存在感を増していくでしょう。
山梨県と同様、男女ともに安定して上位の静岡県も見逃せません。2013年度では山梨県に軍配が上がりましたが、前回のランキングですと、男性2位、女性1位の健康寿命が長い県。2013年には、健康に関する県の取り組みが「健康寿命をのばそう!アワード」厚生労働大臣最優秀賞を受賞しています。
ランキング全体を見てみると、男女ともに10位以内に入っている都道府県は、山梨県・静岡県、宮崎県・福井県・三重県の5県のみ。他の都道府県のなかには、沖縄県(男性2位、女性27位)のように男女で極端な差がついているところもありますが、地域によって男女差が大きく出る明確な理由についてはまだ分からないようです。
ランキング上位の都道府県はなぜ健康寿命が長い?
ランキング1位の山梨県と最下位の徳島県(男性)、大阪府(女性)との健康寿命の差は、2.67歳(徳島県)、3.29歳(大阪府)。健康に生活できる期間におよそ3年もの差があります。
どうしてこのような差が生じるのか、ランキング上位の都道府県の特徴を調べてみました。
■山梨県(男性1位、女性1位)
がん検診や特定健康診査の受診率が高い
60歳以上の有業率が全国2位
山梨県独特の習慣「無尽」
日本一の健康長寿県の山梨県の特徴は、がん検診や特定健康診査の受診率の高さなどからも分かるとおり、県民の健康意識の高さです。健康寿命が長いと言うことは、そのまま高齢になっても元気に生活できる人が多いということ。60歳以上の有業率が高いことにも頷けます。
そして、健康寿命の長さに多大な影響を及ぼしていると考えられるのが「無尽」。これは「学生時代の友人」「同じ趣味の仲間」など、なにか共通のカテゴリーで集まった人たちが定期的に集まって食事などをする山梨県独特の習慣のことです。高齢になると人間関係が希薄になりがちですが、いつまでも周りの人と関わることで生きがいを感じることができるのかもしれませんね。
■静岡県(男性3位、女性2位)
日本一のお茶の産地
元気に働いている高齢者が多い
地場の食材が豊富
静岡県と言えば日本一のお茶の産地として有名です。県の公式サイトでは、健康寿命が長いことの理由の一つとして、「カテキン等のお茶そのものが持つ健康成分と、お茶を飲むことによって得られるリラックス効果などの両面から、心身の健康を促進させる」ことを挙げられています。県民たちがお茶を愛し毎日飲み続けていることが健康を促進させ、高齢になっても元気に生活する人が増えているのかもしれません。
また、地元の食材が豊富な静岡県では、食育も積極的に推進している県としても注目されているのだとか。県民の食生活が豊かなことが健康につながっているようです。
■福井県(男性6位、女性9位)
福井ならではの伝統的な食生活
ボランティア活動が盛ん
経済的なゆとり
福井県では、塩分控えめのバランスの良い食事が一般的。例えば、県内にある永平寺の精進料理のように、味付けはシンプルで素材の味を味わうような料理が好まれているのだそうです。新鮮な食材に囲まれている福井県民の豊かな食生活も、健康長寿の秘訣かもしれません。
また、一世帯当たりの貯蓄高が全国3位というのも注目すべき点。経済的なゆとりがあることで、ストレスが少ない生活を送れていることも、生活の質の向上に影響しているのかもしれませんね。
上位3県ともに共通するのは、高齢になっても周りの人と関わり続ける環境。そして、それを支える「食」です。ただ、栄養価の高い食事をとればいいということだけでなく、家族や仲間と一緒に食事をするといった習慣が健康に生活するうえで重要な役割を果たすのではないでしょうか。