おいしいお米はやっぱり高い? 特Aランクのお米ってどんなお米なの?

“その他”に関するねだんのこと

2016.04.19

毎年春に発表される「米の食味ランキング」。近年では、さまざまな品種や地域のお米が、特に優れた味を持つ「特A」にランクインしています。でも、そもそも特A米ってどんなお米? 特A米ってやっぱり高いの? と疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。そこで、毎年「米の食味ランキング」を発表する日本穀物検定協会の木野信秋さんにお話を聞きました。

お米を特AからB’の5段階で評価

「米の食味ランキング」とは、各都道府県が生産を奨励し、特に広めたいと考えている「奨励品種」のほか、特に関心の高い品種を全国から集め、日本穀物検定協会という団体の専門評価員が試食して評価を行っています。平成27年度産の「米の食味ランキング」では、「青天の霹靂」という品種が青森県初の「特A」品種として注目を集めました。


「精米のタイミングや使用する炊飯器、加水率、試食開始時間など厳密に条件を揃え、味覚のテストに合格した食味エキスパートパネル20人が試食を行います。複数の産地のコシヒカリをブレンドしたものを基準米として用意し、その基準米と比べて、外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価の6項目を7段階で評価します。食味の総合評価結果について基準米よりも特に良好なものを『特A』としています」(木野さん)


特AからB’まで5つのランクがありますが、現在では国産米のほとんどがA’以上の評価を獲得するほど、どの品種もレベルが高いのだそうです。

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魚沼産コシヒカリを超える米が各地に誕生

おいしいお米といえば、やっぱり新潟・魚沼産のコシヒカリをはじめとした東北や北陸のお米だと思っている人も多いはず。でも、実は九州などの暖かい地方でも特A米があることをご存じでしょうか。


「昔は昼夜の寒暖差のある地域でないとおいしいお米を作るのは難しかったのです。お米も人間が夏バテするのと同じで、昼も夜も暑いと、夏場に十分に栄養を蓄えることができません。しかし、高温の地域でも栄養をしっかり蓄えることのできる『高温耐性品種』が開発されたことによって、中国・四国や九州地方の特A米が増えました」(木野さん)


「にこまる」「さがびより」「くまさんの力」といった九州で生産された高温耐性のお米が次々と特A評価を獲得していることから、日本のおいしい米の産地は北から南まで全国に広がっているといっても過言ではありません。

おいしいお米は、やっぱり高い?

特A米について学んだところで、やっぱり気になるのはそのお値段。しかし、木野さんによると、特A米だからといって特別に価格が高くなるわけではなく、同じ特Aランクのものでも、品種の流通量によって価格が大きく異なるのだそうです。


「例えば、『ゆめぴりか』などは生産量が少なく、魚沼産コシヒカリを超える価格で販売されることも珍しくありません。一方で『はえぬき』は生産量が段違いに多いことから、特Aでも買いやすい値段で売られることが多いんです」(木野さん)


「価格と味は必ずしも比例しないので、自分の好みに合った品種を選ぶことのほうが重要」と木野さんは言います。「最近は粘りが特に強い品種よりも、比較的あっさりした食感が好まれる傾向があります。『青天の霹靂』もそのひとつです。反対に、コシヒカリ以上に強い粘りを持つ『ななつぼし』や『ゆめぴりか』など、『低アミロース米』と呼ばれる品種も増えています。あっさり目のお米が好きなのか、粘りのあるお米が食べたいのか、好みに合わせて選ぶことをおすすめします」(木野さん)

お米はコスパがいいのがポイント!

「パンだったら、1つ300円のものでも抵抗なく買う方は多いですよね。それに比べると、お米は決して高いものではない」と木野さんは言います。


先ほど紹介した『ゆめぴりか』(北海道産)、『はえぬき』(山形県産)、『とちぎの星』(栃木県産)をそれぞれ茶碗1杯あたりの価格で換算すると、『ゆめぴりか』は約160円、『はえぬき』は約115円、『とちぎの星』は約90円でした。つまり、1杯あたり数十円プラスするだけで、特Aランクのお米が味わえることになります。


お米は、高級なパンやA5の肉と違って、少し予算をアップするだけで本格的なおいしさが味わえる、コスパのよい食べ物だと言えるかも。毎年発表される特A米のニュースを頼りに、お米選びをもっと自由に楽しんでみてはいかがでしょうか。


【取材協力】
一般財団法人 日本穀物検定協会
営業部長 木野信秋さん

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