人身傷害保険は無制限にしたほうがよい?適切な設定額をご紹介

人身傷害保険は無制限にしたほうがよい?適切な設定額をご紹介

人身傷害保険(共済)は、ドライバー本人や同乗者のケガなどを補償する自動車保険(共済)です。自分に過失があった場合でも補償されること、契約時に加入者自身が保険金額を設定できることなどが特徴ですが、なかには保険金額の上限を「無制限」に設定できる保険会社もあります。


相手への補償を目的とした対人賠償保険責任保険(共済)や対物賠償責任保険(共済)では保険金額を無制限に設定して契約するのが一般的ですが、人身傷害保険(共済)においても保険金額を無制限に設定したほうがよいのでしょうか?


今回は人身傷害保険(共済)について、その補償内容や、保険金額を無制限にした場合のメリット、似た補償を得られる搭乗者傷害保険との違いなどを踏まえ、適切な保険金の設定金額について解説していきましょう。


本内容は、令和5年9月の制度等に基づき、記載しています。

人身傷害保険の補償内容

まずは、人身傷害保険(共済)とは「誰」の「どのような状態」を補償する保険(共済)であるのか説明していきましょう。


人身傷害保険(共済)は、ドライバーが任意で加入する自動車保険(共済)の1つで、補償の対象は「ドライバーや同乗者」となります。自動車事故によるドライバーや同乗者のケガ・後遺障害・死亡などに対して、次のようなものの合計金額が保険会社(共済組合)より支払われます。

人身傷害保険で保障されるもの

損害額の算定については、各保険(共済)の約款と照らし合わせたうえでおこなわれ、契約時に設定した保険金額を上限として実損額が支払われることになります。また、自動車事故で被害者となり、相手から賠償金が支払われた場合には、その額を差し引いた金額が保険会社(共済組合)より支払われます。


では、人身傷害保険(共済)において、ケース別に支払われる補償の内容について見ていきましょう。


自動車事故による傷害・後遺障害に対する補償

人身傷害保険(共済)に加入中、自動車事故によりドライバーや同乗者がケガをして通院や入院となった場合、また後遺障害が発生した場合には、治療にかかった実費のほか、事故に遭ったご本人やご家族が受けた精神的ショックに対する損害も支払われます。


事象(自動車事故を原因とする) 人身傷害保険(共済)で補償されるもの
ケガによる通院や入院 「治療費を含む実費」+「休業損害」+「精神的損害」など
後遺障害の発生 「治療費を含む実費」+「精神的損害」+「将来の介護料」など

自動車事故による死亡に対する補償

人身傷害保険(共済)に加入していて、自動車事故によりドライバーや同乗者が死亡してしまった場合には、事故に遭わなければ将来得られるはずだった利益、葬儀費用、ご遺族が受けた精神的負担に対する損害などが補償されます。


事象(自動車事故を原因とする) 人身傷害保険(共済)で補償されるもの
死亡された場合 「逸失利益」+「葬儀費用」+「精神的損害」など

人身傷害保険を無制限にするメリット

では、人身傷害保険(共済)の保険金額を無制限に設定した場合には、どのようなメリットがあるのでしょうか?


自動車事故を原因とするケガや後遺障害、死亡などでは、その状態や家族構成などの違いによって必要となる補償金額が想定よりも大きくなってしまうことも考えられます。


例えば、自動車事故によるケガで長期間働けなくなった場合、「治療はいつまで続くのか」「治療費や休業損害として補償される金額で足りるのかどうか」といった不安を抱えることも多いかもしれません。保険金額を無制限に設定していた場合には、こういったケースでも治療費や家族の生活費を心配することなく、安心して治療に臨むことができます。


ただし、保険金額を無制限に設定した場合に支払われる金額については、各保険会社(共済組合)によって約款にて定められていますので、契約時に必ず確認するようにしておきましょう。


人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違い

自動車保険(共済)の任意保険(共済)のうち、ドライバー自身や同乗者のケガ・後遺障害・死亡を補償するものには、人身傷害保険(共済)のほか「搭乗者傷害保険(共済)」もあります。この2つには、どのような違いがあるのでしょうか。


【人身傷害保険と搭乗者保険の違い】


保険金について 人身傷害保険(共済) 搭乗者傷害保険(共済)
支払われる方法 実損払い
(過失割合に無関係)
定額払い
(治療日数・ケガの内容により異なる)
支払われる時期 後払い
(保険会社により即時もあり)
即時

まずは「保険金の支払われる方法」です。人身傷害保険(共済)では、保険金額を上限に治療費など実際に支払った金額や予想される賠償額などが、保険会社(共済組合)より支払われます。対する搭乗者傷害保険(共済)では、実際に支払った治療費の金額に関係なく、契約時に設定された金額が保険金として支払われます。保険会社(共済組合)によっては、ケガの種類・部位・程度などにより、保険金額が細かく設定されている場合もあるため、契約内容についてはきちんと確認するようにしましょう。


保険金の支払われる時期についてですが、人身傷害保険(共済)ではさまざまな状況を把握したうえでの算出となるため、後払いとなる保険会社(共済組合)が多いようです。その点、搭乗者傷害保険(共済)では、治療中でも即時に保険金が支払われます。


最近の傾向を見ると、ドライバーと同乗者の死傷を補償する保険(共済)としては人身傷害保険(共済)のほうが一般的となっています。そして、さらなる補償を希望する場合に「搭乗者傷害特約」を付加するスタイルが一般的なようです。


ドライバーや同乗者のケガなどに備える保険(共済)を考える際、まずは人身傷害保険(共済)へ加入し、「安心感を増すために補償を手厚くしたい」「医療費を支払うための備えが少ない」といった場合には搭乗者傷害特約を付加する、という形がおすすめでしょう。


人身傷害保険の設定金額はいくらが適切?

ここでは、人身傷害保険(共済)に加入する場合の保険金額について実際の加入者のデータをもとに、「無制限」とする設定が必要であるのかどうかを考えてみます。


損害保険料率算出機構が公表している最新のデータ「自動車保険の概況」によると、人身傷害保険(共済)の加入者における保険金額別の割合は以下のようになっています。


【人身傷害保険の加入者における保険金額別の割合(2021年度)】


~3,000万円 3,000万円~
5,000万円
5,000万円~ 無制限
自家用普通乗用車 39.9% 38.3% 10.5% 11.3%
自家用小型乗用車 45.6% 36.9% 8.8% 8.8%
軽四輪乗用車 50.6% 35.2% 6.5% 7.7%

参考:「任意自動車保険 人身傷害保険保険金額別契約構成表<2021年度>」|損害保険料率
算出機構

~5,000万円が多い

表を見ると、人身傷害保険(共済)の保険金額の設定は「〜3,000万円」の方と「3,000万円超〜5,000万円」の方を両方合わせると、車種に関わらず全体の約8割を占めていることがわかります。よって、人身傷害保険(共済)における保険金額の相場は「〜5,000万円」ということになるでしょう。


無制限にしている割合は全体の10%程度

では、どのくらいの割合の方が人身傷害保険(共済)の保険金額を「無制限」に設定しているのでしょうか。自家用普通乗用車の所有者では11.3%、小型乗用車では8.8%、軽自動車では7.7%となっていることから、保険金額を無制限に設定しているのは全体のおおよそ10%程度の方だといえるでしょう。上記の相場と比べると、低い割合となっていることがわかります。


その他の保険との組み合わせで考える

自動車事故により必要となる保険金額は「世帯主の年代」や「扶養家族の有無」「年収」といった要素で変わります。


例えば、家計を担っている方が若いときに自動車事故により死亡・後遺障害を負った場合、遺族の生活費や多額の介護費用が必要となります。高収入の方が自動車事故により死傷を負った場合にも、損害額が大きくなる可能性が高いですので、保険金額を無制限に設定しておく必要性があるといえます。


また、ドライバー自身や同乗者が年金生活者のみであったり、単身者であったりするケースでは、人身傷害保険(共済)の保険金額を無制限に設定する必要性はそれほど高くなくても大丈夫だといえるでしょう。


人身傷害保険(共済)での保険金額の設定は、「世帯主の年代」や「扶養家族の有無」「年収」などを踏まえて、ご自身の必要とする補償額を確認し、加入中の生命保険や医療保険、収入保障保険など、その他の保険(共済)との組み合わせで検討することをおすすめします。


まとめ

ドライバーや同乗者の死傷を補償する人身傷害保険(共済)において、保険金額を無制限に設定すれば高い安心感は得られます。ただし、保険金額を無制限に設定した場合でも、実際に支払われる金額は「実損額」となること、その分保険料(掛金)も高くなることにご注意ください。実際に無制限に設定している方の割合が10%程度と低くなっているのは、これらを踏まえたうえでの結果でもあるといえるかもしれません。


そこで、人身傷害保険(共済)の保険金額をどのくらいに設定するか考える際には、その他の保険(共済)の保険金額や補償内容なども確認して、補償が必要十分な組み合わせとなるよう判断することが大切です。無理のない保険料(掛金)で必要な補償を得られるよう、じっくり検討しましょう。


参考:
損害保険料率算出機構
https://www.giroj.or.jp/

お車の事故による賠償やご自身とご家族のケガ、修理に備える

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