将来、奨学金返済で苦労しないために。注意点や備えておきたいこと

経済的理由で修学が困難な学生のため、学費の貸与や給付を行う奨学金制度。制度のおかげで進学や卒業を諦めないで済む子どもたちが増えた一方、その返済がきついと長い間悩まされている方がいるのも事実です。


奨学金のなかでも最もポピュラーなのが、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。大きく分けて二種類あり、ひとつは返済義務のない「給付型奨学金」。もうひとつは、返済義務が生じる「貸与型奨学金」です。後者は卒業などの受給終了後に奨学金の返済義務が生じ、それが数十年に渡る人も少なくありません。決して多くはない給与から数万円が差し引かれ、その暮らしが結婚後や子育て中にまで続くことを想像すると、多くの方がきついと感じるのではないでしょうか。


将来のために奨学金を受給して進学したにもかかわらず、そのせいでゆくゆく苦労することは避けたいもの。そうならないための注意点や、備えておくべきことについて解説します。

奨学金の返済の手続きや注意点

前述のとおり、奨学金には大きく二種類あり、返済不要の「給付型奨学金」と「貸与型奨学金があります。貸与型給付金はさらに二つの種類に分けられ、無利子で借りられる「第一種奨学金」と利子付きの「第二種奨学金」があり、その貸与金額の比率はおよそ1対2.5となっています。


日本学生支援機構が2016年におこなった「学生生活調査」によると、奨学金の受給を受けている学生の割合は大学(昼間部)で48.9%。約半数の学生が、何らかの奨学金制度を利用していることが分かります。また、大学院修士課程では51.8%、大学院博士課程では56.9%と受給率が上昇していきます。


https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/education/image/fig_education_10_01.gif


非常に多くの方が利用している奨学金。貸与型奨学金を利用したら、返済の手続きを忘れずに行わなければなりません。返済方法は次の通りです。


<奨学金の返済方法は?>


奨学金の返還方式は「定額返還方式」と「所得連動返還方式」の二種類があります。


1. 定額返還方式とは
貸与金額に合わせ、定められた定額を毎月返還する方式です。


2. 所得連動返還方式とは
毎年の所得によって、その年の毎月の返済金額が変わる返還方式です。自分の所得に合わせた金額で返済できるため、卒業後の給与が低い場合は生活をきりつめるなど、きつい返済にならずに済み、所得が高くなった場合は早く返済を完了できるといったメリットがあります。


返還の割賦方法は、二種類から選べます。


1. 月賦返還
毎月定額で返還する方式です。毎月27日に指定口座から引き落とされます。


2. 月賦・半年賦併用返還

返還金のうち、半分を月賦で毎月返還し、残り半分を1月と7月の半年に一回、繰り上げ返済のような形で返還する方式です。月賦返還に比べ早く返済を終了できるメリットがあります。


いずれの場合も返還開始は、貸与終了月の翌月から数えて7ヵ月目の27日。例えば3月で貸与終了となった場合は、10月27日が最初の振替日になります。


また奨学金の返済は、口座振替による引き落としで支払います。返済申し込みを行うのは、奨学金の貸与終了前。退学の場合は貸与終了後すみやかに行います。


口座振替ではリレー口座と呼ばれる日本学生支援機構の口座を指定します。リレー口座とは、返済した奨学金を次の世代へのバトンにとらえ、「あなたの返還金が後輩奨学生の奨学金としてリレーされる」という意味から付けられた名前です。


<返済の注意点は?>


日本学生支援機構の職員や、日本学生支援機構が委託した債務会社の社員だと名乗る人物による詐欺行為が発生しています。


手口は次の通り。
・突然訪問し、直接返還金額を現金で支払うように言われる
・電話で指定口座への返還を求められる
・親に電話があり、滞納金が発生していると言われる
・電話、はがき、メールで架空の返還金を求められる
・寄附金の振り込みを求められる


日本学生支援機構では、直接コンタクトを取る場合は「身分証の提示がある」「非通知で連絡することはない」などの条件をホームページ上に記載しています。万が一疑わしい事案が発生した場合はすみやかに確認するようにしましょう。

奨学金の返済が厳しくなった場合はどうする?

日本学生支援機構によると、奨学金の貸与金額は約1兆1千億円、貸与人員は134万人に上るそう(2015年)。それだけ多くの方が利用している奨学金ですが、奨学金の返済が難しくなったらどうすれば良いのでしょうか。


1. 返還方式を変更する
定額返還方式にしていた奨学生を対象に、所得連動返還方式へと変更する方式です。所得連動返還方式にすることで、給与に見合った額での返済が可能になります。


2. 減額してもらう
災害や病気、ケガに見舞われてしまい就労が難しくなった、失業など返還困難な事情が生じたなどの際に利用できる制度です。


制度を利用することで、一定期間の返済を「当初割賦金を2分の1または3分の1に減額」することが可能になります。返還予定総額が減額されるものではなく、減額返還適用期間の返還期間を延長する制度です。なお、返済金を延滞している場合は利用不可なため注意が必要です。


3. 一定期間返還を待ってもらう
こちらも返済不可な事象が起きた際に利用でき、一定期間の返還を猶予し、先送りにしてもらえる制度です。


4. 教育または研究職に就く

所定の要件を満たし教育又は研究の職に就いたときに、返還金額の免除が受けられるというものです。現在は廃止されていますが、2004年3月31日以前に大学院の第一種奨学生に採用となり、奨学金の貸与を受けた方は対象となっています。


また、上記4項目以外に、「精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失、又は労働能力に高度の制限を有し、返還ができなくなった」場合は、機構の審査を行った後、返済が免除となります。

奨学金の返済に苦労しないために今から備えるには

大きなメリットがある一方で、十分に考えて利用しないと将来のデメリットにつながる可能性もある奨学金制度。将来返済に困ることのないよう、あらかじめ教育資金を貯めておけると安心です。


定期預金などでコツコツと蓄えられると良いですが、場合によっては難しいことも。そんなときは保険(共済)への加入もおすすめです。子供が小さいうちであれば、学資保険(共済)やこども保険(共済)に加入して、将来に備えておくのもひとつの手。大学入学時などの特にお金のかかる時期にお金を受け取ることが可能な上、お子さまの万が一のときの保障も含まれているなど、安心できる内容になっています。


備えがあれば、安心して学業にも専念できそうです。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。


独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/

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