【専門家解説】女性特有の病気とは?症状や早期発見のコツ、治療費まで紹介

“病気”に関するねだんのこと

2020.03.27

子宮頸がんや子宮内膜症、乳がんなど、『婦人病』とも呼ばれる女性特有の病気。妊娠出産に関わる病気もあれば、更年期に発症しやすい病気もあり、女性なら年齢を問わず注意しておきたいところです。


そこで今回は、公益社団法人日本産科婦人科学会副理事長で九州大学病院産科婦人科教授の加藤聖子さんに、女性が気をつけたい病気について、気になる症状や治療費、早期発見に役立つセルフチェック法まで、詳しく教えていただきました。


【女性特有の病気】代表的な病気の種類は?

女性特有の病気について、気をつけたい疾患は「年代によって異なる」と加藤さんは話します。


「思春期なら無月経や月経困難症、性成熟期といわれる20代〜30代は、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸がんなど、子宮に関わる病気に注意が必要です。更年期には、更年期障害に加え、子宮体がんや卵巣がんも多く見られます」(加藤さん)


加藤さんに、女性特有の病気のなかでも、ぜひ知っておきたい代表的な病気を教えていただきました。

子宮筋腫

エストロゲンが関係しているといわれる「子宮筋腫」。無症状の場合も多いため、正確な発症率は不明ですが、30歳以上の女性の20〜30%にみられると言われています。


症状は、過多月経がおこり鉄欠乏性貧血など。周辺臓器である膀胱(ぼうこう)や直腸を圧迫するようになると、頻尿や便秘を起こします。


【セルフチェック法】
・月経量が非常に多い(塊(かたまり)が出ているなど)
・ふらつき・動悸など、貧血の症状がある
・下腹部に腫りゅうがふれる


【検査・治療方法など】
「病院での一次検査としては、診察(内診、超音波検査)で子宮の大きさを見るほか、過多月経がある場合は血液検査で貧血の有無を調べます。さらに、必要に応じてMRIで大きさや発生部位の確認をします」(加藤さん)


治療方法は、症状や進行状況によって異なるようです。


「特別な症状や貧血がない場合、経過観察となることも多いです。根治治療は、子宮全摘術です。今後の妊娠を希望される方には、子宮筋腫核出術を行います。どちらの手術でも、筋腫の大きさによって腹腔鏡手術、開腹術の2種類があります」(加藤さん)


もし閉経が近い場合には、エストロゲン値を下げるGnRH療法(視床下部ホルモンGnRHの誘導体で、下垂体からの性腺刺激ホルモンの分泌を抑制し、卵巣からのエストロゲンの産生、分泌を抑制する治療)によって筋腫を小さくし、閉経に持ちこむ方法もあるそうです。

子宮内膜症性卵巣嚢胞

子宮内膜組織が、本来のあるべき子宮内腔以外に発生・増殖する「子宮内膜症」。それが卵巣にできて血液が貯留すると、嚢胞を形成して「子宮内膜症性卵巣嚢(のう)胞」と呼ばれます。


不妊症の原因ともされており、約1%に卵巣がんが発生することが報告されています。


【セルフチェック法】
・月経痛や下腹部痛がある
・なかなか妊娠しない


【検査・治療方法など】
「検査では、まず診察(内診、超音波検査)で卵巣の大きさや性状、圧痛をみます。さらに、MRIで嚢胞の大きさや悪性を疑う所見がないかどうかを見ていきます」(加藤さん)


治療法は、患者さんのライフステージによって異なるといいます。


「思春期から妊娠前までなら、嚢胞が大きくない場合(通常6cm以下)、鎮痛剤・ホルモン剤で経過を見る場合が多いです。しかし、不妊症の原因になっていたり、大きさが増大していたりする場合は、腹腔鏡を行い、病変を摘出する場合もあります」(加藤さん)


妊娠を希望しない場合は、どのような治療になるのでしょうか。


「妊娠を希望しない年代では、閉経まで内服治療を行うほか、腹腔鏡手術(癒着が強い場合は開腹術)を行い病巣を摘出します。もし40歳以降で嚢胞の大きさが10cm以上、またはそれ以下でも大きさが増大してくる場合などは、悪性の可能性があるので手術がすすめられます」(加藤さん)

子宮体がん

また、近年、特に気をつけたい女性疾患として挙げられるのが「子宮体がん」です。


子宮体がんは、子宮内膜から発生するがんのこと。疾患は増加傾向にあり「ここ10年間で約2倍に増えている」と加藤さんは話します。


「子宮体がんの患者さんの年代は、40歳頃から増えはじめ、50〜60歳代でピークを迎えます。閉経期周辺に発症することが多いですが、排卵障害がある場合や、遺伝性の場合には、若年でも発症します。主な症状として、不正出血が見られます」(加藤さん)


若い女性が子宮体がんを患ったときには、妊娠しやすさへの懸念も生じてくるそう。そのため、子宮を温存する治療法もあるといいます。


「治療は、子宮と卵巣、卵管を取り除く手術が基本です。しかし、病気の進行度合いによっては、子宮内膜の掻爬術のみに留めるケースもありますね。また、がん細胞が活発でない“高分化”の腺がんなど、悪性度が低いと判断される場合には、子宮を温存し、高用量黄体ホルモン療法を選択することもあります」(加藤さん)

乳がん

女性の12人に1人の割合で発症するとも言われているのが「乳がん」です。乳がんのセルフチェック法は、定期的に自分で乳房を触診すること。乳房にしこりがあったり、違和感があった場合には、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。


検査の方法には、マンモグラフィと超音波検査があります。


「マンモグラフィは、乳房を片方ずつ、台と透明な板で挟んで、乳房を平らにした状態でX線を当てて撮影する検査です。平らにするのは痛いのですが、より詳しく見ることができることと、厚さが薄くなることで被ばくの線量を減らすことができます。しこりを触れるなどの自覚症状がなくても、マンモグラフィによって、早期の段階でがんの可能性のある病変を見つけることができます。

引用:http://nedan.ja-kyosai.or.jp/column/20160624_family_no4.html


「超音波検査は、乳房に超音波を当てて反射する信号を画像化することで、乳房の中の構造を調べる検査です。被ばくがないため乳腺組織の発達が盛んな若い女性の検査や妊娠中の検査として、あるいはマンモグラフィと組み合わせて行われることがあります。自治体で行われているがん検診として、40歳以上の女性は2年に1回症状がなくてもマンモグラフィによる乳がん検診を受けることが勧められています」(渡邊先生)

引用:http://nedan.ja-kyosai.or.jp/column/20160624_family_no4.html


女性の病気で気になる「治療費」を解説

女性の特有の病気になった場合、「治療費」はどれくらいかかるのでしょうか?具体的な病気と治療法(手術法)を例に、加藤さんに具体的な金額を算出していただきました。


【ケース1】
子宮筋腫で腹腔鏡による子宮全摘術を行い、10日後に退院した場合


手術費用:18万円(医療費約60万円)
入院費用など:12万円(医療費約40万円)
合計:30万円(医療費約100万円)


【ケース2】
子宮頸がんで開腹術で広汎子宮全摘術を行い、術後に放射線療法を行った場合


手術費用:34万円(医療費約100万円)
入院費用など:96万円(医療費約320万円)
合計:130万円(医療費約420万円)


※九州大学病院経理係が算出
※すべて患者負担3割を想定した金額。カッコ内には保険適用前の医療費を記載


病気や手術内容によっては、治療費がかなり高額になるケースもあるようです。また、特に高額になりやすい病気には、次の特徴があるといいます。


「治療費の面で特に気をつけたい病気は、早期発見が難しく、再発率も高い『卵巣がん』です。というのも、卵巣がんは入院期間が長くなったり、手術のあとに追加治療が必要になったりする傾向があります。追加治療が必要になるという意味では、子宮頸がんや子宮体がんも注意が必要です」(加藤さん)


なお、女性特有の病気に関する最近の医療事情について、加藤さんは次のように語ります。


「近年、子宮筋腫や子宮内膜症に対しては、温存療法といって子宮を残す選択肢が増えてきました。子宮を摘出せずに残す選択をしたことで、治療後に妊娠に至ったケースもあります」(加藤さん)


最近では治療費に大きく関わる「保険診療」にも変化が見られるのだとか。


「腹腔鏡手術といった先進技術が保険適用されるようになったのも、最近の変化です。腹腔鏡手術とは、子宮筋腫や子宮内膜症、早期子宮体がんで用いられる手術。保険適用となることで、医療費の不安なく手術を受けられるようになりました。これらの疾患に対するロボット手術も保険診療の対象となっています」(加藤さん)


定期検診や保険(共済)で万が一に備えよう

女性特有の病気の早期発見について、子宮頸がんのように検診が有効と認められている疾患もあります。「子宮頸がんは、性交渉を持ったことのある女性なら、誰もがなりうるもの。定期的に検診を受けることをおすすめします」と話す加藤さん。他人事と思わずに、定期的な検診で自分の身体に意識を向けるようにしたいですね。


また、病気によっては自己負担で100万円を超える治療費が必要になることもあるため、やはり金銭面での備えも必要不可欠。最近では、がんや女性の特有の疾患に手厚い保障がついた保険(共済)も増えています。治療費を気にせず安心して治療を受けるためにも加入を検討するのもいいかもしれません。


病気のリスクや精神的・金銭的負担を減らす第一歩として、検診や保険(共済)加入を検討してみてはいかがでしょうか。


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