介護離職とは?問題点や利用できる制度をまとめてみた

“老後”に関するねだんのこと

2018.12.19

少子高齢化が進む日本では、介護にまつわるさまざまなニュースが連日取り上げられています。家族の介護を理由に離職をする「介護離職」もその一つ。仕事と介護の両立はとても難しく、介護に専念するためにやむを得ず離職を決断する人が増えているそうです。


今回は、そんな「介護離職」の実態や問題点、仕事と介護を両立するために利用できる制度について紹介していきます。

介護離職とは

「介護離職」とはその名の通り、就業者が家族の介護のために退職や転職をすることです。
介護に直面するのは主に企業の中核を担う働き盛りの世代であり、労働時間や出社・退社時間などの働き方を変えられないまま、無理を押して介護を行っている方も少なくありません。そのため、最終的に介護者自身の健康状態が悪化して離職を選択してしまうケースも多く、日本で早急に解決すべき社会問題の一つとして注目されています。


また、「介護離職者」の数は2012年時点で年間10万人を上回っており、子どもやその配偶者が介護を担うケースが多い日本においては、今後ますます増えていくことが懸念されています。

介護離職の問題点

働きながらの介護に疲れ切った結果、少しでも負担を減らしたくて選択したはずの「介護離職」。しかし実際には、かえって負担が大きくなってしまう危険性があるようです。


平成24年度に厚生労働省が委託した「仕事と介護の両立支援に関する調査」では、介護離職後、精神面・肉体面・経済面において『負担が増加した』と回答した人の割合が、それぞれ64.9%、56.6%、74.9%と半数を大幅に上回る結果になっています。


ある程度手の離れる時期が見えている育児とは違い、介護にはわかりやすい終わりがありません。そのため、「いつまで介護が必要なのかの見通しが立たないこと」が精神的に大きな負担になってきます。また、仕事と両立していたときより改善されそうな肉体的負担についても、自分一人だけで一日中家族の介護をするとなると、かえって負担が大きくなると感じる方が多いようです。


そして、介護離職の最も大きな問題点は、収入が得られなくなってしまうこと。継続的な介護を行う上でも経済的な負担はかかりますし、介護終了後の生活を視野に入れても、経済基盤は重要になってきます。
しかし、離職をすれば当然収入はありませんし、いつ再就職できるかも不透明なケースが多いというのが実態です。実際に、平成24年度の厚生労働省による調査では、介護を理由に仕事を辞めてから1年が経過しても再就職していない人の数は、男性は38.5%、女性は52.2%にも及んでいます。


以上のように、「介護離職」にはさまざまなリスクも伴っていることを忘れてはいけません。

介護離職のための政策

このような現状を踏まえ、日本では2020年代初頭までに介護離職を防止すべく、労働者が仕事と介護の両立できるような環境作りを進めています。
今回はその中から、育児・介護休業法に基づき休暇・休業を取得できる「介護休暇」「介護休業制度(介護休業給付金)」、労働者の仕事と介護の両立を積極的にサポートする企業に支給される「両立支援等助成金」について紹介します。


介護休暇制度

1日もしくは半日単位で、介護のための休暇を取得することができる制度です。1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで取得することができ、急に介護の必要が生じた際などに活用することができます。しかし、休暇中の給与については各企業にゆだねられており、企業によっては無給の場合も。勤務先の会社の対応について、事前に確認をしておくとよいでしょう。


介護休業制度(介護休業給付金)

対象家族が2週間以上の期間にわたり介護が必要な状態の場合に、介護を目的とした長期休業を申請できる仕組みです。対象家族1人あたり計93日(3か月)分の休業を申請でき、最大3回の期間に分割することができます。基本的には、介護休業を取得する時点で1年以上その職場に勤めていれば申請が可能です。


また、給与面で不安が残る介護休暇制度に対し、介護休業制度の場合は国から「介護休業給付金」が支給されます。金額は「休業開始時の賃金日額×支給日数×67%(3分の2)」と定められており、休業後、事業主にハローワークへ申請をしてもらうことで一括受給が可能。ただし、すでに休業中の場合は申請できない場合もあり、申請をする上でさまざまな条件があるので、事前にハローワークで確認しておくことが大切です。


両立支援等助成金

国が定めた「介護離職防止支援コース」を実施し、仕事と介護を両立するための職場環境整備を行った企業に対し、国から助成金が支給されるシステムです。介護休業の取得や職場復帰の支援、介護を考慮し勤務時間を制限するなど、労働者が仕事と介護を継続できる環境を提供するための具体的な内容が細かく設定されています。


上記のように、国は労働者・企業の両軸から、仕事と介護の両立をサポートする制度を整えています。家族の介護が必要になったときには、企業やハローワークの担当者と確認し合いながら、積極的に活用してみるとよいでしょう。


また介護関連の保障としては、国の制度だけでなく、共済事業を営む民間企業の「介護共済」を利用することもできます。上記の公的な制度とは別に「介護共済金」を受け取ることができるので、介護の経済的な負担を軽減したい場合にはぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

仕事と介護をなんとか両立しようと一人で頑張っていると、心身ともに弱ってしまい、つい離職という選択肢が頭に浮かんでしまうかもしれません。しかし今回紹介したように、私たち労働者には「介護休暇」「介護休業」を利用する権利が法律によって明確に認められています。


いつか家族の介護に直面したとき、すぐに離職を決断するのではなく、仕事と介護を両立するための制度を活用しながら仕事を続ける選択肢があることを思い出していただけたら幸いです。


〈介護離職について〉
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/index.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112622.html

〈主に数値面で参照〉
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/12c.pdf#search=%27%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E9%9B%A2%E8%81%B7+%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81%27

〈介護休暇/介護休業〉
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h27_12.pdf#search=%27%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BC%91%E6%A5%AD%E5%88%B6%E5%BA%A6%27

〈介護休業給付金〉
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158665.html

〈両立支援助成金〉
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000207842.pdf

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