子どもにかかるお金はいくら?大学卒業までに必要な費用を計算してみよう

「出産に関する費用はどれくらい?」「子どもの教育費はどれくらい?」など、子どもを産み、育てるために必要なお金について疑問を持っている方は数多くいらっしゃるでしょう。今回は具体的な数字を算出しながら、「子ども」の一生にかかるお金がいくらになるのかをご紹介します!


本内容は、令和4年12月の制度等にもとづき、記載しています。



そもそも子育てにかかる2種類のお金

子育てにかかるお金は、大きく分けて「養育費」と「教育費」の2種類があります。それぞれの説明と具体的にかかる費用の例について見ていきましょう。

養育費

養育費とは一般的に、子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要な費用のことです。具体的には以下のような費用が養育費に含まれます。


  • 衣類・服飾雑貨費
  • 食費
  • 生活用品費
  • 医療費
  • 保育費
  • レジャー・旅行費
  • おこづかい
  • お祝い行事関連費
  • 子どもの携帯電話料金
  • 子どものための預貯金・保険

広い意味では次に解説する教育費も養育費に含まれますが、本記事では切り分けて考えます。

教育費

教育費は、学校に進学・通学するための費用や、その他の習い事など教育や学習にかかる費用のことです。文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」によると、教育費には以下のような費用が含まれています。


  • 学校教育費(授業料、学校納付金、通学関係費、図書・学用品・実習材料費など)
  • 学校給食費
  • 学校外活動費(自宅学習や学習塾・家庭教師、体験活動や習い事など)

子どもができてから、出産するまでに必要なお金

子どもが生まれてからだけではなく、出産するまでにも一定のお金がかかります。公的な補助などが受けられるため、養育費や教育費ほど大きな金額にはなりませんが、妊娠がわかったらすぐに必要となるお金です。妊娠中は労働時間や働き方が制限され、収入が減る場合もあります。将来子どもを持ちたいと考えている方は、どの程度かかるかチェックしておきましょう。


まず妊娠検査で子どもができたことが判明したあとは、定期妊婦健診に行くことになります。定期妊婦健診にかかる費用は1回につきおよそ1万円。標準とされる健診回数は14回なので、単純計算で14万円ほどかかることになります。しかし、母子手帳が交付される際に補助券をもらうことで、自治体から補助金を受けることができます。補助額は自治体によって異なるので、確認しておきましょう。


出産を控え、入院する際にかかる妊婦負担額の平均は約50万円。無痛分娩を選択した場合には、更に5〜10万円ほどかかるようです。健康保険や国民健康保険から出産育児一時金が一人当たり原則42万円支給されますが、超過分は自己負担となります。なお、産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合は減額されますので事前に確認しておきましょう。


また、マタニティ用品・ベビー用品にかかる費用も考えなければなりません。平均的な初期費用はおよそ10万円ということですが、出産祝い品として先輩ママから貰ったり、マタニティ・ベビー用品のレンタルなどを活用したりすることで費用が抑えられる可能性もあります。

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子どもが大学卒業するまでにかかるお金

子どもが大学を卒業するまでにどのくらいお金がかかるのか、養育費と教育費に分けて平均的な金額を見ていきましょう。

養育費はどのくらい?

以下の表は0歳から22歳までにかかる養育費を就学区分別に集計した結果です。


年間養育費 総額
未就園児(3年間) 84万3,225円 252万9,675円
保育所・幼稚園児(3年間) 89万9,930円 269万9,790円
小学生(6年間) 84万7,225円 508万3,350円
中学生(3年間) 97万5,565円 292万6,695円
高校生(3年間) 97万5,565円 292万6,695円
大学生(4年間) 66万4,300円 265万7,200円
合計 1,882万3,405円

※保育所・幼稚園児は3歳から保育所・幼稚園に通うことを想定
※大学生は4年制大学の昼間部を想定


1年間にかかる養育費は中学生から高くなる傾向にあります。主な理由としては、成長にともない食費がかさむことが考えられます。育ち盛りの年代ですから、子どもが中学生・高校生の間は食費を多く見積もっておきましょう。


逆に大学生になると養育費が減少する傾向に。これは大学生になると家族と旅行やレジャーに出かける機会が減る、大学進学のための費用の準備(預貯金や保険など)が一段落するといった理由が考えられます。

教育費はどのくらい?

子どもの教育費について、小学校から高校までは公立と私立に、大学は国公立と私立、また、文系と理系に分けて見ていきましょう。


以下は小学校から大学までにかかる教育費の合計額を公立・私立別に表したものです。


国公立 私立
文系 理系
小学校(6年間) 193万円 959万円
中学校(3年間) 146万円 422万円
高校(3年間) 137万円 291万円
大学(4年間) 450万円 650万円 780万円
合計 926万円 2,322万円 2,452万円

  • 小学校

公立小学校における教育費(学校教育費、学校給食費、および学校外活動費の合計)は6年間で約193万円。一方、私立小学校の場合はなんと約959万円にもなります。公立小学校と私立小学校、それぞれの特性を考えて、慎重に学校を選びましょう。


  • 中学校

公立中学校における教育費は3年間で約146万円。私立中学校の場合は約422万円になります。教育費のなかには学習塾代も含まれていますが、あくまでも全国平均の金額です。通う塾のタイプ(個別指導/集団指導)や日数・科目数によって大きく異なります。


  • 高校

公立高校における教育費は3年間で約137万円。私立高校の場合は約291万円。中学校同様、教育費のなかに含まれる学習塾代は通う塾や通い方によって異なるため、個別指導塾に通う場合や受講する科目数や時間が多くなる場合は多く見積もっておくことをおすすめします。


  • 大学

国公立大学の入学金は約30~40万円。在学費用(主に授業料・通学費・教材費など)は4年で約414万円になります。ただし、公立大学の入学金は県内者か県外者かによって変わる場合もあるので、募集要項で確認しましょう。私立大学は文系か理系かによっても学費に大きな違いがあります。私立大学の文系に進んだ場合、4年間の在学費は入学金も合算するとおよそ650万円。私立大学の理系に進んだ場合は、およそ780万円になります。


また大学進学にともない子どもが一人暮らしや下宿を始める場合は、入学金や在学費用に加えて、賃貸契約の初期費用(仲介手数料や敷金など)や家具購入費用、月々の仕送りが必要になることもあります。奨学金制度を利用できる場合もありますが、将来子ども自身が返済しなければいけないお金です。子どもとよく相談したうえで利用を検討しましょう。


  • 大学院

国公立大学の大学院修士課程の入学金も大学と同様約30~40万円ほど、授業料は1年で約53万円になります。しかし法科大学院は授業料が年間約80万円と高額になるので注意が必要です。私立大学の大学院修士課程の学費は学校や研究科によって大きく異なりますが、基本的には国公立大学よりも高額になります。


小学校から大学まで国公立の学校に通ったとしても、合計で1,000万円近くは必要です。すべて私立に通うなら2,000万円以上の教育費を見込んでおいたほうがよいでしょう。


ただし、中学校までは公立、高校以降は私立というように混在するケースも少なくありません。ご家庭によって子どもの進路は異なるため、教育費もそれに応じて大きく変わってきます。希望する進路に必要な金額をシミュレーションしておきましょう。


さらに養育費と教育費の総額もチェックしておきましょう。子どもが生まれてから大学を卒業するまでにかかる費用は以下のとおりです。


  • 小学校から大学まですべて国公立に通った場合:約2,800万円
  • 小・中学校は公立、高校・大学は私立に通った場合(文系大学の場合):約3,200円
  • 小学校から大学まですべて私立に通った場合(理系大学の場合):約4,400万円

このように進路によって子どもにかかる費用は大きく異なりますが、子どもが大学を卒業するまでに少なくとも3,000万円近くかかることが一般的です。

子どもにかかるお金を貯める方法

このように、子どもにかかる費用を全体でみると、決して安いとはいえない金額であることがわかります。日本政策金融公庫の教育費負担の実態調査によると、教育費は年々増加傾向にあるため、計画的に貯蓄しておくことが大切といえるでしょう。そこで、ここからは子どもにかかるお金の準備方法についてご紹介します!


関連:「学費が払えないと思ったら。覚えておきたい7つの対応策」

学資保険

学資保険に加入して月々の掛金を払って教育資金を積み立てる方法は一般によく知られています。学資保険は自分に万が一(死亡や高度障害状態)のことが起こった場合、以降の保険料は支払わなくても子どもに祝い金や満期金として教育資金が残せるというメリットがあります。


しかし、保障内容によっては払った掛金の総額よりも給付金のほうが少なくなってしまう契約もあります。契約内容によって返戻率や保障内容は変わるため、しっかり比較・検討してから加入するようにしましょう。


関連:「学資保険はいつから加入するべき?おすすめの加入時期について解説」

財形貯蓄

財形貯蓄とは、月々のお給料やボーナスから一定のお金が天引きされる貯蓄制度です。財形貯蓄には一般財形貯蓄・財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄の3種類がありますが、子どもにかかるお金を貯める方法として利用できるのは「一般財形貯蓄」です。毎月一定のお金が貯められ、貯蓄開始から一年経てば自由に払い出すことができます。自分でコツコツ貯金するのが苦手な方には便利な制度でしょう。


なお、財形貯蓄は勤務先で財形貯蓄制度が導入されている場合に利用できるものです。会社員や公務員の方は、職場の人事・福利厚生に確認してみましょう。

まとめ

子どもが自立するまでには一般的に20年前後かかるため、その分必要なお金も多くなります。子どもにかかるお金として「教育費」が注目されがちですが、食費や衣類・服飾雑貨費など生活に必要な「養育費」も忘れてはいけません。また、妊娠してから出産するまでに必要な費用も、すぐに必要になるお金として把握しておく必要があります。


子どもが生まれてから大学を卒業するまでに必要なお金は少なくとも3,000万程度は見込んでおく必要がありますが、まとまった金額をすぐに準備するのは難しいもの。将来子どもが欲しい方は今回ご紹介した平均的な費用を参考に、学資保険や財形貯蓄などを活用したお金の準備についてパートナーと話し合ってみてはいかがでしょうか。


参考 :
文部科学省
https://www.mext.go.jp/
日本政策金融公庫 『教育費負担の実態調査結果』
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf
法務省
https://www.moj.go.jp/
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/

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