要介護認定を受けるにはどうすればいい?申請の手続き方法とは

高齢化社会において、今や介護は多くの人にとって身近なもの。介護というと、どうしても費用がかかる印象がありますが、なかには保険が適用されて安価に受けられる介護サービスもあるのです。しかし、そのサービスを受けるには要介護認定の申請が必要。そこで今回は、介護認定の申請手続きの方法についてご紹介します。

要介護認定で、介護はどう変わる?

日本の介護保険制度では、寝たきりや歩行困難で常に介護を必要とする状態になった場合や、家事や身支度などの日常生活に支援が必要な状態になった場合に、自宅への訪問介護などの介護サービスを受けることができます。これらのサービスを受ける必要がある状態かどうか、必要があるとすればどの程度なのかを判断するのが「要介護認定」です。


認定を受けるかどうかによって大きく変わることの一つが介護費用。要介護認定を受けた人が介護サービスを利用した場合、利用者の負担は介護サービスにかかった費用の1割になるため、サービスにかかる利用料は大きく変わるのです。そのため、要介護認定の基準は全国一律で定められており、申請から要介護認定に至るまでにはいくつかの手続きが必要です。

要介護認定を受けるための手続き方法とは

それでは、要介護認定を受けるための手順について解説します。


【要介護認定の手順】

1. 必要な書類などを用意する

要介護認定を申請するには、以下のものが必要になります。


介護保険要介護認定・要支援認定申請書

申請書はお住まいの市区町村の窓口で直接受け取るか、市町村のホームページからダウンロードしましょう。

被保険者証

65歳以上の方は「介護保険被保険者証」、65歳未満の方は「医療保険の被保険者証」を用意しましょう。

印鑑

申請者がご本人またはご家族以外の場合は、印鑑が必要になります。


2. 市区町村へ申請する

上記のものを揃えたら、お住まいの市区町村の窓口または地域包括支援センターで申請します。申請時に提出した被保険者証は、認定結果が出るまでは市区町村に預けたままになるため、被保険者証の代わりに使うことができる「介護保険資格者証」を受け取ります。


3. 訪問調査を受ける

書類の申請が完了したら、今度は調査員による訪問調査が行われます。申請書を提出した後、市区町村から訪問調査の日時に関する連絡があるので、そこで希望の日時と場所を伝えましょう。


4. 医師に主治医意見書を書いてもらう

申請書に記入した医師宛てに「主治医意見書」の用紙が市役所から送られます。主治医は医学的観点から、診断病名や進行度などを記入します。主治医がいる場合は、わざわざ診察しなくても書いてもらうことができます。主治医がいない場合は、市役所で指定医を紹介してもらって診察を受けます。


5. 審査

介護認定審査会で、介護の要・不要および要介護状態の判定が行われます。訪問調査による情報や、主治医意見書の内容を参考に判定されます。


6. 認定

介護認定審査会での判定の結果、「非該当(自立)」「要支援(1・2)」「要介護(1~5)」のいずれかの区分で通知が来ます。この通知結果によって、受けられる介護サービスが異なります。


「非該当」とは、歩行などの基本的な動作や、薬の内服や電話の利用などを行う能力もある状態のこと。「非該当」と認定された場合はサービスの対象外ですが、市区町村が行っている地域支援事業などによっては利用できるものも。
申請から結果の通知までは、約1カ月かかるとされています。要介護認定を受けたら、「ケアマネジャー」と呼ばれる介護支援専門員が、介護区分や心身の状況に応じた最適なケアプランを作成します。介護サービスはそのプランに基づいて利用できるようになります。

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「要介護」と「要支援」の違いとは?

前述の通り要介護認定にはいくつかの区分があり、「要支援」または「要介護」の認定を受けると、介護保険を利用することができます。この二つは混同されることも多いのですが、どちらの認定を受けるかによって、利用できる介護サービスや介護保険で利用できる金額の上限が異なります。


「要介護状態」と「要支援状態」の違いは?

要介護状態は、身体上または精神上の障害があるために、日常生活における基本的な動作の全部または一部において介護を要する状態とされています。一方、要支援状態とは、介護は必要でないものの、日常生活に不便をきたし、状態の軽減や悪化の防止のための支援を要する状態。要介護と認定された場合は、「施設サービス」や在宅でケアを行う「居宅サービス」といった介護サービスを受けることができます。要支援の方ならば、悪化を防ぐための「介護予防サービス」が用意されています。


利用できるサービスの違いは?

要介護と要支援では、受けられるサービスが異なります。要介護者には、現状維持や状態の改善という観点からサポートを行い、要支援者には、日常生活を営むという観点からのサポートを行います。そのため、要介護者向けの介護サービスの中には、要支援者は利用することができないものもあります。


介護サービスを利用することで、介護する側も介護される側もそれぞれ負担を減らすことができます。状態に合った適切な介護サービスを利用するためには、介護認定を受けて介護保険を利用しましょう。両親や祖父母の介護が必要になってから慌てるのではなく、事前に介護に関わる制度や必要になる費用を前もって理解しておくことが大切ですね。


参考 :
サービス利用までの流れ:厚生労働省
サービスにかかる利用料:厚生労働省

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