1,000万じゃ足りない!? 30代が貯めておくべき老後資金は最低いくら?

バリバリ仕事をしている30代も、そろそろ気になってくるのが老後資金。「年金はもらえるの?」「退職するまでに、いったいどれくらいの老後資金を貯めておけばいいの?」といった不安をなんとなく感じている人も多いはず。そこで、今回はこれまで500人以上に資産設計などのアドバイスをしてきたファイナンシャルプランナー・伊藤亮太さんに話をうかがいました。

公的年金制度は破綻しないが貯蓄等の自助努力は絶対必要

老後資金としてまず頼りにしたいのが「公的年金制度」。しかし、さまざまなメディアで「年金は破綻する」「年金はあてにならない」といった情報を目にするので、「自分たちの世代はもう年金はもらえないのでは?」と思っている人も少なくないはず。


しかし、伊藤さんによると「年金制度は租税からまかなわれている部分もあり、積立金もあることから今すぐ破綻するといったことはまずありえない。ただし、将来、年金の受給年齢が引き上げられたり、受給額が減額されたりする可能性は十分あるので、年金だけに頼るのは厳しい」とのこと。やっぱり老後に向けての貯蓄や個人年金保険や共済への加入は欠かせないようです。


では、いったい老後まで、どれくらいの額を貯めればいいのでしょうか。それを計算するためには「老後の支出額を算出すべき」と伊藤さんは言います。


2015年に総務省が発表した「家計調査報告」によると、夫婦二人世帯が老後に毎月必要となる支出額は27万6,000円ほどです。

出典:「家計調査報告(家計収支編)―平成27年(2015年)平均速報結果の概況―」(総務省統計局) http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/を加工して作成

サラリーマンが通常加入している厚生年金の場合、毎月の年金受給額が夫婦で19万5,000円ほど。となると、老後までに貯めなければいけない額は以下のような計算式になります。


貯めるべき老後資金=退職してからの残りの寿命×(毎月の支出額−毎月の年金受給額)×12か月分


もし65歳で退職して残りの寿命が25年として計算すると、25×(27万6,000−19万5,000)×12=2,430万となります。つまり、65歳までに最低でも2,430万円は貯めておかないと老後の生活が厳しくなるということなのです。

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サラリーマンは4,000万、自営業者は6,000万貯めてほしい

2,430万円という数字は老後の一般的な生活を送るために必要となるお金です。「旅行に行ったり、趣味をとことん楽しんだりするといった健康的で楽しい老後を過ごしたいと考えるなら、4,000〜5,000万円ほど貯めたほうがいい」と伊藤さんは言います。


サラリーマンの方なら退職金も含めて4,000万円、年金受給額が低い自営業者の場合は最低でも3,000万円は貯めておきたいところ。自営業者の場合には、健康的で楽しい老後を送るなら5,000~6,000万円は貯めたほうがいいとのこと。ただし、自営業の場合は生涯現役でいることも可能であることから、あくまで必ず貯めなければいけないのではなく、目標として捉えた方がよいでしょう。


今から老後資金を貯めるのであれば、まずは自分の今の働き方や収入に支出を照らしあわせて、どういうペースで貯めていくかプランを考えましょう。

老後資金の預け先はここがおすすめ!

最後に伊藤さんに「おすすめの老後資金の預け先」も教えてもらいました。


サラリーマンの場合

確定拠出年金:毎月掛金を積み立てて、その資金を運用しながら老後の備えをする制度

財形貯蓄:お勤め先を通じて、給料やボーナスから天引きして積立てる貯蓄


自営業者の場合

国民年金基金:自営業者が自分で積み立てられる年金

小規模企業共済:個人事業をやめたときなどの生活資金等をあらかじめ積み立てておくための共済制度

確定拠出年金(個人型):毎月掛金を積み立てて、その資金を運用しながら老後の備えをする制度


上記の制度を利用すれば、安心して老後資金が貯められるだけでなく、なかには全額非課税となる制度もあるので節税対策にもなるのだとか。楽しい老後を過ごすためにぜひ活用したいですね。


【取材協力】
ファイナンシャルプランナー 伊藤亮太
慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程修了。その後証券会社にて、営業、経営企画部門等を経て、独立系FP会社「スキラージャパン株式会社」設立。現在はスキラージャパン株式会社では法人の資産運用などのアドバイスを、伊藤亮太FP事務所代表としては、富裕層の資産運用や資産管理、個人の資産設計などに携わっている。執筆・講演も金融機関をはじめ多岐に渡る。

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